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8  続けて女の子の訓練

水曜日、基礎練習を終えたあと

生徒相談室へ。

山野先生とのマンツーマンの練習だ。


相談室に入ると先生は来ていて、

紙袋から何かを取り出そうとしていた。


女性の靴だ。

三足ある。

うわ、ヒールのある靴だ。

3センチくらいのヒール、5センチくらいのヒール、7センチくらいのヒールと高さが違う。


そういえば、山野先生はいつも7センチ以上のハイヒール履いている!


「今日はちょっとヒールのある靴を体験してもらおうと思ったの。

女子高生役ならローファーでいいけど、

大人の女性の役とかドレスを着る役とかでは

ハイヒールは必須よ。

ハイヒールは女性の足とスタイル全体をキレイに見せる魔法のグッズよ。

まずは体験してみて。

サイズは合いそうなもの持ってきたから。」


えーっ?


確かに男には縁のないものだから

体験しておくのは必要だけど.…

そのうち使うだろうけど…

今日は男子の制服着てるから

ちょっと抵抗あるな


まずは3センチ、違和感あるけど

まあ歩ける、問題ない。

5センチは、うっ、ややきついなあ

7センチは、こりゃ辛い!

背伸びしてる感じだ。

つま先が圧迫される。

山野先生、よく毎日履いてるなあ。


「ふふふ、大変でしょ?

ドレスを着るような劇では7センチのヒール履いてもらうから。

その方が、映えるのよ。

まあ、これから日常生活でもヒール履いて

練習してね。」


「はい。わかりました。」


俺は、昨日から試しているアニメ声で答える。


「ふふふ、いいじゃない。

不自然ではあるけど、男声よりはいいと思う。

これから、バンバン練習しよう!」


それからは昨日と同じ、アニメのドラマCDで声優の真似をする練習。飽きてくると昨日と同様に歩く練習と座る練習。

アニメの声優の真似はだんだんうまくなっていって、けっこう褒められた。

完全マスターしたら、今度は普通の女の子の声に近づけるように工夫することが必要みたいだ。


「最後に、女子高生のルールについてのレクチャーを少しするね。昨日予告してたやつ。

まずは、生理ね!

生理について理解してる?。」


なんで生理?

演劇には関係ないはずだけど。


「うーん、生理って、月に1回、女の子が血を出す日?

そのときは具合が悪くなって、機嫌も悪くなるとか?

あと、赤ちゃんを産むために必要な日なんですよね。」


「基本はそういう事ね。で、この日があることによって、女の子はすごく

気を使わなくちゃいけないの。自分で、生理予定日を管理して、ナプキンなんか

用意しておかなければいけないし、一日じゃ終わらなくて、1週間くらい憂鬱な日を

送るのよ。あそこは蒸れるしね。

男性が知らないところで女性は苦労しているのよ。

女性の機嫌や健康状況とかは生理次第で変わってくるから覚えておいてね。

それで、葵ちゃんには、生理日を設定してもらって、生理期間中はナプキンをつけて

過ごしてほしいの。その方が女の子の心理をよりリアルに感じられるから。」


「ええっ、そこまでやらなくても、いいんじゃないですか?」


「小さなことから、女性の気持ちを覚えていくことが大事。

やってね。

ちゃんと生理用品は支給するから。」


おおっ、命令されてしまった。

「はい。」そう答えるしかなかった。

こんなことを言うんだから、山野先生の生理ってすごく重いのかもしれない。

気を付けよう。


さて、家に帰ると、昨日みたいに、母親と姉はいなかった。

姉は大学で午後まで過ごしてるみたいだし、母親は仕事だ。


俺は、昨日、もらった下着、女の子らしい春物のニット、

家で履くようにいわれたデニムのタイトミニスカートを着る。


うーん、女の子気分が盛り上がる。


よし、声の出し方の練習と、歩き方、仕草の練習をいっぱいしよう。

自主練だ。


結局、水曜、木曜は似たような一日だった。

ただ、レクチャーは毎日違う内容となった。

水曜は、山野先生から、女性トイレの使い方を学び、

木曜日は女子更衣室における女子たちの着替え方を教えてもらった。


更衣室の話なんかは勉強になった。

マンガなんかだと、女子更衣室では女子はブラとショーツだけになって着替えるみたいだけど、

現実はそうでないみたいだ。

女子は体育の時とかは、スカートを履いたまんまハーフパンツやトレーニングパンツを履くし、

上もタンクトップとか着ててブラジャーとかクラスメイトに見せないらしい。

水泳の授業のときなんかは、服をきたまま、亀のように手を服の中にひっこめて、服を円筒形状態にした上で、ブラを外したり、付けたりするという技も教えてくれた。

男と違って、女同士でも下着を見せないし、おっぱいを見せたりはしないんだ。

まあ、すべての女の子がそうでないだろうけど、そういう傾向があるという話は参考になった。


そして、金曜日はついに制服が到着。

保健室で、山野先生、香山先生立ち合いのもと試着する。

家で、姉のお古を着てるから、そんなに新鮮ではなかったけど、新品で、プリーツスカートのラインが実にきれいなのを見ると、気持ちが盛り上がった。

家で、何回も着たり脱いだりしたりしてたので、下着を含め、無難に着ることができた。

下着は姉が買ってきたものと似たような感じのものだし、スカートのサイズも長さもほぼ一緒。

ウエストを折り曲げて、ミニ丈ににするのもうまくできた。


「わーっ、完全に女の子じゃない!それに、うまく着こなしてる。練習したの?

そういえば、お姉さんのお古があるものね。

教えることないかも。」

と香山先生。


「うん、日本一女子高生の制服が似合う男の子ね。ウエストがこんなに細くて、肩幅がせまい

高校生男子っていないもん。

そうだなあ、気を付けないといけないのは、胸がないから、ブラが油断すると上がってくることね。

例えば、電車とかバスで吊革にぶら下がったり、棚の上にあるものを取ったりしただけで、

ブラが上にずれるから気をつけてね。」


「それは、気が付いてました。

おっぱいがずれるって嫌ですよね。

対策はありますか?」


山野先生が「うーん。」としばらく考えて、答えてくれた。


「やっぱ、ホルモン治療で、おっぱい大きくすることが一番ね。

そうすれば、おっぱいがひっかかるから。ふふふ。」


「ええっ?からかわないでください。

私、ニューハーフじゃないです。」と答えたが、


でも、自分におっぱいがあったら楽しいかもとちょっとだけ思った。




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