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Last Resort  作者: 当廟
7/36

7

あの後レイズから武器を受け取った。



鉄のポールウェポン/品質C-/重量28

斬15/打14/突12/耐久210

特殊効果 なし

カスタム 

刃の広い斧を連結している 

棘を模した形状の金鎚を連結している

短剣状の先端部を連結している

石突の重量増しバランスを調整している



まず重い。両手で持ってもズシリと圧し掛かる重みはきっと莫大な威力をもたらしてくれるだろう。

そして長い。石突から先端まで2mはあるだろうか。自分の身長は完全に超えている。

重く長く何でも出来る。使いこなせるかはあんた次第だと笑うレイズだったが、こんなもの見せられたら頑張っちゃうよね。

練習行きましょう。楽しみだとてもワクワクする。











飛び込んでくるウサギに合わせ体毎捻り勢いを乗せた斧を当てに行く。


現状の身体能力では腕だけで振り回すことはできない。確実に腕力が足りないし速さが足りない。

なので捻りをもって加速し、その方向を導き回転させることで動きを止めずに振り回す。


なんだ、斧とメイス役に立ってんじゃん。


そのあとも兎相手にポールウェポンを振り回しカウンターを狙って迎撃していく。

重心が偏っている分取り回しに若干の癖があるな。それに最大リーチでは扱えないだろうな、体ごと持っていかれそうだ。

感触を確かめ振り回しバランスを取りこの重量物が手に馴染んできたところで声をかけられた。


「よぉ、それがお前さんのメインウェポンか?」


誰だ此奴とは思わない。唸れ俺の灰色の脳細胞。思い出したわ、さっきの会議の時いた人だわ。


「RZだ、アンタ考え事してて話聞いてなかっただろ?」


「悪いね、その通りだよ。でも今覚えた安心してもう忘れない。たぶん」


「たぶんかよ、悲しくて泣いちまいそうだ」


取り留めのない話をすれば自然と時間は過ぎ集合時間となる。

遊撃追加はレンジャー系のアヤカとヘルツという格闘系の魔人。


「いやぁーこんなとこでまた会うなんて奇遇ですねぇー改めまして魔法主体のレンジャーのアヤカです。よろしくお願いしまーす」


「あの時の。おかげで助かりました。感謝してます」


「もっと恩を着て貰ってもいいですよ?利子だけで生活できるくらいに」


「過払い金請求しなきゃ」


「額が大きいだけなのでセーフ、ノットギルティ」


「まじかよ道案内人に転職しよ」


「さって、そろそろ出るみたいですよ?」


振りむけば会長がこちらを見ていた。なるほど皆準備万端ね。

それじゃあ初めてのPT戦とボス対峙行きましょっか。











視界に表示されたマークから視線を外し、二度目のインスタンスエリアへ。


フィールド境界線を越え一種の浮遊感にも似た感覚が当てにならない独特の不安感が襲ってくる。

感覚が戻り地に足がつけばそこは再び開けた街道。


先程まであれほどまでに眩しく照らしつけていた陽の光はどこへやら。闇に包まれ幽かな星の灯りだけが唯一の光源である。

月はなく人の灯りもない。黒く染まった空間だけ。


会長やRZ達、ヴァーミリオン…もう一個のPTの人です。さっき知りました。が消費アイテム型の光源を使用すればアイテムとして規定された範囲が照らし出される。


まぁ灯りなんてなくても俺は見えるんですけどね、皆には絶対必要だろう。


灯りによって色を取り戻した空間はどことなく覇気がないように感じてしまう。そういう演出なのだろう。夜しか来ない空間ならばという過程によって作り出されたように感じる。


やっぱり太陽の光って大事よね、元気の源って感じ。だからこそ日中にみんな活動するし逆に危なかったり。


あぁこっち見てるね、動かないけどさ。さっきもそうだった。こちらが範囲に入らなければ彼は動かない。


財力という名の一種の暴力によって今や街道は明るく染め上げられていた。それでも尚足りない光量が陰影を浮かび上がらせ、より一層強者としての風格を形作る。


設置制限とリキャなしって悪用効きそうな仕様だよなと思わず穴を探してしまう。でもまあそういう仕様の穴って突いてなんぼなところあるもんね。

だってしょうがないじゃない楽しいんだもん。


前回は忘れてたけど今度こそ識別先生をば



モーサ・ドゥークLv?/?

フィールドボス/ノンアクティブ

適性:?/属性:?

スキル:?



はい、何にもわかりません。俺の先生では些か力不足のようで。


でも1ボスだ。初めてのボスってのはちゃんとゲームを楽しめるように最低限理解して慣れたかチェックするため強敵というよりはテストみたいなもの。

…と思いたいんだがどう見てもそんなレベルの相手じゃねえよなぁ。


光源の設置も完了したようで。


「では始めましょう。打合せ通りに。―――行きますッ!」


開幕一発、会長の火魔法によって戦いの火蓋が切られる。


「―――――GuuuuuoOOOOOOOOOONNN!!!」


ただの咆哮、それによってかき消され火の粉すら届かない。


体高3m超える巨躯が爆ぜる。狙いはまぁ会長だよな当然。以前やられたように首を噛み千切らんと飛び込んで来るボスとの間にタンクが割り込む。


やるねえ!そんな光景を横目に眺めながら後ろへと回り込む。明るいところは、動きやすいところは皆に譲って俺に出来ることを、皆がやりにくいところからやりましょう。遊撃だもんね。


「シャドウフィールド」「ヘヴィミスト」


影の中をさらに薄闇と濃霧が覆いつくしていく。


ちょっと前に気が付いたんだけどね?潜伏とハイドアタックのコンボこれさ、戦闘状態でも完全に敵視を切って非補足状態に入れば使えるんだ。


潜伏を起動し


「ブラックペイン」「ヒートイグニッション」


バフを乗せていく。


大丈夫、霧で見にくいけど聴こえている。闇が隠すが強化された感覚が位置を伝えてくる。

大地を踏み砕くように加速して霧と闇を抜ければ


「――――ッ!」


声には出さず後ろ脚目掛け斧部を叩き衝ける。全速力と体全てを使って生み出した遠心力。それにハイドアタックを乗せれば結構な威力だろ?


不意に踏ん張りを利かせていた足を弾かれ巨躯が傾ぐ。

後ろ脚の斬りつけた部分が燃えながら黒い靄を発している。


レジストされなかったのは運がよかったね。完走すればDotだってかなりのものだ。


一瞬ヘイトがこちらに飛びそうになったけど大したものできっちり取り返し固定してくれている。

攻撃は通じるし動きは見える。でも、圧倒的に速度で負けている。だからこうやって攻撃が飛んでこないというのはとても助かる。


都合3PTによって半包囲されそれぞれのタンクが攻撃を防ぎ、合間にメレーが攻撃を叩きこむ。レンジとソーサラーがその背後から頭上を飛び越えるように攻撃を打ち出し続けている。


いいね、PTで役割分担ってのがとてもよく見える。コミュニケーション能力も高くないからさそういう固定PTってのに馴染めないし組む機会を作れない。そういう自分から見るとPT単位で動いているのは酷く眩しく見えるよ。


背後を庇い車線を通さないようにする動き、真似することはないけども参考にはさせて貰おう。皆ボス倒すつもりなだけあるね。うまいよほんと。



そんなこんなでいいペースでHPを削れば大体8割程度に、数分でここまで来たなら結構いいペースなんじゃないでしょうか。


「8割切ります!行動パターン変化に注意!遊撃部隊雑魚任せます!!」


モーサ・ドゥークが再び一御吠え。急に沸いてきたね。さっきまで気配のかけらもなかったのに。


巨躯を挟んで光源の反対側、すなわち俺の位置している場所。数は1、2、…たくさん。


確かにこれは1PTでやろうものならきつい数だな。逆に言えば連結4PTのレイド編成ならば対処できる。


PTで役割分担した結果個々人での対応能力が落ちるのだろう。それぞれが役割に徹し最大限のパフォーマンスを発揮させることで結果個人6人より大きな成果を出す。その用途に自分を構成したから。


だから俺たち、ソロで好き勝手やる奴ら、全部自分で何とかする奴ら。いい役割分担だと思います。


光の陰のはざまから顔を出す雑魚たち。こいつら夜出てくるあいつらじゃん?



影狼Lv10/エレメンタル

虚影実体/アクティブ

適性:地上/属性:闇



違う子でした、ごめんなさい。


真っ黒で表情の読めない平面のように錯覚してしまうその体色。なんちゃらブラックだっけか、99.9%以上光を吸収するってやつ。

明らかに違うのはそれと区分かな。影の実体、エレメンタル。そういうことなんでしょう。


でもまあレベル的にもそこまで差はないからさ、極端に強くなってるってこともないはず。

それにちゃんと地面を蹴って動いてるし跡も残る。実体はありそうだ。問題ない。


片っ端からぶん殴れ。



勢いを乗せ頭上へ回しながら斜め前へ、そのまますれ違う様に振り下ろす。続けて反対から飛び掛かってきたやつは石突で喉を衝き怯んだところで魔法と蹴りを叩きこんでいく。


こいつら無限沸きはするようだが耐久力はあまりないようで十分に威力を乗せたポールウェポンなら一撃で沈められる。

影の中を走り回りながら湧いて出た奴らを手当たり次第に狩り尽くしていく。


「リキッドアックス!」「ダークブラスト!」「ソニックブーム!」「ファイアアロー!」


単体のみだが威力がかなり上がった水のLv5魔法、速くそれなりな範囲を持つ風のLv5魔法。

闇も範囲なのだが如何せん手順が必要な呪文なので今回は初期呪文で、火はまだ4だし。


合間にチラリとボスを見る。向こうは心配いらないだろう。雑魚さえいなければ何も問題ないのだ。ほっといてもそのうち終わる。

引き続き自分の仕事をしましょう。光のあるところの雑魚は皆がきちんと処理してくれる。ここは俺の担当だ。


重量に任せて薙ぎ払い蹴り飛ばし踏みつけ斬って貫く。相手が対応する前に削り切る。


一撃で落とせなかった奴らを引き連れ走れば反転し薙ぎ払う。まとめて倒れ込んだところへ追い付き確実に潰す。

離れたところに湧けば魔法を打ち込みヘイトを取る。


「HAHAHA一匹だって影から出さねえよ?全員俺の為にここで死んでくれ!」




武器新調してよかったね、力はパワーだよ。








《フィールドボス:モーサ・ドゥークの討伐を確認》


《貢献度ボーナスにより報酬が増加します》


《初討伐報酬を獲得します》


《特定称号を確認、更新します》


《S1平原街道のエリアポータルが解放されます》


《S2工業都市インストロメリカが解放されます》


《N1サンク北雪林が解放されます》


《E1サンク東森林が解放されます》


《W1サンク西草原が解放されます》


《開放度ゲージが解放されます》


《その他各種機能等が適応されます》




《良い旅を》



数日置いてまた連日

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