64 9月6日 3回目のホルモン注射
葵です。
今日はホルモン注射で草野優佳先生のクリニックに来ています。
初めてのホルモン注射から4週間目です。
相変わらず、草野先生、色っぽくて素敵。
私もこんな大人の女性になりたい。
注射をしたあとに優佳先生にじっくり身体をチェックされました。
乳首周辺だけ少し盛り上がってきたのをチェックされます。
嬉しいやら恥ずかしいやら。
おっぱいという感じではありませんし。
虫に刺されて腫れてるって感じ?
微妙な変化です。
男性の胸から大きく変化しているわけではありません。
よく見ないとわからない感じ?
「うん、小学校4、5年の女子ってとこかしらね。
ついに乙女への道が開かれたって感じかな。
乳頭周辺で乳腺が発達を始めたってところかな。
胸痛いでしょ?
引っ張られるような感じ?先端がこすれたりすると痛いかな?
でも、成長期は仕方ないことなの。がまんしてね。
女の子のほとんどが体験することだから。
今は乳頭周辺だけ円錐状に膨らんでいくけど、そのうち幅広く膨らんでいくから。
それから、成長し始めたばかりの乳房は堅いから、大人のものと違うの。
覚えておいて。
うーん、肌はそんなに変化ないかな?
たぶん少しづつは変化しているはずだけど、女性特有の肌の感触になるには
あと1カ月は必要かな?」
「はやく、女性の肌になりたいな。
あ、そうだ。
やっぱり、私の胸は、Aカップ止まりでしょうか?
いろいろネットで調べてみたけど、女性化めざして、ホルモン治療している人の
多くがAカップ程度って書いてありますけど。」
「まあ、巨乳にはならないでしょうね。
でも、人によってはCカップくらいにはなるわよ。
あと太ってる人はDとかEもあるけど、それは肥満によるものだからね。
葵ちゃんのお母さん、お姉さんは胸大きいの?」
「わりと大きいほうだと思います。
あ、別に太っていません。痩せています。」
「なら、もしかしたら、大きくなるかも。
根拠は怪しいんだけど、母親や女性の姉妹がいたりすると、その胸のサイズの1サイズ下の
サイズになるっていう話があるの。
まあ、ちょっとは期待してもいいかもね。
あ、睾丸摘出について相談してみた?」
「まだなんです。
私はすぐにでも取りたいんですけど。」
「家族と相談して、次の次の来院日までに、希望を聴きたいな。
性転換手術を考えると、残しておきたいっていう人も結構いるけど、
私は、取ったほうが、すっきりして、いいかなって思う。」
「残しておいたほうが、手術の時に都合がいいっていう話ですよね。」
「そう。
手術には、大きく言って、二つの方法があるんだけど、
一つの方法については、睾丸摘出をしない方がいいいという話があるの。
まあ、それを言っちゃうと、女性ホルモン投与の時間が長いのも不都合って
話があって・・・いろいろ難しいんだ。」
「その話知ってます。
でも、私も、先生と同じで、早く睾丸摘出したほうがスッキリすると考えています。
今日でも、家族と相談しますね。」
「前回も言ったけど、未成年だから、ちゃんと親御さんの承諾が必要だからね。」
そのあと、私はまっすぐ家に帰らず、
ある大規模スーパーの下着売り場をうろうろしてしまいます。
私は高校生なので、一応、大人用のAカップのブラをしていますが、本当だったら、どんな下着をつけるべきなんだろう?と売り場を確認したくなったのです。
あ、あった。小学生用のブラとかやっぱり売ってる。
ジュニアブラだ。
ホックがついてなくて、上からかぶるようなタイプが多いんだ。
ちょっと色っぽくはないなあ。
でも、小学生並みの私の胸にはちょうどよさそう。
あー、早く、せめて中学生なみの胸になりたい!あと、何カ月かかるんだろう?
結局、大人用の下着売り場に行って、ちゃんとAカップになったら、こんなのが欲しいとか思ってしまう。
そして、帰宅。
その日の夜・・・
食事の後、私は、家族に睾丸摘出について相談します。
もちろん、睾丸摘出のメリット、デメリットについても説明しました。
性転換手術の時に反転法という方法では、皮膚が不足する可能性があるけど、別の方法があるし、女性ホルモンの投与療法において、効率的な面があることなどを自分自身に言い聞かせるように話しました。
母と姉は、
「いいんじゃない?だって、もう必要ないでしょ?
性転換手術の時のやり方さえ割り切ればいいんでしょ?」
と言った感じで、あっという間に賛成してくれました。
ただ、父はやっぱり同性のせいか、
「慌てて、取らなくてもいいんじゃないか?
生まれた時からついているもんだぞ。
性転換手術の時でいいんじゃないの?」
と消極的でした。どうも、自分にもついているものだから、取ると言う行為に抵抗があるみたい。
やむなく私は説明します。
「お父さん、自分でその部分を手でつかんでみてよ。
つかんでみると、けっこう容積あるんだ。
それだけの容積があるといろいろと不便。
それに男性ホルモンの源だし。早く無くしたい。」
「そうか?
どれどれ。」
父は下半身に手を伸ばして、触っています。
もごもごとした動きが滑稽です。
母と姉はおかしいみたいで吹き出しています。
「確かに、これがあると女性の服装に差し障りがありそうだ。
気づかなかったけど、けっこうな存在感だな。
かなり股間に面積というか容積を占めているな。
うーん、わかった。葵の好きなようにしなさい。」
「はい。ありがとう、お父さん。」
「それから、俺の行ってる皮膚科で、レーザー脱毛やってる。
葵の年では、ムダ毛はそんなに生えてないかもしれないけど、
脱毛もしてきなさい。
見たところ、生えてないように見えるけど髭も少しはあるんだろ?
髭が完全に生えないように、処理しちゃおう。」
「うん、薄いけど生えてきて困るんだ。
うまく処理はしてるけど・・・
女の子のカッコしてるのに、髭があったら大変。
ムダ毛もある。
ホルモン治療すれば、ムダ毛が生えなくなるわけでもないよね。
髭もなくなるかどうか不安だし。
うん、レーザー脱毛に行く。」
こうして、私の睾丸摘出と、レーザー脱毛は決まりました。
どれだけ、自分の体が女性に近づいていくかワクワクします。
勉強も部活も頑張ろう!




