７ 初めての女装
浴室でシャワーを浴びながら、少しだけあるムダ毛を剃る。
まあ、男としては貧弱な体だなあと、泡を流しながら改めて自分の身体をチェックする。
たぶん女の子の服は入るだろう。
でも、女の子みたいに柔らかい身体じゃない。ゴツゴツした男の身体だ。
女の子に見せるには工夫が必要に違ない。
浴室から出て、自分の部屋に戻り
いよいよ服を着ることにする。
まずは下着だ。
用意された下着は白いブラジャーと
白いショーツ、そして白いキャミソール
だった。
レースやリボンが付いていて、
けっこう可愛いデザインだ。
俺の心の中に乙女心のようなものが
生まれる。
なんか嬉しいかも。
普通の男子高校生活送ってたら
こんな可愛いデザインのものを
目にしない。
彼女がいて、エッチとかしちゃうなら
目にするかもしれないけど
モテない男子高校生にはそんな機会はない。
これはラッキーだ。
そういえば俺は可愛いものが好きだったんだ。
口には出せなかったけど。
俺はまずショーツに足を通す。
うわ、小さい。
うーん、前が盛り上がるには嫌だ。
よし、
股間に男の象徴を挟む感じにしよう！
これならある程度スッキリする。
次にブラジャーか。
サイズは・・・Aの70ってなってる。
パッドが入ってるな。これなら、胸があるように見えそう。
ネットで確認した通りにやってみよう。
まずは肩紐に腕を通して、
それから前かがみになって
背中に手を回す。
で、ホックを引っ掛ける。
おお！やった！奇跡だ！
一発で引っかかった。
これがビギナーズラックか？
１段ホックだしな。
こんなこともあるだろう。
よし、あとは肩紐の長さを整えてと。
なんか、上半身にサポーターをつけた
感じだ。面白いホールド感がある。
でも、実際にはおっぱいの膨らみなくて
引っかかるものがないからすぐズレそう！
注意しないと。
うーん、演劇部引退するまで、手術して
胸にシリコンとか入れられないかな？
現実的じゃないけど。
さてとどんな感じかな？
俺は恥ずかしかったけど、部屋にあった姿見(全身鏡)に姿を映す。
おお、色気はないけど、スレンダーな少女の下着姿に見えないことはない。
贅沢言うなら胸の膨らみとヒップの丸みがほしいかな。」
そして俺はキャミソールも身につける。
うーん、この姿もいける。
可愛い！
さらにブラウスを着た。男子のワイシャツと
ボタンが違うのではめづらい。
いよいよチェック柄のプリーツスカートだ。
おっ、ウエスト部分のホックをはめるところがアジャスターになってて、ウエストサイズが変えられる！
太っても大丈夫ってことかな？
よし、まずは一番細いところに設定しよう！
おっ、ちゃんと留められる。
よかった。姉貴とウエストサイズ変わらないんだ！
うーん、ちょっと丈が長いかな？
そうだ、姉貴はウエスト部分を折ってたな。
よし、折ってみよう！
おっ、ちょうどいいミニスカになった。
短すぎず長すぎでもない、健康的な
女子高生のミニスカだ。
うん、可愛い。
それでリボンを付けてと、
ブレザー着て出来上がり！
なんか、下半身がスースーする。
もし、外に出かけていくんだったら、やっぱり短パンというか見せパンみたいの履かないと
ダメそう。生のパンツだけだと超恥ずかしい。
俺は、姿見（全身鏡）に全身を写しながら、くるくる体を回しながら、いろんな角度からチェックした。
うん、けっこういける。
顔が似てるから、高校時代に姉貴が髪の毛を短くした感じだな。
姉貴はずっとロングヘアだったからなぁ。
髪型、今ひとつだな。
もみ上げあたりの髪の毛を耳に引っ掛けて前髪のサイド寄りの毛を前に垂らしてみよう。
アイドルがよくやるように。
お、女の子っぽい。
よし、こうなったら、
女の子っぽい声にチャレンジしよう。
山野先生との練習の成果を出そう。
「私、女の子っぽくなってるかなあ？」
小さな声で部活で練習したアニメ声を
出してみる。
可愛いっ、
自分で自分に惚れちゃいそう！
「葵、もう着替えた？
そろそろいい？
上手く着れた？」
「うん。」
「じゃ入るね。」
俺の部屋のドアを開けて入ってくる姉の柚と対面する。
「えっ？うそっ？ほぼ完璧に着こなしてる。
しかも、私に似てる！やだ！！
髪の毛を短くした私の高校生時代みたい。」
そうなのだ。５才年上の姉は俺と顔が似ている。うり二つなんだ。
普通、男と女では似てても、ちょっと違うものなんだけど、俺は女顔なので、ほんと
そっくりになってしまう。身長も同じくらいだし、
たぶん、高校生時代のウエストサイズも同じだ。
大きく違うのは胸のサイズだと思う。
姉はちゃんと胸がふっくらしていた。高校生当時でCカップくらいあったんじゃないかな？
今、俺は、パッドのはいったAカップのブラをつけてる。
その結果、ブラウスの前の部分は余裕がある。
姉が着用していたときは、もっと前の部分が張っていた。
「もう、可愛いんだから！」
姉は俺に抱き着き、抱きしめた。自分に似ているといいながら、可愛いとは自己愛か？
「あれっ？髪の毛、ちょっと工夫したんだ。
いいねー。でも、ピンでとめて、安定させないと。
あと、そうだ、やっぱりちょっと可愛くカットしないとね。
うん、週末に美容室で縮毛矯正をしながら、必要な部分だけカットしてもらおう。
髪の毛は長く伸ばす計画だから、部分的にね。」
抱きしめたあと、姉は俺から離れてチェックをした。
やはり、本物の女性のチェックはありがたい。
「うん、よろしく。お姉ちゃん！」
「うわっ、何、その可愛い声。どこから出しでるの？」
俺は、アニメ声でさらにつづけた。
「だって、女の子の姿で、いつもの声と話し方じゃおかしいでしょ？
この声のほうがいいかなって思って。
始めたばかりだから、極端なアニメ声になっちゃってるけど、
これから調整していくね。」
「うーん、可愛いっ！この調子よ！」また、姉は俺を抱きしめた。
「さあ、これからは自宅では、ずーっと女の子ね。
声も話し方も歩き方も、仕草も全部女の子で行くよ。
男っぽくしたら指摘するから。
それから、スカートをずっと着用ね。
家ではこれを履いて。」
渡されたのはデニムのタイトミニスカートだった。
「これだと、家で履くのにいいし、タイトミニだから、小股で歩かないといけないし、
それに、油断するとパンツ丸見えになるから、自然と太ももを閉じる癖ができるし、
いろいろ役に立つと思う。
男の子の葵としては、ちょっとイライラするかもしれないけど。」
「なるほど、強制的に女性の仕草をするためのスカートってことだね。
うん、試してみる。」
俺は、前向きに考えた。
