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51 合宿2

合同合宿が始まりました。


初日はずーっと男女一緒で過ごします。


午前中は基礎練習と即興演劇をみっちり。


基礎練習を大所帯でやるのは何か新鮮。


そして、即興演劇は男女の組み合わせのグループを作ってやりました。


男女混合でやるのは新鮮です。

いつも違う!


やっぱりお芝居がリアルになるような気がします。

世の中、男性と女性がいるんだもん。男女で芝居やったほうが自然です。

でも、宝塚や歌舞伎みたいな同性同士でやるお芝居があるのはなぜかなあ?


最初は知らない男女が組むので、緊張がありましたが、しばらくたつとみんな和気あいあいで

楽しんでました。


「今度、私お母さんの役やるね!子供が言う事聴かなくて、イライラしている感じ?」

「じゃあ、俺は、親をイライラさせる走り回る子供!」


「俺は、強盗の役!ちょっと精神的にこじらせてるやつ。」

「私、銀行員の窓口女性やる!」


など、いつもより積極的で活気があります。


若い男女の笑い声が響きわたる練習場にいて、これが青春かな?って思ってしまいます。

私は若い男女のどちらなんだろう?

なんて思いが過りますけど、あまり考えないことにします。

それを考えるとキリがないから。


午後は、東京からプロの指導者がやってきて、演劇についての講義と具体的な指導がありました。


私たちが簡単な台本にもとづいて、いろいろ演技するんですが、

けっこう厳しく言われてこたえました。ダメだしの連続。


「だめだめ、声が小さいし、何言っているかわからない。」

「姿勢が悪い!」

「表情が違う。」

「そこは大きいアクションで!」

「タイミングが悪い。それじゃお客を引き込めない!」


私も、言われました。

「歩き方がだめ。」

「小さくまとめようとしている。」

「可愛く見せようとしてないか?」

など、次々と指摘があり、ちょっと辛かったけど、言われるうちが華だし、しかたありません。

素人なのは確かなんだから。


でも、初日の夜はちょっとしたパーティーみたいになって楽しかった。


食堂で、食事をしながらの交流会。

テーブル席は男女が一緒に座るようにして、なるべく男女が会話するように先生方が配慮してくれた。

私も久々に女子高の女の子たちと盛り上がる。


「ねえねえ、葵と噂になってる男の子って誰?」


「もお。だからそれは違うって!」


「まあ、いいじゃない。祐希が面白がってるだけって言うけど、知りたいな?」


島田はづきと福山桜の二人は、やっぱり諦めないで追及してきました。祐希が教えないから本人にもう一度確認したくなったようです。週刊誌の記者みたい。


私は開き直ります。

「別に噂になってはいないけど、祐希が私とくっつけようとしてる男子はいるよ。

でもその男子は普通の女の子が好きだからね。本当に噂になったら気の毒。」


「ふーん、そうか。

葵はまんざらじゃないけど、相手の気持ちが問題なわけね。

相手が、葵のこと好きになれば問題ないね。」


「うん、そうだ。」


そんな会話をしてると、横に男子校の1年、2年のメンバーが数人やってきます。男子は女の子と話しがしたくてたまらない感じです。

はづきと桜はけっこう可愛いので男子の気持ちがわかります。


男子が2人に話しかけたのを幸いに、


「じゃあ、また後でね!」


と声をかけて別のテーブルに行く私。


おお、危なかった!変な追及が続きそうだった!



別の女子が一人の男子生徒を数人で取り囲んでました。


「あ、やっぱり梶原先輩はモテる。」


そうです。女の子から積極的に話しかけられているのは2年生の梶原拓人(かじわらたくと)先輩。イケメンとして有名な人です。

お芝居よりも裏方が好きでメインの配役は拒否して舞台のセットや道具作りに夢中になってる人なんです。

女子生徒からはそんなのもったいない!なんて声がとんでますが、

「俺はものづくりが好きなんだ。舞台って限られた空間で世界を表現するだろ?」

なんて答えてます。


相変わらず、クールで独自の世界観です。

女子の目がハートになってる。


「彼女いるんですか?」


おお、直球の質問。緊張が走ります。


「いないよ。うーん、恋愛の機会ないからなあ〜」


「今回の合宿なんていい機会じゃないですか?」


「そうだね。恋が始まっちゃうかもね。」

おどけたように答える先輩。

うーん、余裕な人だなあ。


その時、私の存在に気づいた女子が余計な質問をします。


「葵、可愛いから、好きになったりしませんか?」

ちょっと待って!やだ、その質問。


「小出さんのこと好きな男子はいると思うから僕は邪魔しないよ。」


「ええ?誰?誰?」


また、私は変な追及を受けそうです。


梶原先輩、勘弁して!




板谷翔です。


この合同合宿にはちょっと期待してた。


女の子との出会いを!


でも、可愛い子がいるにもかかわらず俺はときめかない。

なぜだろう?

俺の好みの子がいないのかな?


あ、葵が女子校の女の子と盛り上がってる!


あいつ、女の子と一緒にいて違和感ない。

普通に同じ女の子に見える。

すげえな。本物の女の子と一緒にいても可愛く見える。

うーん、あいつが本物の女の子だったらなあ。



「板谷君、好みの女の子いた?」


「おっ、藤原か?女子校にけっこう可愛い子いるんだな。」


「ダメだよ。浮気しちゃ。

葵が悲しむよ。」


「変なこと言うなよ。

人に聞かれたら誤解される。」


「でも葵が、板谷君のこと好きになったらどうする?」


「それはないよ。あいつはノーマルだ。」


「わかんないよ。

昔、女形をやっているうちに、心まで女性化して男の子を好きになった人いるみたいだよ。」


「まじかよ。でも男は男だ。俺は男は恋愛相手じゃない。」


「でも、もし葵が性転換しちゃったらどうする?」


「性転換?」


「そう、体を女の子と同じ機能にするの。」


「よく、ニューハーフがやる手術をするってことか?

小出はそんなことしないだろ?まさかな。」


「ふふふ。わかんないよ?じゃあ、またね。」


俺は、女性の体になった小出をちょっと想像してしまう。


おっぱいがあって、股間がすっきりした小出か?そりゃ反則だよ。

可愛さ倍になっちゃうじゃないか?

俺はちょっとドキドキしてしまった。


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