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52 ホルモン治療開始

葵です。


何とか合宿は無事に終わりました。


秋の大会用の劇の基本準備はできたし、

男子校と女子校の交流も進んで成果はあったと思います。

けっこう男女で連絡先を交換してましたから私の両親みたいに恋愛に発展するパターンもあるかも。

自分は関係ないけど、ちょっとワクワクする。


私は私で演技の基本を学ぶことができました。女形として女の子っぽくしようとしてただけの演技から、役者としてやらねばいけない基本動作を教えてもらいました。

プロの指導は厳しかったけど得るものは大きかったと思います。


そして・・・

自宅に帰ってくるとセカンドオピニオンの草野医師より、正式に性同一性障害の診断が決定したので、ホルモン治療をすぐ開始したい旨の通知が来てました。

そして、希望日を電話で知らせるようにとも書いてあります。


「お姉ちゃん、ついに治療が始まるよ!

通知がきたー!」


私は姉の部屋に飛び込み喜びを爆発させます。


「本当?良かったねー!

ついに、おっぱい膨らんじゃうねっ。

うん、服が着やすくなると思う。」


「とは言っても、まだまだだよ。

どこまで、ホルモンが効くかわからない。

全然胸が大きくならない人もいるみたいだよ。

それに、手術はうんと先だし。」


「まあ、慌てない、慌てない。

少しづつ、女の子になっていこう。

15年も男の子だったんだから、そう簡単には体変化しないから。

まあ、お母さんも私も、けっこう大きいから、血がつながってる葵も大きくなるかもよー。」


「うん、そうだね。慌てないことだね。

気長に治療する。

おっぱいも、もしかしたら、けっこう大きくなるかも。

可能性は低いけど期待しようっと。

ありがとうね。」


そして・・・

夜には両親に報告。


「おお、よかったな。ついに娘になるんだな。とびっきりの美女になってくれよ。

お金のことなら心配するな。

何とかするから。」


「お父さん、プレッシャーかけちゃだめよ。

葵、私は今までも娘と思ってたからね。

これから、すごく苦労するかもしれないけど、負けちゃだめよ。

本物の女性より女性らしくなるために努力すること。

いい?わかった?」


「お父さん、お母さん、ありがとう。

もう覚悟は決まってるし、私がんばる。

応援よろしくお願いします。」


ついに、家族を巻き込んで、私は女性への道を歩き出すことにしました。


素敵な女性になれるかな?



翌日の8月7日、私は、草野クリニックに電話をして、ホルモン注射の予約をとります。

ラッキーなことに2日後に一回目の注射をしてもらえることになりました。

ついに体の改造に着手です。

この、筋肉質の丸みのない身体とはおさらばかな?

ちょっと寂しいけど、後ろは振り返らないことにしよう。

私は決意を新たにします。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



8月9日、草野クリニックに行くと、身体の状態を看護師さんが確認のあと、

優佳先生自ら注射してくれました。

記念すべき1回目のホルモン注射です。

錠剤を飲む方法や、パッチを貼って摂取する方法などいろいろありますが、

私の場合は、注射がいいだろうということになりました。

2週間に一回の注射をすることが決まりました。


「うーん、本当にいいタイミングだと思う。今からホルモン治療すれば、キレイになれます。

でも、ホルモン投与だけに頼ってちゃだめよ。

女性ホルモンを摂取すると太りやすくなるから、食事の量とか注意してね。

もちろん、栄養バランスも考えてね。

それから、前にも話したけど、エクササイズや声の出し方の練習も大事。

エクササイズと発声法のDVDを貸してあげるから、勉強してね。

それから・・・

副作用とか、体調の悪化とかあったらすぐ言ってね。

薬の投与の中止とか、治療の方法を変えるとか考えるから。」


「そうですね。鬱状態になるとかよく聞きます。

気持ち悪くなったり、やる気がなくなったりするケースもあるんですよね?」


「うん、個人差はあると思うけど、あるかもしれません。

辛くなったら、すぐ電話してね。」


「ありがとうございます。

不安でたまらない時があったらどうしよう?なんて考えちゃうんですよね。

何とか乗り越えます。

ところで、どのくらいで胸が膨らんでくるんでしょうか?」


「うん、人それぞれだけど、はっきり体の感じが変わってくるのは2カ月後くらいかなあ?

小学校高学年、中学校1年生の胸になるまでは3カ月くらいかかるかも。

本物の女の子より3年から4年遅れての成長になるけど、慌てないでね。

お尻周りに脂肪がつくのも同じようなものかな?

お尻に脂肪がつくと、スカートのラインがきれいになるから楽しみね。

あ、でもウエストも太くならないように気を使わないと。

括れは大事よ。」


草野先生は自分のウエストに手を置いて、括れの重要性を力説します。

いいなあ。スタイルいいよ

太らないようにして、胸とヒップだけ大きくするって、難しそうだけど、

がんばらないと。

私も色気が欲しいから。


「それから、ムダ毛の処理もきちんとしてね。

ホルモン治療しても、ムダ毛は生えてくるから。

女性なら、毛の処理はお化粧と同じくらい大事かも。

私、実は毛が濃くて、大変だったんだから。

レーザー脱毛で、やっと安心できるようになったの。」


「幸いに、今のところ、そんなにムダ毛生えていません。

でも、そのうち増えてきたら脱毛とか必要かな?

うん、ムダ毛の処理ですね?

ちゃんと覚えておきます。」


帰り道、私は、電車の中、駅、道で見かける女性の体つきをじろじろ見ずにいられませんでした。

特に同世代の10代。


そうだ、女性って、髪の毛が長くて、おっぱいがあるってところがわかりやすい特徴だけど、

肌の感じや、身体のバランス、身体の線が全く男性とちがう。

同じ人間だけど、意識してみると、全然違う。

やっぱり女性ホルモンを摂取しないと、あの感じは作れない。

私は本物が欲しい。

本物の女性の体が欲しい。

だから、今回、ホルモン治療を開始したことについて、決して後悔しない。

ああ、はやく、ああいう体つきになりたい。

そして、性転換手術して、堂々と女風呂に入れる体になりたい。


慌てないつもりでいましたが、やっぱり焦っている私。

うーん、落ち着け、私!



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