表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/200

98 葵に感謝

佐藤です。


水族館に遊びに行き、そのあと、鎌倉に行って、楽しくすごした俺たち。

夜になって、俺が北山さんを家まで送り、山中が桑島さんを家まで送った。


俺たちはその間、完全に二組のカップルになっていた。

そう、いつもなら、4人といっても、男二人と、女二人って感じの行動だったのに、男女がくっついて行動するというダブルデート状態で行動した。

初めての経験でドキドキの連続だ。


俺と山中は意中の相手ではない女の子と一緒に行動していることについて、最初気まずさを感じてはいたが、女の子たちがすごくニコニコしているので、これが一番自然だと思うようになっていった。


嬉しそうな女の子たちの顔をみると、俺たちは当初好きになっていた相手のことなんかどうでもよくなっていたのである。

俺たちは、今自分の横にいる女の子が最高のパートナーだと思うようになっていった。


そして、自宅に帰ってから、山中と電話で話す。


「ごめん!俺、北山さんと付き合うことになっちゃたよ!

何かわけわかんないけど、小出の言うとおりに、北山さんと一生懸命話をしたら、北山さんの可愛さに気づいて北山さんしか見えなくなった。

そしたら、もう気持ちにブレーキがかからなくなって、付き合ってくれって言っちゃったよ!

しかもオッケーももらっちゃったんだ。

うーん、何でこうなったのか不思議なんだけど。」


「こちらこそごめん、実は俺も桑島さんの可愛さに気づいちゃったよ。

俺も桑島さんと付き合う!

気づいたら付き合ってくれって申し込んじゃったよ。

いっしょにいたら、すごくしっくり来たんだ。

背の低い俺は背の高い北山さんより桑島さんといる方がバランスがよくて、安心感があった。

考えてみたら、二人とも可愛いから、恋愛対象が入れ替わっても問題ないな。」


「ははは、こうなるとは思わなかったよ。

うん、問題ない。

女の子が喜んでくれれば、どちらでもよかったってことだ。

確かに二人とも同じくらい可愛いんだからな。」


「そうだな。そんなこと女の子には言えないけどね。

でも、・・・俺、今は桑島さんに本気だ。」


「俺だって・・・北山さんに本気だ。

それにしても、小出のアドバイスって、すごいな。

相性がわかってたのかな?」


「うーん、どうだろう?逆になったらうまく行くってわかってたのかな?

そうだ、視野が広かったのかもしれないな。

俺たちは最初に決めた対象しか見てなかったから、恋愛の展開が読めなかったってことかも。

恋は盲目って言うけど、ちょっと視点を変えてみたら幸せが隠れているってことだ。」


「とにかく小出に感謝だな。あいつの作戦勝ちだ。」


「そうだな。あいつにはもう頭が上がらないな。あいつに頼まれたら、もう断れない。」


「そうだな。俺たちの青春をリメイクしてくれたんだから、大恩人だ。大きな借りができた。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



葵です。文乃と純華が男子と水族館に遊びに行った日の夜は大変でした。


二人が長電話してきたからです。

二人とも大興奮で、声は大きいし、すごくハイだったので、びっくりしました。


まずは文乃です。


「葵、聴いて聴いて!!

何と佐藤君と付き合うことになったよ!

急転直下だよ。ほんと、嘘みたい!

今日は、佐藤君が私に対してすごく積極的だったの!

その・・・私の目をみて、一生懸命話してくれるし、二人きりになろうとしてくれるし、

いつもと全然違った。

ほんと、突然だよ。

すごく嬉しかった。

だから、私も調子に乗っちゃって、歩きながら、私の方から手を繋いじゃった!」


「ええっ?そんなことして大丈夫だったの?

変に思われなかったの?」


「うん、全然大丈夫だった。

もう自然な流れって感じだった。

それで、さらにムードが良くなって、佐藤君が交際の申し込みをしてくれたの!

超うれしかった!

もちろん交際オッケーしたよ。

つまり、彼氏ができたー!

ついにこの世に生まれて16年目で!

先に作ってごめんね!!

でも、すべて葵のおかげだよ。ほんとに感謝してる!

いったい、どんな魔法の言葉を使ったの?不思議不思議!!

でも、・・・うん、いいや、それ以上聴かない。結果オーライだもん。」


私は、ほっとしました。

私が考えた作戦はうまく行くか自信がなかったから・・・

男子が最初に好きになった相手に執着するなら、この作戦はダメだったと思う。

今回は二人の女子が同じくらい可愛いかったこそ成立した作戦だったかもしれない・・・そう振り返ります。


文乃からの電話が終わると、すぐに、純華から電話がありました。ちゃんと二人で打ち合わせしてたみたいです。私は嵐のような興奮に再び巻き込まれます。


「葵、ありがとう!

今、すっごい幸せ。

どういうわけか、山中君が急に私と仲良くしてくれたの!

それに、すごい積極的で・・・私の顔をめちゃ見てくれるし。ドキドキの連続!

それで・・・なんとなく、いい雰囲気になって・・・

そしたら・・・何と、山中君が付き合おうって言ってくれた!

もう、びっくりした。

信じられなかった。まさかの展開だよね。

前回会ったときにはすごくつれなかったのに。


とにかく、ついに、・・・ついに私にも彼氏ができた!

本当にありがとう。魔法の言葉を使ってくれたんだね。

どんな言葉か知らないけど、すごいよ。すごい!!

きっと・・・葵にも、絶対素敵な彼氏ができると思う。

魔法の言葉を持ってるんだもん!


けど・・・、先に彼氏つくっちゃってごめんね。

本当にありがとう!!」


純華は超ハイになっていました。


まさか、こんなにうまく行くとは。


私も、彼氏ができたら、このくらい嬉しい気分になるのかな?

今みたいな中途半端な体じゃとても彼氏なんて作る気分になれないけど・・・。

性転換手術が終わったあと、男子を本気に好きになれたらいいな・・・。


それにしても、ねじれのあった恋愛模様も、ちょっとしたきっかけで、修正できるんだ。

そのきっかけを作れたのはラッキーだったかな?

うーん、青春だ。

私も、演劇で青春をがんばるぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ