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Last Resort  作者: 当廟
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E2 祈還の鉱墓


二度目の攻略始めましょうか。

まずはマスクを装着、HPゲージを横目に見ながら周囲を警戒しましょう。

hm…状態異常もなくHPの現象もないか。とりあえずは問題ないようで。


今一度改めてみると秘境感漂う素敵な街で。

崩れ自然に飲まれるように絡み合う文明の後と自然の侵食。これで遺跡とかあったらもう完全に特集組めるよ。


メインストリートであったであろう道の先には一際大きな建物が一軒残っている。

そう、まだ建物が残っている。やはり領主という街の最上位は建物からして違ったのか、蔦と苔に覆われかけている以外は。

まぁそこ行くのは最後なんですけどね、寄り道しながらだからさ。



「お邪魔しまーす」



比較的形の残っている廃屋の中へ、歓迎してくるアンデットの皆さん。

ゾンビになってまで家族総出で御出迎えなんて…腐臭で涙が。



「つまらないものですが受け取って下さいな?フラッシュオーバー!!」



発動と共にバックステップで家の外へ、同時に廃屋は倒壊し肉の焼ける匂いがマスクを通り鼻を衝く。



「二度目の蘇生もリスポーンもありませんでしたねっと。火葬代金は経験値でお支払いってか」



やっぱこの呪文って屋内とか閉所での範囲魔法だな?急激な燃焼拡大だし。

そのうちバックドラフトとかも出てきそうな気がする。

出てきても使いどころ限られ過ぎだけどさ。


よし、次いってみよ。






テロンと視界にウィンドウが表示される。

久々のレベルアップ、同時にアンロックされ取得可能になったスキルが表示される。


『魔法制御』


名前の通りで今までの狙いをつけてぶっ放すだけだった魔法を任意で操作が出来るみたい。

説明文が簡素過ぎてね。こういう時は実際に使って感触を確かめつつ操作可能な範囲を調べましょう。取得。

成長鈍化?今更じゃんそんなの。必要経験値増えた分だけ稼げばいいんでしょ。甲斐性はある方でしてよ?






魔法制御を確かめながらついでにゾンビさん達も調べております。

単体攻撃魔法だとある程度着弾までの軌道を曲げられる。

範囲魔法は広がる方向を指定できる感じだな。

エンチャントにバフデバフ、ついでにヒールは効果なし。いや嘘言ったわ。判定ちょっとだけ弄れる。丸から楕円くらいには。


でだ、問題はフィールド干渉というか展開型というか。シャドウフィールドとヘヴィミスト。この二つ。

操作しようとすると霧と闇を通して情報が流れ込んでくる。

正直廃人になるかと思った、それほどまでに強烈だった。

まるで自身の神経と感覚器官がそのまま霧として延長されたかのような不可解な状態。

ありとあらゆる情報が流れ込み脳がやめろと頭痛を発して止めに来る。

ドクドクと心臓の鼓動がいつも以上に大きく感じられ、それが更に頭痛を加速させる。

今更だけどちゃんと心臓まで再現されてんのな。


危うく情報に呑まれ自我が飛ばされそうになったわけで操作を切った今も尚激しい頭痛と吐き気に襲われております。

噴水だったであろう枯れ果てたその縁に腰を下ろして休憩中、まじで死にそう。



「頭いてぇ…気分わりぃ…」



こんなもん普通じゃ発禁ものだろ、ハード側でブロックするレベルの信号じゃん。

ズキズキと痛む頭に極力振動と慣性による動きを伝えないように慎重に体制を変える。


リアルだったら間違いなく今頃鼻血垂れ流してすさまじい高血圧で意識ブラックアウトからの泡吹いてるでしょ絶対。ビクビク痙攣してさ。

陸に打ち上げられた魚かよ。ピチピチビタンビタン。

魚から水を取り上げたら歩き出すとでも思ったか、干からびて死ぬだけだろ。


思考ぐちゃぐちゃでもう自分でも何考えてるのかがわからないくらい散らかってる。


目をつぶって寝転がる。視覚情報をなくすだけでもだいぶ楽だな…

これ夜間じゃなくてよかったよまじで。日が落ちてたら絶対廃墟から出てくるパターンでしょ。


…ぼやきながらもグダグダとしていたことで少しは落ち着いてきた。


思考を戻そう、手動操作とゾンビーズだ。


ゾンビーズはE1第二山域のがちょっと強化されたくらいで特に問題はない。欠損程度じゃ止まらないのとそこそこタフなのを除けば鈍足モブだ。あと火葬が良く効くし浄化でも逝ける。

反応速度が遅すぎてまじでただのサンドバック。


手動操作なぁ、さっきのが効き過ぎて正直もうやりたくない。

だがしかし、あれ絶対使いこなせば系の奴でしょ。


情報過多で脳を焼き切られそうにはなったが、逆を言えばそれだけの情報を取得できるわけで。

地面の砂粒の数や形状なんかの無駄な情報さえ削ってさ、処理できるレベルまで落とし込めばいいわけだよ。

そう、だから意識して起動する必要があるわけだ。

現状じゃ詳細なんていらないから、精度を落として概要を把握する感じを。



「ヘヴィミスト」



息を深く吐き無理矢理に落ち着かせる。

霧に触れた物が在るか無いか、それだけを判別する。光は要らない、音もいらない、必要なのは鈍い触覚。


―――魔法制御、接続



「あああああっ!!頭が割れる!!」



やっぱ無理かも。











諦めた。あれで索敵しようってのが間違いなんだ。人の脳は霧と接続できるようには出来ていない。

そうだ、そういうことにしておこう。ほら、霧も肯定してるし。


霧との間隔共有は先延ばし、というか意識して切らないと接続されるのがやばい。

不意打ちでスキルが廃人生産機と化してくる。

もうこれだけで稀代のクソゲー認定してもいいくらいだ。


今は全感覚シャットダウンで霧を思考操作して慣らしてる。

情報爆撃を食らった後じゃこの位何ともないぜと言ってしまいそうになるくらいには余裕がある。

先に高負荷を体験したせいでね。


右に、左に。圧縮して解放。グルグル回してぶん回す。

シャドウフィールドも追加し薄闇と霧の混ざった何かを動かす動かす。

これさ、ある程度圧縮して留めるとそこそこの強度になるんだよなぁ。


よくある回転鋸をイメージして圧縮からの圧縮。こわっ、もっとやろ。






何だかんだで納得のいく形になったところで探索を再開。

突撃隣の遺品漁りをやりきったところで本日の目玉、領主の館でございます。


半ば腐り落ちた鉄柵らしきものと石垣に囲まれた館。

数百年と人の手を入れず野晒にされていたにしては綺麗すぎる外見をしている。

築30年とか言われても納得するレベルだな。



「魔法かな?状態保存か、結界的なものなのか。魔道具の線もあるか」



普通に考えて現実的でないならば、ファンタジー世界由来の可能性を考慮しましょう。

そういう物があるかもしれないと備えておくのは大切だしね。

ということで



「お邪魔いたしますわ!攻略のお時間ですことよ!」



ダイナミックエントリー、扉を蹴り放ちオープンザドア。


一歩足を踏み入れた瞬間に空間が歪む。

あ、これダメなやつ。ボスエリアだろここ。

立ち眩みを酷くしたかのようないつもの感覚。見えているのに見えてない。

感覚が遮断されているかのような奇妙な齟齬と共にエリアが切り替わる。


これまじで何とかならないのかよ。




そこは広々としたエントランスホール、天井から吊るされたシャンデリアに明りが灯り、その姿を曝け出していく。

白を基調とし金と赤で彩られた空間、中央の円形の吹き抜けを囲う様に、両サイドを階段が伸びている。

燦然と輝く空間は何処か気品を感じさせ丁寧に作り上げられた事が感じ取れる気がする。気がするだけ。

デザインとか色のセンスがないものでね、黒くてトゲトゲしてるのが好きなんです。

流石にリアルではそんな恰好しないけど。


思考がそれたがよくある貴族のエントランスって感じです、テンプレ万歳。


カツカツという音と共に中央二階席に領主様のご登場です。両脇にプレートアーマーを着込みタワーシールドのようなバカでかい盾持ちが二人。

ガチャりという音と共にあちこちから使用人の方々がこんにちは。


えっ、あのどれだけ出てくるの。もしかして:無限沸き。

とりあえず突っ込め。






飛んでくる魔法を躱しゾンビを蹴る。よろけた相手を斬りつけ頭と胴をお別れさせ、浄化を掛けなおしながら移動開始。

今のところ戦闘自体に問題はない。ゾンビはやっぱりゾンビらしく、相手の予測コースから外れるように動けばこちらを捉えきれない。

具体的に言えば切り返しに対して反応がラグい。思考能力だけじゃなく反応速度も落ちてる感じだな。

E1ゾンビと比べてかなり綺麗な死体ではあるものの劣化は免れないか。

せっかくの綺麗な青白い血の気の引いたお顔ですのに、口開けっ放しははしたなくてよ?


だがやはりボス戦で出てくるだけはあり火力と耐久がケタ違いに上がっている。

振り下ろした腕は石造りの床を割り、自身の腕を反動で自壊させるほどの威力を持っているし。

よくある死んでリミッター解除状態的な奴かな、出力に強度が見合ってなくて耐えられない奴だ。


そして耐久、肉体強度はそのまんま。ただし機能停止に至るまでの損傷許容範囲が跳ね上がってる。

防御で受けるってよりHPで受けるってやつだなこれ。おまけに多少の損傷なんて構いやしないから、捨て身の特攻が怖すぎる。


蹴りで突き放し魔法で焼く、振り下ろしたハンマーヘッドで頭を爆散。

だめか、見当違いのほうへ歩いてはいるが活動に滞りなし、大幅な制限は入ったけどね。


ザクリとリーチを生かし腕を斬り飛ばす。魔法で牽制し手足を全て切り離し行動確認。

意味なし、次。


緩慢な横振りを掻い潜りその場で捻る、振り返ってくる前に脊椎を蹴り砕く。

骨を砕き腐肉を潰す感触がブーツ越しに伝わってくる。

範囲魔法をぶっ放し他の雑魚を牽制しながら横目で経過観察を。

腕、動く。脚、反応なし。伝達経路の破壊は有効か、損傷部以降の末端は機能が停止するな。

頭はセンサーで神経はそのまま伝達経路、なら動力は心臓あたりか?



「浄化」「フラッシュオーバー」「ソニックブーム」



特攻乗せの範囲二連続でノックバックさせ一旦仕切り直し。

流石に浄化乗せても範囲魔法の一発二発じゃ落ちない程度にはしぶとい奴らだ。

処理速度が沸き速度こ超えないせいで一向に数が減らない。

おまけにこれだよ。

お偉いおっさんからヒールが飛んできて行動不能にした奴らを戦線復帰させやがる。


オッサン本体を狙えば両脇の騎士が素早く反応し固めてくる。明らかに反応速度も動きも違うんだよなぁ。

盾を蹴って後退、群がってくる使用人に掴まれないように退避退避。


硬すぎる、足を止めたら拘束されてゲームオーバー。

使用人を減らさなければ限られた空間を飽和させて終了。

領主を落とさなければ消しきった雑魚以外は戦線復帰の無限ループ。

ついでに騎士が反応よすぎで硬すぎますね、泥仕合。



「浄化」



穂先を心臓へ突き入れ中から浄化、一撃で削り切ってヒールを許さない。

やっぱ心臓か、潰せばいけるじゃん。

これ魔法とか怨念的コアでもあんのかな。蹴りで物理的に潰しても意味なかったし。

次魔法で潰すか。


ぶつりぶつりと腐肉に塗れた脆い腕を近付く端から切り落とす。

血が凝固してるのか噴き出してこないのはいいな。他は色々見えてるけどさ。

小刻み後ろへ下がりながら群れをコントロールしていく。囲まれないように処理しやすいように。


吐出した奴の足を薙ぎ地に落とし、強化されたグリーヴの踵で頭を踏み砕く。

バキリという一瞬の感触の後にグリーブは床へと到達。ゾンビさんは未だ活動中。



「リキッドアックス」



動けない的に近距離からなら誰だって外さねえよなぁ。

ギロチンの刃のような分厚い水刃が胸部を叩き割る。武器で斬り飛ばしただけなら両腕が動くはずだが…


動かんね、ついでに完全に倒せたようで。まあこんなことしてる間に近くの扉から二人ほどゾンビが追加されてるんですけどね。



「ダメだな、このままじゃ火力足りてねえわ。処理しきれんね」



範囲魔法連発できれば処理できなくはない、でもリキャスがなぁ。あとDPMも。

フラッシュオーバーとソニックブームのリキャストが30秒、消費は5%。

でもって確2範囲に収まってるかといえば全然。当たり所良ければいけるけど、それは計算に入れるもんじゃない。RTAだのタイムアタックやってる時だけだ。

祈り脳筋正面攻撃最強。

ではなくて、範囲2発にヒートリテンション加えても良いとこ半々位か。そもそもMP消費が激しすぎて回復追い付かないだろ。マナポも数ねえぞ。


MP切れはヒールにバフと浄化が使えなくなる完全バッドエンドコース。


じゃあどうするか。


こうします。



「ヘヴィミスト」「シャドウフィールド」「フラッシュオーバー」「ヒートリテンション」「ダウンバースト」「浄化」



加えて

――魔法制御



濃霧と薄闇が混じり合い形を変えながら圧縮されていく。

渦を巻くように操られた気流に乗り、高速で回転しながらその刃を研ぐ。

保管された爆熱が断続的に解放され刃を更に推し進める。

自身を中心に、空間を縦横無尽に飛び回るサーキュラーソーによく似た刃は4丁。


エンジン音のよう音を響かせ風を切る聖なる刃。



「HAHAHA!何もない所からだって出来ちゃったなあ!回復と防御の上から削り殺してやるよ!鋸だけに?鋸だけに!」



虚鋸乱舞でDPS高めていこうぜ、頭痛いけどさ。


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