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36 6月末のジェンダークリニック、そして葵の決心

6月末にジェンダークリニックに行きました。


藤原先生にまたカウンセリングしていただきます。


「どう?女の子になりたい気持ちは何か変化しましたか?

家族の方はどう考えてるの?」


「はい。方向性はだいぶ固まってきました。

もう24時間女の子をやってるのが2か月半になるので、自分の気持ちがわかってきました。

家族にもその気持ちを伝えて、理解を得ています。」


「というと?具体的に教えてくれる?

毎日の日常生活でどう考えるようになったの?」


「なんか、ずーっと女性生活をしていて、何かしっくりくるんです。

髪の毛をブラッシングして、髪型を作ったり、

女性の下着をつけていることが楽しかったり、

スカートで歩いたりする方が自然に感じたり、

休みの日にメイクして、姉と外出したり、

いろんなことが、自分にとって当然に感じるんです。

違和感があるのは、体が男性であることや声が男性的なことでしょうか?

声は訓練で、もっと女の子っぽくできそうですけど、体型や、筋肉質の体が、

ちょっと嫌です。

裸で一般の女性と一緒に温泉に入れるくらいになりたいって思ってきました。」


「なるほど、もう女性としての生活が本来の姿で自然に感じるってわけね。

まさに性別違和かな。

女性でいることが自然となると、もう男性用のトイレで立っておしっこなんて

できないでしょ?」


「はい、無理です。

さすがに女性トイレにははいれませんけど、すわっておしっこするのが当たり前になりました。

立ってするのはもう無理です。

公衆トイレなんかだと、他人の男性のモノを見ちゃう可能性もあるので、嫌です。」


「やっぱり、胸の膨らみが欲しいの?」


「猛烈に欲しいです。胸がぺったんこなんてありえないって感じになってきました。

ウエストのくびれがないこともすごくコンプレックスです。

可愛いと言われても、体型や触感が違う体は、やっぱり全然違います。

一刻も早く、ホルモン治療を開始したいと思ってます。」


「だいぶ、方向性は確かなものになってきたわね。

でも、来月、2回面接します。

そのうえで、判断しますね。

今の気持ちを踏まえて、将来のことを考えてね。

性転換治療を始めたら、子供は産めなくなるし、死ぬまで、ホルモン治療の

お世話になるの。

健康とは言えないかもしれない。

ホルモン治療、性転換手術の弊害、副作用をペーパーにまとめておいたから、

よーく、読んでね。

今なら、止めることもできる。普通の男性で生きていくことができる。

じっくり考えてね。来月結論出すのが嫌だったら、先に延ばしてもいいのよ。」


「わかりました。

性転換治療に興味を持った時から、副作用や人生の問題にかかわってくることを

意識はしていました。

ネットでも、興味本位でやってはいけません!

っていっぱい書いてありますものね。

初心に戻って、人生を考えてみます。」


「うん、お願いします。

最終的には、本人が判断するの。

もちろん、家族の同意も必要。

もう一回、家族と話し合ってね。」


「はい。」


私の方向性は決まったかなと思ってたんですが、やはり医師としては、

性転換治療のもっとも重要なところである人生設計について考慮し、慎重な

対応を心がけているようです。

うん、家族とも話し合って、もう一度検討しよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


家に帰るまで、繁華街を通って、電車に乗ります。


私はミニスカートを履いていたのですが、至るところで、男性からチェックされることが

わかります。

自信過剰かもしれませんが、「可愛いな。足きれいだな。」みたいな視線を感じます。

もしかしたら、よからぬ欲望を抱かれているかもしれません。

でも、私は服を脱げば、男性の体。

(ごめんなさい。本当は男なんです。)みたいな申し訳ない気持ちが出てきます。


女子校で女の子と話した時に、

男性からの視線は絶対嫌。だから、私服は絶対スカートは履かないし、可愛らしさや

セクシーさを強調するような服を絶対着ないと断言してた子がいました。

なんとなく理解できますけど、今の私は逆に、男性からの視線が嬉しくて、かつ申し訳ない

気持ちがあります。

その子と性別が入れ替えることができればいいのになんて思ってしまいました。


若くて可愛い女性は男性の視線を受けるものなんです。

これは確かですね。

男性のかっこの時は意識しなかったというか気づかなかったけど、今はすごくわかります。


やっぱり、体自体をいい女にしたい!

世の中の人に対して嘘をついているようで、嫌です。

服を脱いでも、可愛い女性でいたい。



家に着くと、服を着替えます。


今日は疲れたので、ジャージの部屋着を着ます。

ブラも外します。


ジャージといっても、女の子っぽいデザインの女性もの。

それなのに・・・体のラインが男性だから、スカートを履いている時と違って、

女の子っぽく見えません。

顔と髪型だけ女性?

変だな?

慌ててブラを付け直します。

「何とか女子に見える。やっぱ、おっぱいは大事だ。」

思わず呟きました。


さて、家族が揃った時に相談を始めました。

ゼロベースに戻って協議を始めます。

女性化のメリットはみんなわかっているので

デメリットについて話し合うことにします。


父が切り出します。


「先ずは社会人になって収入が安定するまでの治療費、手術費等か?

これは任せておけ、俺とお母さんが何とかする!」


次に母が言う。

「子供を作れない件ね。

これは本人が覚悟を決めればいいと思う。

お父さんもお母さんも孫ができないってことについてこだわらない。」


「うん、そうだ。本人はどう考えるんだ?」」


「そうだね。いっぱい考えたけど、女の子になりたい気持ちの方が強い。

子供の件は諦めた。

お父さんとお母さんが許してくれるなら、女の子になりたい。」


「そうか、ならいいだろう。

あとは人生設計だ。

性転換しても、自立して生きていく計画はあるのか?」


「そうね。男とか女とか関係なく、頑張っていける仕事というかやりたい仕事ってある?」


「うん、高校の先生になりたいと思いはじめた。

何か、今回、いろいろ悩んで、山野先生や福島先生に相談して、先生っていいなあって

思ったんだ。

二十歳になったら、すぐ戸籍を女性に変えて、大学は女性として卒業、女性としての就職をしたいって考えてる。」


「わーっ、しっかりした妹だなあ。私なんか、もうすぐ就活だけど、そこまで考えてなかった。

人生設計考えなきゃ。」


「お姉ちゃん、必要に迫られて考えたんだ。

こんなことなきゃ、考えないよ。

あと、ホルモン治療の経済的負担、健康に与える影響も覚悟している。

それでも、一度しかない人生だからね。

藤原先生はあと1カ月考えなさいって言ってるけど、私の中では気持ちは決まってきたかな?」


「なら、決まったな。」

「うん、決まりね。」

「わーっ、治療が始まるの楽しみ。」


私は人生の方向をほぼ決めた。



女性化についての決心は人生設計と切っても切り離せません。女性になって、どんな仕事をして生きていくか?その辺がしっかりしてれば、うまく行く可能性があると思います。もちろん、思うだけでなく、勉強とか資格とか努力が必要ですね。

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