97 小出のアドバイスはどうなんだろう?
俺は山中健太。
男子校である桃花高校の剣道部に在籍している高校1年生だ。
今日は親友の佐藤友樹といっしょに、グループ交際をしている桃花女子高校の二人と会うことになっている。
今日は、江の島の水族館を見に行く予定。
これで、4人で遊びに行くのは5回目。
でも、1回目から4回目とは違うミッションがある。
今までは、単に4人で楽しく過ごせればいいと思ってた。そして、俺は大好きな北山さん、佐藤はやはり大好きな桑島さんとカップルになれればいいなと思ってた。
でも、全然うまくいかなかった。俺が北山さんにモーションをかけても、全然反応がなく、佐藤が桑島さんに積極的に話しかけても、何となく盛り上がらない。
もしかして、女子二人は俺たちが知らないどこかの男子を好きになってるんじゃないか?って思い始めていた。
そんな時に、小出から、アドバイスがあった。4人で会う時に、自分が好きな相手ではなく、別の女子と話し込んでみれば新たな展開があるかもしれないという意見だった。つまり、人間関係が活性化して、4人の仲が深まり、目当ての女の子とうまく話せるようになるかもしれないという意見だった。
よくわからなかったけど、行き詰っていた俺たちはそのアドバイスに乗ることにした。
「よし、佐藤。今日は俺は桑島さんと話し込む。焼きもち焼くなよ。これも作戦だ。」
「おお。そっちこそ焼きもち焼くなよ。俺も北山さんとできるだけ話し込む。がんばるぞ。」
俺たちは恋愛対象ではない女子との会話をいっぱいするという作戦に向かった。
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北山文乃です。
きょうは江の島水族館に来ています。
暗い通路を4人で歩いています。
うわっ、どうしちゃったんだろう?いつもは全然話をしてくれない佐藤君がいっぱい話をしてくれる。
しかも、すごく素敵な笑顔を見せてくれる。
すごく楽しい。私も自然に笑顔になっちゃう。
葵ったら、どんな魔法の言葉をいったんだろう?
まあいいや、とにかく楽しもう。
あ、佐藤君がすたすた前に進んでいくからついていったら、二人きりになっちゃった。
まるで二人きりのデートみたい。
よーし、こうなったら勝負だ!佐藤君と腕組んじゃえ!
それで・・・恥ずかしいけど・・・おっぱい、・・・押し付けてみよっ。
ちっちやいオッパイだけど、男の子には効くよね?
ドキドキしてくれるかも!
桑島純華です。
水族館の中、4人で歩いています。
あ、佐藤君がすたすた前に進んでいく。
おお、文乃がついていっちゃった。
二人とも足が長いから、速いなー。
あ、通路の先に行っちゃった。もう、見えないよ。あっという間だ。
もう、二人っきりでどこに行くつもり?
「あの二人、先にいっちゃったね。俺たちはゆっくり行こうか?」
ええ?
どういうこと?
不思議だ。山中君が私の顔をいっぱい見て、話しをしてくれる。
戸惑っちゃうけど、すっごく幸せな気分になる。
話がすごく弾むし。
文乃と佐藤君が二人で前の方に行っちゃったから、私たちも二人きりだ。
やったー!二人きりのデートみたい。
誰もいないないら・・・そうだ、腕組んじゃおう!
こんなチャンスない。
私の胸・・・小さいおっぱいだけど、武器にはなるはず!
私は勇気をだして、山中君の腕に抱き着くように腕を組みます。
胸を当てるように。
山中君、ちょっと驚いているけど、イヤじゃなさそう。
顔が赤いかも。照れてるかな?
もしかして、ドキドキしてる?
「山中君、私の胸ちっちゃいけど、ちっちゃい胸の女の子ってダメかなあ?」
「そんなことないよ。桑島さんみたいに可愛いなら、全然オッケーだよ。」
「わーっ、嬉しい。じゃ、今度は手を繋ごうよ!」
私は、もう暴走します。
こんな機会今までなかったんだから、最大限活用しないと。
私は恥ずかしいと思いながらも、思い切って手を繋ぎます。
山中君の手、けっこう大きい。うん、たくましい。
できるだけ長く手を繋いでいたいな。
私の気持ち伝わってるかな?
私は恥ずかしいなと思いつつもしっかり手を繋いで歩きました。
たぶん、山中君も恥ずかしいと思ってるかもしれませんけど、嫌がってはいません。
むしろ私以上に強く手を握ってくれてる感じがします。
これは・・・イケるかも。
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佐藤です。
うわっ、北山さんと二人で歩いていたら、北山さんが腕を組んできた。どうしちゃったんだ?
しかも、胸が俺の腕に当たってる!
女の子の胸の感触なんて初めてだよ。どうしよ。山中に怒られるぞ。
でも、振りほどくわけにもいかないし。
「佐藤君、腕組まれるの嫌?」
「そんなことないよ。嬉しいかな?」
「よかった。じゃ、今度は手をつなご!」
ええっ、北山さん、今度は手を繋いできた。ちっちゃくて、柔らかい手だ。どうしよう。
拒否できないよ。
それにしても、北山さんスタイルいいなー。細くて、ウエスト折れそうなくらいだ。
けっこう好みかもしれない。
山中ごめん!俺、北山さんを好きになっちゃったかもしれない。
いや、好きだ!
この気持ち止まらないかも。
山中との友情は大事だけど、付き合っちゃいそうな予感がしてきた・・
ううっ、あとで、土下座して謝ることになるかな?
でも、こんなに好かれてるし、これを逃すのは男じゃない!
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山中です。
うわっ、桑島さんが腕を組んできた。胸が当たってる。
柔らかいよ。どうしよう。心臓がドキドキしてる。
「山中君、私の胸ちっちゃいけど、ちっちゃい胸の女の子ってダメかなあ?」
「そんなことないよ。桑島さんみたいに可愛いなら、全然オッケーだよ。」
「わーっ、嬉しい。じゃ、今度は手を繋ごうよ!」
桑島さんは嬉しそうな恥ずかしそうな顔で、手を繋いできた。
すごく可愛い表情だ。桑島さんってこんなに可愛いんだ。知らなかった。
とても嫌だなんて言えない。
むしろ嬉しい。
佐藤、ごめん!
俺、桑島さんを好きになりそうだ。
いや、好きになったと思う。
友情は大切だけど、この流れを切りたくない。
桑島さんと付き合いたい!
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文乃です。
結局、4人組は二組のカップルに別れて、はぐれてしまいました。水族館の中は混んでて、なかなか会えそうもありません。
その間、私は佐藤君と手を繋いで、その手を放しませんでした。
佐藤君もまんざらでもない様子で、ラッキー。
勇気を出してよかった。
「うーん、山中たちとはぐれちゃったな。イルカショーの会場に行くことになってたから、そこで待とうか?」
「うん、そうしようよ。」
私たちはイルカショーの会場で席に座って、後続の二人を待ちます。
「佐藤君、4人もいいけど、こうやって二人で過ごすのもいいね。」
私は、思わず言っちゃいます。
これって、告白みたいだけど、微妙にそうでもないみたいで、私としてはギリギリのセリフ。
「そ、そうだね。
うん、・・・今度・・・
・・・二人きりで会おうか?」
「えっ、本当?
・・・ぜひお願いします。」
「うん、そうだ・・・
俺たち付き合っちゃおうか?」
やったー、来たー!
「ええっ、あの・・・その・・・
私でいいの?」
「うん、・・・君だから、
・・・そう思った。」
「ありがとう!」
私は、佐藤君の腕にしがみついて甘えちゃいます。
女子としては高身長な私でも見上げることができる佐藤君。
たくましくて素敵。
ついに恋が始まる。
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純華です。
佐藤君と文乃ははるか先に行ってしまい、もう見えません。
こうなれば、完全に二人の世界です。
間に、小学生の団体がはいっちゃって、全然前に進めません。
でも、嬉しい。山中君と二人っきりの時間が長くなる。
「こりゃ、前の二人に追いつくのは当分無理だな。二人でゆっくり水槽を見ようか?」
「うん、そうしよう・・・。こうやって、二人で歩くの楽しい。」
「そっか・・・じゃあ、今度は4人じゃなくて、俺と二人で、どっか遊びに行くか?」
「ええっ、嘘?本当?嬉しいっ!!」
「おお、じゃ、歩きながらどこに遊びに行くか決めようぜ。」
「うん、行きたいところいっぱいある。」
「そうだ、それなら俺たち・・・ちゃんと付き合おうか?
イヤじゃなければ・・・だけど。」
「ええっ?本気?
本気なら・・・うん、いいよ!」
「本気だよ。こんなところで嘘なんかつかないよ。」
「やったー!」
私の恋がまさかのテイクオフです。
急展開です。
どうしてこうなったんだろう?
葵ったら、魔法を本当に使ったのかなあ?




