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44 ダブルデート3

板谷翔です。


ちょっとやり過ぎたとは思うけど、観覧車で、小出が元気になったことは確かだ。

ちょっと文句を言ってたけど、途中から饒舌になるし楽しそうな表情を見せ始めた。


やっぱり、女性として扱われるのが嬉しいみたいだ。

うん、かなり重症かな。

女形が体に染みついちゃっている。

女形を引退した時、元にもどれるのか?


観覧車を降りたあと、近くにいたカップルに二人で並んだ写真をとってもらう。

なんか、そうしたかった。葵の表情がすごく可愛くなっていたからかもしれない。


もちろんそのカップルのラブラブ写真も撮ってあげた。

ギブ&テイクってやつ。


俺たちの写真はすぐに葵にスマホから送る。ちょっといい思い出になりそう。


そのあとはさすがに、恋人モードを解除。

可愛いとはいえ、同い年の男性と手をつないだり、体を密着させたりするのは、

けっこう抵抗ある。

あ、小出のやつ、何故かニコニコ笑ってる。

こいつが本物の女の子だったら、恋しちゃったかも。

顔の作りが本当に女の子だし、この小さくて華奢な体は抱きたくなる。

恋人ごっこなんて、あまりやらない方がいいかも。


そういえば、尾崎のやつはうまくやってるかな?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


尾崎皆です。


今、藤原さんと、絶叫アトラクションを終えて、降りたところだ。


うわーっ、肝が冷えた。藤原さんは全然平気だったよな。こういうの好きなんだな。

最初っから、最後までニコニコ笑っていて、ワクワクしてた。

俺は、もうやめてくれって感じだったから、ちょっと情けない。


「藤原さんは絶叫系、得意なんだね。俺は苦手みたいだよ、情けない。」


「こういう回転系のものって、やっぱり向き不向きがあるみたい。

私は、向いてるんだ。そういえば、体操で、バク転とか、バク宙とか得意だし。」


「そうなんだ!敵わないなあ。」


「それより、葵と板谷君、仲良くデートしてるかな?

愛が深まってくれるといいんだけど。」


「いやあ、さすがに、1時間くらい一緒に過ごしたからって、それはないよ。

もともと、仲のいい友達だから、会話は弾むだろうけど。

正直言って、俺が思うに、二人はノーマルだから、同性愛は無いと思うよ。」


「でも、もし葵が性転換して、女性の体にでもなったら、わからないよね。」


「ええっ?前もそんな話してたけど、そりゃないよ。

あいつは性同一性障害ではないぞ。

そんな話は聞いたことない。」


「例えばの話だけどね。葵が性転換したら似合うと思わない?」


「うん、確かに、そうかな?まあ、あり得ないと思うけど。


そういえば、藤原さんは彼氏とかいるの?」


「ええっ?私?いないよ。

て、いうか、当分は好きな男の子作らない!

だって、王子やってるんだもん。

恋する乙女になっちゃったら、部活に影響でちゃうよ。

引退するまで、恋愛は封印するって決めてるんだ。

ただし、女の子気分は味わいたいから、休みの日はこうやって、女装?してるけどね。

尾崎君は好きな女の子いないの?」


「俺?

俺も、そうだな・・・

今は恋愛より部活が大事かな。

脚本、台本の作り方や、演出とかに興味が湧いてきて、いろいろ勉強してる。」


「すごい、やりたいことあるんだね。

前に板谷君と話していたのを横で聴いてたけど、

本気なんだ。

私と同じで、部活に夢中なんだね。

うん、部活がんばろうよ!」


うわーっ、彼氏がいないって事実はつかんだけど、まったく恋愛する気がないみたいだ。

男役の部活に夢中になってる。

こりゃまいった。

引退するまで、告白なんてできないぞ。どうしよう?

引退するのは2年生の終わりか、3年生の途中か?

それが終わったら受験か?

そしたら、恋愛なんかしている時間ないぞ。

困ったな?

藤原さんをあきらめるか?ほかの女の子好きになって、彼女にしちゃうか?

ああ、頭が混乱する。

失恋したわけじゃないけど、どうしていいかわかんない。

この恋はちょっと保留だ。

まあ、藤原さんと仲良くしておくことは続けよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


藤原祐希です。


二つのペアに別れて、行動したあと、また合流して4人で食事をしています。


私が気になるのは、板谷君と葵に進展があったかどうか?

尾崎君が言うように、もともと友達なんだから、二人で過ごすのは問題ないのかも

しれないけど、今日の葵のファッションは可愛いし、周りはラブラブカップルばかり。

変な気持ちになってもいいような気がします。

そういえば、葵の表情が可愛くなっているような気がする。

可愛いとか言われたのかも。

後で確認しなくっちゃ。


そうだ、葵をトイレに誘おう。


「葵、トイレつきあって!」

私は食事を終え、コーヒーを飲んでる途中で、葵にそっと耳に囁く。

葵からは小声で、

「え?いいけど、女子トイレに行くの?」

「いいじゃない?どうみても女の子だもん。混んでるところ一人だとつまんない。

一緒に並ぼう!」

「却下。一緒にいくけど、多目的トイレに行く。GIDの診断書が下りたら付き合うけどね。」

「まじめだなあ。じゃあ行こうよ。」


私は今度は男性陣二人に聞こえる声で言います。

「ちょっと、二人で化粧直ししてくるから、待ってて!」


「ああ。」

「わかった。」


トイレは意外に空いていました。二人とも用を足した後、私は葵に声をかけます。


「板谷君と何か進展あった?

なんか、表情が女の子っぽくなってるんだもん。気になって。」


「ええっ?そうなの?

進展とか、ないよ。大体、板谷君は普通の女の子が好きだし、私は、男の子を好きになったことないし。」


「でも、性転換をめざすんでしょ?

男の子好きになっても普通じゃない?」


「そりゃ、そうだけど・・・

今は、恋愛する状況じゃないよ。

ホルモン治療初めて、体が女性化したらわからないけど・・・」


「ふーん。

でも、板谷君になんか言われたでしょ?その辺の女の子より可愛いとかなんとか?」


「うーん、そんなことはないけど、ちょっと恋人ごっこしたかな?」


「恋人ごっこ?」


「前に並んでいたラブラブカップルの真似をしただけだけど・・・」


「それって、手を繋いだり、ベタベタしたりって感じ?」


「まあ、そんなところかな?

板谷君が恋人ができた時の練習したいって言って提案したから、

ちょっとやってみた。」


「へーっ、板谷君、やるじゃない。」


「でも、私と恋愛したいっていう意味じゃないからね。」


「でも、まったく気がないのに、そんな練習はしないと思うけど。」


「ええっ?そんなことないよ。板谷君は普通の女の子好きなんだから、変なこと言わないで。

板谷君の耳にはいったら、ショック受けるよ。」


「ふふふ、そうかな?

そうだとしても、葵のおっぱいが膨らみ始めたら、どうかな?

そうだね。あの二人にはカミングアウトする時期考えておいたほうがいいよ。」


「うっ、そうだった。憂鬱だ。

ホルモン治療開始したら、言わないと。」



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