42 ついに夏休み。ダブルデート?
葵です。
7月中旬、夏休みが近づいてきました。
祐希から、夏休みに入ったあと、一緒に東京の某遊園地に遊びに行かない?
とお誘いを受けました。
例によって、祐希は休みの時は女の子のかっこだと言ってます。
前回みたいに、女の子ふたり(私は本当は男子だけど、女装してるから見た目はそうなります。)の
デートをするのかな?なんて思ってたら、
尾崎君と、板谷君も誘おうよって、言ってきました。
男の子に女の子バージョンの自分を見せたいみたいです。
また、ウイッグ被って、すごく女の子っぽくするのかな?
うーっ、私と違って、本物だから、板谷君も、尾崎君も楽しみにしちゃうかも。
私は偽物女だから、微妙な気分。
板谷君は・・・私の方見てほしいかな・・・
あ、板谷君が好きとか、そういうことではなくて、
親友として、気を使ってほしいってことだけど。
学校で、二人の男子にその話をすると、
やっぱり、二人は盛り上がってました。
「おお、それはいいな。藤原の女の子バージョンを見れるんだ!
そりゃ、楽しみだ。
長い髪の毛のウイッグ被るのか?
似合いそうだし、可愛くなるだろうなあ!」
尾崎君は露骨に嬉しそうな顔をします。
板谷君から前に聴いたことがあります。
どうも、尾崎君は祐希が好きみたいです。
男子校での実地訓練のときに、完全に惚れたんじゃないか?というのが
板谷君の見解のようです。
祐希は尾崎君を特に意識してないみたいだけど・・・。
板谷君はどうなんだろう?
「男子校に来た時の男装姿とどれだけ変わるか楽しみだ。女の子は服装や髪型で変わるからな。」と尾崎君より冷静な盛り上がり方だけど…
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そして、ついに夏休み。
部活のない完全自由日に私たち4人はある駅で待ち合わせしました。
みんなどんな服装だったでしょうか?
尾崎君と板谷君はごく普通の男子高校生らしい無難なファッション。
そして、祐希はというと・・・
やっぱりセミロングのウイッグをかぶってきました。
上はノースリーブのブラウスに、
ボトムはミニスカートならぬミニ丈のスカパン。
見た目、ミニスカに見えるけど、中がショートパンツになっているデザインのものです。
男子は、残念、中はショーパンなのか?って残念がってましたが、背が高い祐希の
素足がすらっと見えて、すごくセクシー。
結局、男子はその美しく細い脚に、見とれてしまいます。
私も見とれてしまいました。
モデルみたい!全然いつもの祐希と違う。
もう、敵わないよ。
尾崎君は大興奮してました。
「すげえ!
足長くて綺麗だ!
ミニスカいいよ!
長い髪もよく似合う!
それに…」
尾崎君の視線は祐希の胸の膨らみを捉えていました。おっぱいがあることを言おうとして
ためらったようです。
「うん、とにかく女の子っぽい!
藤原、可愛いよ!
やっぱ本物の女の子は違う!」
う、痛い一言!!
まあ、そうだよね。
当然といえば当然。
大体、私には胸無いし。
「褒めてくれてありがとう!
やっぱり男の子にチヤホヤされるのって
いいね。
でも、葵も可愛いよ。
いつもと違う感じが新鮮!」
確かに、私もイメージチェンジしてきました。
いつも制服がミニスカだから、今日は、パンツ系ファッション。
細身のパンツだと、男性の体型がでちゃうから、お尻が大きく見えるワイドパンツにしました。
ヒールのある靴と合わせると、脚が長く見えます。
そして、パフスリーブのブラウスで、上半身はフェミニンに。
髪の毛はポニーテールにしました!
地毛はギリギリでポニーテールにできる長さなんですが、簡易式のエクステをつけて、
ロングのポニーテールにしちゃいました。
かなり、いつもと雰囲気が違います。
尾崎君が、
「そうだな、さっき誰かと思ったよ。
こういうパターンもあるのか?」と驚いてくれます。
そして、板谷君も、
「うん、これもいい!すごく女の子っぽい。元気な感じがあって、こっちも元気になれそう。」
なんて言ってくれました。
祐希が褒められた後で、とってつけたみたいだなあ。
ま、いいか?
悪い気はしないもん。
祐希ほど女の子っぽくはないけど、それなりの可愛い感じを作ることはできたと思うし。
電車に乗ると、電車の中はちょっと混雑したので、私と祐希、板谷君と尾崎君という
二人組になって、ちょっと離れて立ちます。
板谷君と尾崎君はなんか話し込んでます。一体なんの話をしているのかな?
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尾崎皆です。
今は、4人で東京のとある遊園地に向かう途中で、電車の中。
電車が混み合って、小出と藤原さん、俺と板谷という二人組の間がちょっと離れてしまったので、
ここで板谷に俺は頼み込んだ。
「板谷、俺が、藤原さん好きだってわかってるよな?」
「やっぱり、そうか?
まあ、見てればわかるけど。」
「きょうは俺と藤原さんが二人きりになれるように、気を使ってくれ。
今日はチャンスなんだ。
板谷は小出と二人きりで不満だろうけど。」
「なるほどねー。
そんな狙いがあったんだ。
いいよ、このままだと、なかなか二人きりにはならないからな。
協力する。
俺は、小出と二人で、尾崎の恋がうまく行くか見させてもらうよ。
ギャラリーってとこだな。
脈はあるのか?」
「それは、俺が聴きたいよ。
藤原さんって・・・あ、今日は藤原のこと藤原さんって言うことにする。
藤原さんって、どの男子にも愛想いいからな。
俺に好感は持ってると思うけど、恋愛感情は感じないんだ。」
「うーん。確かにそうだな。
まずは、彼氏とかいるかどうか確認した方がいいんじゃないか?
中学の時の同級生と付き合ってたりしたら、やべーぞ。」
「やっぱり、そう思うか?
あれだけ、顔がよければ、中学の時に彼氏ができても不思議ないもんな?
勇気を出して、聴いてみるかな?
うーん、ドキドキする。
いないことを祈るよ。」
「そうだな。まずは、彼氏がいないことを確認すれば、スタート地点に立てる。
彼氏さえいなければ、好きな男とかいても、何とかなるかも。」
「おお、そうだな。よし。がんばるか?」
俺は、板谷がいてよかったなと思う。
やっぱり、相談できる友達がいるっていい。




