2. ひと気のない宇宙ステーションのリビングアーマーと人間の子供の霊
俺はがらんどうの鎧が動いている魔物リビングアーマーだ。俺は昔、生まれたばかりのころに、ブルブル震えてる人間の子供の霊を拾った。俺はその後も、人間の子供の霊を鎧の中に入れたままにした。子供が震えているので、鎧である俺も震えるようになった。それから、色んな気持ちや感じを感じるようにもなった。
人間に擬態した俺達は、ひと気のない宇宙ステーションにいた。
「いらっしゃい。人間の男性、リアンさん。1名様でよろしいですか? 亜空間転送でお着きなので宇宙船ドックのご利用はございませんね?」カウンターの女性が受付をしてくれた。
「ああ? 何それ? ……あ、ああ、個人用の馬車は持ってきてない。大丈夫、駐車場は使わないよ。ちなみに、ここは妙にひと気がないけど大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。このステーションは廃棄されたわけじゃないです。ただ、ちょっとさびれているだけです」
ステーション内の生命反応は、この女性一人分しかない。俺は、ちょっとさびれすぎじゃないだろうかと思ったが黙っていた。
俺達は宿へのチェックインを済ませた後で、居住区内をうろついた。
《ブルブルブルブル…………》人間の子供の霊はいつものように震えていたが、ある場所に来たら急に震えがひどくなった。
(ここは、なんだ? 人間の子供の霊が何かに反応してるみたいだが……。ん? 俺にも何かが見える)
よく感じて見ると、そこには沢山の子供達の霊が震えていた。人間とはちょっと違う種族の子供達のようだ。
「リアンさん、あなたには何か感じられますか?」受付カウンターの女性がいた。
《ブルブルブルブル…………》人間の子供の霊の震えがさらに酷くなった。俺の鎧の震えも酷くなった。
「この場所で異星人の子供達が人間の軍隊に虐殺されました。だから異星人は、人間を滅ぼすことにしたのです。あなたも死んでください!」そう言いながら女性は腕を長く伸ばした。
カン! 腕は大きなハサミのようになり俺の胴体を切ろうとしたが、俺の鎧は切れなかった。
俺は人間の擬態を解き、剣を振るった。
「アアアアアーーー!!」女性を両断した。女性は上半身の一部だけが人間で、後は異星人の機械のようだった。
「異星人に改造されて操られてたわけか……」
「ありがとうございます。……異星人に捕まり改造された私を殺してくれて。これでもう、……人間の同胞をだまして殺す手助けをしなくてすみます」
「だます手伝いを強制されてよっぽど嫌だったんだな」俺は女性の墓を作った。
「これで依頼は終了だな。よっしゃ。帰るか……」
俺達は亜空間転送装置に魔法陣を刻み、異世界転移して帰ったのだった。
ひと気のない宇宙ステーションのリビングアーマーと人間の子供の霊 :おわり
SFっぽい話は、未来の時間軸で、未来の冒険者ギルドの「異世界含む歴史改変や時空を乱す規模の感情的なもつれへの対処」依頼を遂行してる、のではないかと現時点では何となく想定しています。