平和って、いくらで買えますか?
???に 最悪の魔王が とりついた!
???は こんらん している!
すごいアイディアを思いついたんだ。
ちょっと見てもらえませんか?
私は君に小冊子を渡す。
タイトルは「世界平和のつくりかた」。
全24ページの小論文で、崇高な目標を、格調高い文体に仕上げてみたんだけど。
どうかな?
でも、先立つものは必要でさ。
総額を計算してみたら、たったの1000兆円で済むみたい。
日本の個人金融資産の総額は、2000兆円を超えていて。
個人の預貯金に限っても、1000兆円を超えている。
家も土地も株式も、売ってくれなんて言わないよ?
預貯金を叩くだけでいい。こんなの端金でしょう?
だって、平和な世の中になるならば、将来への備えなんて要らないよね?
そんな戯れ言聞き流しつつ、君は小論に赤を入れていく。
やり方に無駄が多すぎる、あれもこれもそれも要らないよ。
私はその言葉にとても驚いた。
自分も世界の平和を多少なりに、願っていると思ってたけど。
君の方がずっとずっと、真剣に、平和を想っていたんだね。
もったいない精神を発揮して、どんどん削っていったらさ。
必要なお金は100兆円。90パーセントも削減できた!
やったね、これで世界を平和にできる!
そしたら、横から注文をつける奴が来たんだよ。
いやいや、何をしてるんだ?
こんなことをしなくても、もっと良いやり方あるでしょと。
そいつは裏紙1枚持ってきて、さらさらとシャーペン走らせる。
気付けば、A4用紙1枚にまとまった、最高のプランができあがる。
素晴らしい!
やっぱりお金は必要でさ。
それでも、10兆円まで減らせました。
これならぶっちゃけ余裕っしょ?
そう言ってみんなで笑い合う。
あとはご想像の通りです。
みなさん、どんどんやってきて、アイディア勝負になりました。
1兆円、1000億円、100億円、10億円、1億円……。
今なら大変お買い得? とてもお求めやすいですよ?
最後にとうとう現れた、そいつはギターを持っていた。
俺にはお金なんて要らねぇぜ。ギター1本、あればいい。
お気持ちだけで充分さ。
なけなしの優しさ、それだけで。
みんなであざ笑ったんだ。
でも、そいつはG弦を1音だけ爪弾くと。
それだけでみんな押し黙る。
その後はまぁね、なんというか。
タオル振り回したり、腕突き上げたり、シャウトしたり。
とても盛り上がりました。
筋肉痛がひどいので。お早いですが、今日の話はこの辺で。
って、え? なんだい? どうしたの?
世界平和はどう実現するんだって?
あ、ああ。そういえば、そういう話だったね。
熱狂も今は通り過ぎて、なんでこんな事になったやら。
冷静になってみりゃ、ギター1本で世界平和なんてさ。
夢見がちで絵空事、有り得ないってのは分かります。でもさ。
戦争よ、止まれ。と願うほど。
この解答は1番美しい。
その事実に、異存はあるかな?
というわけで、予告してた短編、「減っていく話」でした。
いやはや危ない、なんか悪いモノに取り憑かれてたみたいなんだけど、ロックンロールに救われました。
次回はなんかカッケェ独語タイトルの話にしようと思っていま……した。んですけども。
アイディアがまたひとつ増えたのと、「あとがきネタの鮮度」という謎概念が生まれた結果、そっち先に書きます。明日更新。
あとがき下のところから、評価を頂けると作者のテンションが爆上がります。よろしくね!^^