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3 女形制度?姫?って何だ?

男子校女形制度?とんでもない制度を考えました。

男子校の演劇部って女役いるんだろうなって思いながら。

でも、やっぱり男が女装してるって感じなんだろうなとも想像します。

男子校なのに、アイドルみたいな可愛い子がヒロインやってたら?しかも授業中も可愛い制服を着ていたら?そう考えると楽しくなりました。

「女形制度?歌舞伎の女形?女役を専門にする役者?姫?」


俺は思わず声を出した?

つまり、俺は女役に適任だってことか?

ううっ、思い当たるところはあるけど、性格は女っぽくないぞ。

容姿だけで、判断されるのか?

たまったもんじゃないな?


「うん、歌舞伎の女形と似ているかもしれない。

でも、それだけじゃないんだ。

わが桃花高校は学校全体で女形、すなわち女役をする生徒を支援する形をとっている。

選ばられる女形は演劇部で一人だけ。

じつはここ1年、専任女形は空席で、新入生から選ぶことになっていた。

だから待望の候補なんだよ。

とびっきり優秀な女形になって欲しい。。」


「ええっ、学校全体って?

よくわかんないんですけど。」


「そうだね。説明しよう。

女形に選ばれた部員は、声、仕草、雰囲気など全てにおいて女っぽくならなければならない。本物の女性と全く変わらないレベルに

しなければならない。

ヒロインは演劇の華なんだ。スターといってもいい。

だから、選ばれる人間は素質が重要なんだ。

そして、徹底的に磨かれなければならない。


ふつうの生徒が劇本番だけ女装しても、なんかわざとらしくて、本物っぽく見えない。

女性、女の子に見えないんだ。

だからといって稽古の時に女装することにしてもまだまだ不足。自然に見えない。

そこでだ、

30年ほど前にある方法を我々の先輩が考えて学校側に認めさせた。


女形となった生徒は学校にいる間、ずーっと女装して過ごすことが出来るという権利だ。

具体的には、女形は姉妹校の桃花女子高校の制服と体育用のトレーニングウエアを

支給され、一日中女子高生で過ごす!

本人は女の子になりきるし、周りは女子として扱う。

女形は『姫』と呼ばれる。


さらにだ。本人が望めば自宅から女装して登校もできる。

学校でいちいち着替えるのは大変だから、完成度の高い女形の生徒はそうしてた。

歴代の女形の中には24時間女装して、心から女の子になりきった人もいる。


男だらけのところにいても女を磨けないから

定期的に桃花女子高校に通学する時期を作って、女子生徒と一緒に授業を受けて、

部活に参加するということもしている。」



「ええっ、そんなことしたら他の生徒にからかわれたり、いじめられたりしませんか?」


「それはない。学校側も生徒会も『姫』を守る。だいたい、『姫』はとびっきりの美少女か美女になってもらう。笑われるどころか、憧れの対象になるようにする。

過去の『姫』の写真を見せてあげよう。」


部長は一冊のアルバムを見せてくれた。

ぺらぺらとめくっていく。

「すごい!みんな・・・美女っていうか、アイドルみたいな美少女もいる!

レベルが高い!男に・・・見えない!

あれっ、この人?似てる・・・似てる人がいたんだ。」


俺は、山野先生そっくりの女形生徒を見つけた。

でも名前が違う!

桜井宏人(さくらいひろと)って書いてある。だいたい、山野先生は女性じゃないか?

何考えてるんだ。

似ているのは偶然なんだろうな。

似ている男性の一人や二人はいるしな。



「あと、姫には特典がある。専用の更衣室、メイク室があるんだ。

男と一緒に着替えていたら、羞恥心がなくなっちまう。

トイレも、職員用の女子トイレを使う。」


「そこまでしてるんですか?」


「まあ、今日入部しろとは言わない。明後日、俺たち3年生主体の新入生歓迎公演がある。

3年生の半分ははこれで引退だ。

あと半分は秋の地区大会まで参加する。

僕みたいに受験に集中したい3年生は早く引退する。

新歓公演は、

女形がいないから、男だけの劇だ。

新入生に何かを感じてほしいから、力がはいったお芝居になる。

それを見て、入部を決めてほしい。

待っている。」


部長はニコニコしながら、俺に検討を求めた。もう引退しちゃうんだ。


「あの、やっぱり僕がスカウトされたのは小柄だからですか?」


「背が低いだけでなく、肩幅が狭くて華奢だ。顔が小さい。

丸顔で、目が大きくまつ毛が長くきれいにカールしてる。

髪の毛は今の段階で結構長め。

耳が隠れていて女子のボブヘアぐらいの長さがあって女の子っぽい。

声がわりと高いし、性格も温和で優しい。

山野先生や俺たちの独自の調査で明らかになった。この子しかいないと思ったよ。」


「そ、そうなんですか?」


細かく評価されてる。

今まで役に立たないと思っていた個性が長所なんだ!

髪の毛は姉と一緒に美容室でカットしてるんだけど美容師にこうした方がいいと

言われて長く伸ばしていた。

中学生としては長めだし、女の子っぽいと

気になったんだけど、家族が似合うと言うのでそのままにしてた。まさか、これも評価されるとは!


褒められると嬉しくなる。

女形やってみようかなと何となく、心が動いてきたが、

やっぱり、突然のことで、頭が整理できない。


「新部長を紹介しよう。 僕が引退したあとの新部長は決まってるんだ。2年生だ。早坂君、後は頼むぞ。」


「はい、任せてください。

小出くん、早坂です。僕も女形である「姫」になりたかったけど、身長が高くてね。なれなかったんだ。

入学した時は、一応検討されたんだけど、ダメだったんだ。」

早坂新部長はやさしく語る。

うわっ、確かに美形だ。ものごしも柔らか。ただし、身長はけっこうある。


「明後日の公演、ちゃんと見てくれよ。何かを感じとってほしい。3年生の魂を感じてほしい。」

真面目な顔には、真剣さが感じられた。


「わかりました。明日の公演のあと、入部について考えを決めます。」


「うん、待ってる。」


「それでは失礼します。」


俺は、混乱していた。

女役?女形制度?姫?

演劇の華?


女装なんてとんでもないと

思っていたが、話を聴き、

今まで地味な人生だった自分が

輝ける時が来たのかもしれないと

思わざるを得なかった。


俺は、容姿や性格で評価されたことはない。

それなのに、演劇部の人たちは、スターの

卵のように言ってくれる。

どうしよう?

よく考えなきゃ!

家に帰って、家族にも相談だ。




夕食の時、家族が揃ったので、

本日起こった事を説明した。

家族は知っていた事だから驚かない。


父親の健人は、

「女形制度は俺が高校の時からあった。

女形である『姫』はけっこう人気あったぞ。

ちょっとしたスターだ。

3年になってすぐ引退だから約2年だけだけどな。

まあ全国大会まで行けば夏まであるけど。

うん、

割り切ってやるのもいいんじゃないな?。」


母の智花は

「私はいいお話だと思う。

葵は可愛いんだもん。

『姫』は女子校の方でも授業受けられるから

貴重な体験出来るよ。」


そして姉の柚はというと

「絶対やるべきだよ。

葵は素質あるもん。

女の子っぽくなるために私も協力するよ。

そうだ、学校通学も女子の制服で行きなよ!」


うーん、家族は楽しんでるみたいだ。

前だったら、「冗談よせよ!」と全否定するところだが、

今日、部長と次期部長から話を聞かされ、ちょっと前向きになっている俺。


「うーん、考えてみる。」と言って、自分の部屋にこもることにした。

基本的に週末の土曜か日曜の更新となります。調子よければ、複数回の更新もしたいと思います。ストーリーが書けても、誤字脱字、矛盾点の修正とかいろいろありますので。

では、次回も読んでいただけることを祈ってます。

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