卯月
序章
最近の私は飢えている
何に飢えているのかは判らない
只酷く 心が渇くのだ
憧憬を抱いた存在は 欠けてしまった
きっと涙を流しすぎたんだ
彼等も私達も
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第一章
感情の羅列は時に後悔の根源となるだろう
尽きぬ業を背負うことが
我等と彼女が人間たる証明であるなどと
誰が云ったのだろうか
誰も云ってはいないのかもしれない
忘却を重ね合わせて
罪人は糸車を廻す
彼女には幸せでいてほしい
彼女には不幸がお似合いだ
僕は否定する 拒絶する 消去する
羅列された感情は僕のモノではない
空白で在れ 空虚で在れ 混沌で在れ
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第二章
癒えない傷 繰り返す悪夢
1週目は赤い人
2週目はドッペルゲンガー
鈴の鳴る木を目印に
先頭を指す青い枝
白猫を追って暗室を抜け
契約書にサインして
嫌疑をはらす探偵と言葉を交わそう
童話作家と交渉しよう
暗室を彷徨う帰り道
猫はもういない
無事に帰れたのなら
3週目が待っている
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第三章
分裂した意識の統合
実験の失敗
伝播する精神の恐慌
真実の公開
生命は水の夢を見た
人に仇為す存在
嘲笑する悪魔と対価
契約と誓約の代償
物語作家の存在と代価
分裂した記憶の統合
現実は次の世代へ
実験の成功
騎士は剣を交え
道を塞ぎ
信じぬ径へ
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終章
乖離した人格 理想 夢現
全て桜の所為にして
描いた道は塗り潰して
蝙蝠と夢想 夜道と水に溺れ
角灯に問う 私は誰か
鏡の向こう 映る来世
何としても彼女に逢わねばならない