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63 女の子になるのなら、どうなっちゃうんだろう?…そして、板谷家での会話

新聞で、ある女子大が女性になりたい性同一性障害の男性の入学を受け入れるという記事を見つけました。

私の書いている小説も荒唐無稽ではない時代がやってきたような気がします。

あと、10年もしたら、女子の制服を着ている男子と男子の制服を着ている女子が増えるかも。

板谷翔です。


小出葵のカミングアウトを聞かされて、帰ってきた夜。


夕食の後、俺は自宅の部屋でちょっと考え込んでしまった。


うーん、あいつ、可愛いと思ってたけど、ホントに女になっちまうとは驚いた!


髪の毛もっと伸ばして綺麗なロングヘアにするんだろうな。


今でも可愛い顔してるけど、やはり男性だから中性的に見えるってところがある。

どこかに男性っぽいパーツがあるんだろう。ホルモン治療続ければ、そうしたパーツは変化して完璧に女の顔になるんだろうなあ。


胸も出てくるのか?

今でも下着とパッドで胸があるように見えるけど、俺たち仲間はどうせ偽物だって感じで見ている。

だから、胸の膨らみが何かの拍子で当たってもどうも思わないけど、本物になっちゃったら、どうなるんだろう?


それから、女としての人生設計も立てているのか?

女性として、大学に入り、就職するってことだろ?

どんな職業に就くつもりなんだろうか。

ニューハーフっていうと芸能人や水商売のイメージが強いけど、

雑誌に載ってる手記とか見ると、最近は医者とか、議員、会社員もいたりするみたいだ。

でも、いろいろ大変だろうな。

生まれながらの性で生きていくのとは違う苦労が絶対あると思う。


そうだ!


性同一性障害っていったら、男が恋愛対象、性対象ってことだろ?

男を好きになっちゃうのか?

うーん、イメージ湧かない。

考えてみれば、一番身近な男って、俺じゃないか?


好かれちゃったらどうしよう?

まあ、今でも好かれている感じはするけど、友達としてだと思う。


俺も、時々女に見えて、変な気持ちになることはあるけど、あいつに対する気持ちは

友情が基本だ。

あと、保護の対象ってところか?


もし、もしもだ?


あいつに恋愛感情を持ってしまったらどうしよう。

女性化するって言ったって、基本は男だぞ。

子供を産める存在ではないんだ。

うーん、そんなこと考えちゃいけないな。

とりあえず、なるようになるか?

不確定なことを考えるのはよそう。

あいつをフォローするってことだけを今は考えるしかない。


そんなところに考えが落ち着いたとき、部屋のドアがノックされた。


「お兄ちゃん、ケーキ食べない?

お母さんが買ってきたの。

最近有名になったところ!

すっごく美味しそうだよ!」


1才年下で中学3年生の妹、佳織だ。


「おお、それはいいな!

甘いもの食べたいと思ってたんだ!」

俺はすぐ席を立った。

ケーキは大好物だ。


夕飯時、一緒に食事した家族が再び集まる。


母親の公佳が説明する。


「今日、イートインがあるケーキ屋さんに行ってきたの。

ほら、前に女子高のときの同級生と偶然出会ったって話したでしょ?

その同級生と連絡とっておしゃべりしてきたの。」


「そういえば、言ってたな?

娘さんがけっこう可愛いんだろ?」


「お父さんったら、そういうところは覚えてるのね。

そう、その同級生。」


「うん、私からも見ても素敵な娘さんだった。

連絡先交換したんだ。

お兄ちゃんと同じ年みたい。

お兄ちゃんに彼女ができなかったら、彼女になってくださいって頼んじゃった。」


「おいおい、佳織。

勝手に頼むなよ。

彼女くらい、自分で見つけるよ。」


「でも、お兄ちゃん、男子校じゃない。

機会がないでしょう?」


「ま、そうだけどさ。

まあ、そのうち機会はあるよ。」


「翔、ホントにいい子なの。

同級生の話じゃ、彼氏いないみたいだから、いいんじゃないの?

出会いって最近あまりないから。」


「そうだな。

俺の勤めている会社でも、社内恋愛とかはあまりなくなったな。

昔は、会社勤めをする女性は、男を見つけて、寿退職したけど、

今は、男と仕事で競争する時代になったから、恋愛どころじゃない。

機会を見つけたら、逃さないようにしないと。

俺も、その娘さんに会ってみたいな。」


「わ、お父さん、ずいぶん興味あるのね。」


「そりゃ、息子の彼女になるかもしれないのなら、会っておきたいな。」


「お父さん、その娘さん、アイドルの白石琴海に似てるよ。」


「そうそう、私も思った。

たぶんモテると思う!」


「そうなのか?

すごい!

そりゃ会いたいな!

そういえば白石琴海ってこの辺出身だろ?

本人じゃないだろな?」


「お父さん、白石琴海は確かに市内出身だけど20才くらいだよ。

年が違うよ。

もう、アイドルの年くらい把握してよ。」


「年が違ったか?残念!

でも、似てるんだろ?会いたいなあ!」

父は悔しがりつつも楽しそうだ。



「すごい、盛り上がりだなア。

まあ、彼女が全然できなければ、相談するよ。

今は、部活で忙しいし、勉強だってある。

慌てて、彼女を作ろうとは思わないよ。

あと、男友達も大事だ。」


「うん、そうだな。

せっかく、自由な校風の私立高校に入ったんだから、部活と勉強は

がんばってもらわないと。」


「それもそうね。

でも、彼女が欲しくなったら、お母さんが協力するから。」


「はいはい。」


俺は、これ以上いじられるのは嫌だったので、リビングを離れた。


それにしても、父さんは女の子の話題好きだな。


俺の父、板谷舜(いたやしゅん)はけっこう女性アイドル好きだ。

俺がアイドルに興味ないのと対照的なんだ。

その遺伝子は妹の佳織に受け継がれている。

佳織が女性アイドル好きなんだ。

よく親子で、アイドルの話に夢中になっている。

たまに二人でアイドルのライブに行くから驚かされる。


白石琴海か!

そういえば、葵も似てるぞ。

髪の毛伸ばしたら、学校でもよく似てるって言われてるもんな。

これから女性ホルモンの力でもっと女っぽくなれば、そっくりになるかも。

あいつがどれだけ女っぽくなっていくのか楽しみになってきた。

あいつが男か女かどうでもいい。

可愛ければそれでいいんだ。


彼女?

まあ、高校にいる間は作れない気がする。

そんなもの作ったら葵に悪い気がする。


逆に葵に彼氏ができたら、どうしよう?


うーん、嫌だな。

彼氏は作らせない。

俺が、一番身近な男子でいたい。

彼氏にはなりたくないけど・・・たぶん。

俺にとっては男友達なんだから。


今回の連休は3日連続の更新とします。月曜日もありますので、よろしくお願いいたします。


さてさて、今回は板谷家の様子を書きました。

板谷家では、葵が人気ですけど、正体を知らないわけですからばれたらどうなるやら?

そのうち、ばれちゃうお話を書きますね。

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