37 祐希の日常
女子高生なのに男装して学校に通ってる祐希です。
7月になりました。
女子校の男役の「王子」をはじめて2カ月半くらいたったかな?
自分としてはだいぶ男子っぽい雰囲気を身に付けたと思います。
では、朝起きたときから、夜までの私の日常を紹介しましょう。
朝起きて、まずやることは、ブラを外して、ナベシャツというタンクトップを身に付けること。
寝てる時にブラしてるの?って言われそうだけど、学校行ってる時はBカップのおっぱいを抑えつけて隠しているから、その対策。
抑えつけたあとは育乳しないと不安なの。
ナベシャツというのは、男性になりたい女性が胸を潰すために常用するシャツのこと。
タンクトップ型とTシャツ型があるみたい。
私は男性になりたいわけじゃないけど、完璧な男装のために使用してる。
これは胸の部分に強力なサポーターのような部分があって女性の胸の膨らみを平らにしてしまうんだ。
晒しを巻くより簡単なので使うことにした。
一日中付けてるとおっぱいが変形してなくなってしまいそうなので、帰って来るとすぐ脱いで、翌朝まではブラで逆におっぱいを整えてるっていう訳。
おっぱいにとっては、抑えられたり、持ち上げられたり散々かもしれないけど、「王子」を引退するまでやるしか無い。やっぱり、王子の胸が膨らんでいるのは嫌だ。
まあ胸を隠せれば女子っぽさがだいぶ減る。
後は着こなしで男性らしさを作ることができる。
ウエストの細さとお尻の大きさがわからないようにズボンを履く。ズボンはゆったりしたサイズでベルト部分にはウエスト部分を太く見せるためのスポンジを添付している。
履く位置も工夫する。
女性と男性のウエストの位置は違う。
女性のウエストは高く、男性は低い。
その辺を意識するんだ。
あと、朝は、髪型も工夫する。
ワックスを使って、男の子っぽく髪の毛を立たせる。
短髪の手入れは大変だ。いい加減な髪型だと、王子のカッコよさがなくなる。
毎月の美容室代も大変。
それは学校が援助してくれるからいいんだけど。
普通の女の子はそんなに頻繁に行かないけど、私は短髪の維持のために行かなきゃならない。
家を出ると、歩き方から、カバンの持ち方まで工夫する。
男の子のように見えるように。
歩くときは内股にならないようにいつも気にしている。
男と女じゃこれだけ違うんだってことを改めて実感する通学時間だ。
学校に着いたら、なるべく、ズボンのポケットに手を突っ込んで、足を広げて立つようにしている。
男の子の典型的な姿勢だからだ。
別に不良じゃなくても、男の子はそんな姿勢をよくとる。
でも、「王子」は女の子に対してかっこいい紳士でなければならない。
重いものを代わりに持ち運んだり、高いところにあるものをとってあげたり、扉を開けて、女の子を先に通したり、レディー・ファーストを心がける。
実際私は、女の子としては背が高いから、特に不満はない。
物足りないのは「王子」だから、もっとモテるかなあって思ったけど、宝塚の男役みたいなモテ方はしない。まあ、所詮学生演劇だしなあ。
とはいえ、最近、部活で始めた男役としての即興演劇は面白い。
小柄な女の子を相手役にして、愛を囁いたりするシーンもやったりした。
うーん、男性気分が味わえて、クセになりそう。
私は、女役やっている小出君と違って、あくまで一時的に男の気分を味わえるのが面白いと思ってる。
約2年間、男女の違いについて、じっくり味わいたい。
実は、私は母のように、トランスジェンダーを相手にする精神科医になりたいと思っているんだ。
母以上に、性別移行、性別越境を志す男女の相談に乗れる医師になりたい。
私の考えでは、今後、女になりたい男と、男になりたい女がさらに増えると感じている。
実際統計的にも増えているのではないか?
なぜ、そういうことになるんだろうか?
それについて私は中学生の時から考えてきている。
生まれた時から、自分の性に違和感をもっていたため、性別を変えたいという人間がいるというのが一般的な概念であるが、私はそんな人間がいっぱいいるわけはないと思っている。
ふつうに考えると、「隣の芝生は青い」的な感覚で、別の性になりたいと志向するのではないか?
違う性の方が楽しそうだと考えると言うわけである。
そして、背景としては、近代社会の人間が、民族の繁栄、親族の繁栄という義務というか生物の基本から解放されてきてしまっていることが大きい。
昔だったら、生殖活動をしない人間は民族、親族の繁栄に役立たないものであり、決して許されない存在であったが、最近では個人の尊厳というか個人の権利の方が優先されるようになってしまった。
その結果、自由に生きることができるようになり、生殖からの解放がなされ、性別の移行も容易になってきた。
さらに言うならば、男性が女性になりたいと思うケースが多い点についても思い当たる節がある。
男性は女性の性的な部分が好きだ。上から言うならば、長くてサラサラな髪。キレイな顔。
柔らかで、しっとりした肌。柔らかくふくよかなおっぱい。細い腰。丸みを帯びたヒップ、キレイな足。
男性は本能的にそういうものが好きなのだ。
だから、女性を欲する。
そして、好きであるから、自ら女性になってしまおうと考える男性まで現れてしまう。
そんな理屈のような気がする。
もちろん、女性でも、男性の性的な部分である大きな体、たくましい骨格と筋肉とかにうっとりすることがあるかもしれないが、男性ほど興奮はしないだろう。やっぱり、性的な部分で違う性別に憧れるのは男性の方が圧倒的に多いと思う。
まあ、こうした傾向は平和な国で多いような気がする。
戦争が起こっている国では、男性の力が圧倒的であり、不利な女性になりたいと思う男性は少数派であろう。
でも、日本と違って内戦が発生するタイでは、ニューハーフが多い。
これは貧困が理由で、金になるニューハーフを目指すケースがあるからと思われる。
タイ独自の不思議な理屈だ。
世界一のニューハーフ王国で、性転換手術も世界一なんだから、他の国と判断基準が違うとしか言いようがない。
何で、女子高生がそんなに詳しいのか?って、
それは、両親が専門家だから。
受け売りとか寄せ集めの知識でしかない。
自分自身でもっと研究したい。
そのためには、今の男役での経験、女役である小出君との交流はいろいろ役に立ちそうだ。




