1. 人間の子供の霊と出会ったリビングアーマー
俺はがらんどうの鎧が動いている魔物リビングアーマーだ。俺は昔、生まれたばかりのころに、ブルブル震えてる人間の子供の霊を拾った。その子を鎧の中に入れて保護してたら取れなくなっちまった。
ある日、弱弱しい光を見た。俺はその光が気になり近づいてみた。
がらんどうの俺の鎧の中にその光が入って来た時、初めて俺は自分がリビングアーマーだと意識した。
《ブルブルブルブル…………》その光は、人間の子供の霊のようだった。ブルブル震えていた。
それまでの俺は自意識がなかった。漠然と敵を倒すことしか考えたことがなかったと思う。
(俺の目の前には何があるんだろう?)意識を得た俺は、周りに興味がわいた。キョロキョロと見てみた。ここは滅んだ都市のようだった。
《ブルブルブルブル…………》人間の子供の霊はいつまでも震えていた。何も話さなかった。まだ小さくて言葉を知らないまま死んだのだろうか。
「うあぁああ……」グールが寄って来た。
「うまそうだぁぁ……」手に手に槍や剣を持っている。
「腹の中の、その子供をよこせぇぇぇ」落ち武者達のようだ。
「やらねえよ!」俺は剣をふるった。
「がぁぁぁぁ!」「ああああぁぁぁ!」「喰いてえぇぇ!」グール達は細切れになった。
俺はその後も、人間の子供の霊を鎧の中に入れたままにした。子供が震えているので、鎧である俺も震えるようになった。それから、色んな気持ちや感じを感じるようにもなった。
人間の子供の霊と出会ったリビングアーマー :おわり
この連載は同名の短編を基にしています ↓
リビングアーマーの中にいる人間の子供の霊はブルブル震えている
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