表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/200

29 山野先生の家

今回で10連休の10日連続更新は終了です。

次回は、1週お休みして、5月18日更新予定。

5月18日以降は、毎週土日更新予定です。

今後も継続して読んでいただければ幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

小出葵です。


今は土曜日の夕方です。


山野先生のお招きで、山野先生が住む

マンションにやって来ました。


私の住む街から20分ほど電車に乗ってついた駅から10分ほど歩きます。

到着。

オートロックのマンションでした。

かっこいい!

1階のエントランスでメモを見ながら

インターホンの部屋番号を押します。

よし806号・・・と。


ちょっと間をおいて、男の人の声で「はい。」と声がしました。


「小出と申しますが、山野先生のお宅でしょうか?」

私は緊張して、質問します。


間違ってたら恥ずかしいな。


「ああ、お待ちしてました。エレベータに乗って来てください。」


ふーっ、間違ってなかった。


旦那さんの声、低くてかっこいいな。


エレベーターに乗って、806号室に到着。再度インターホンを押して、

中に入れてもらいます。

旦那さんがドアを開けてくれました。


「やー、いらっしゃい。初めまして。

夫の山野です。わざわざ来てくれてありがとう。

やっぱり『姫』だけあって、可愛いね。

帰りは車で送っていくから心配しないでくださいね。

今、家内は料理中なんですよ。」


わーっ、イケメンだ。かっこいい!

身長は180センチ以上ある。

山野先生はヒールのある靴履くと170センチ後半になっちゃうけど、

この旦那さんなら、全然バランスオッケー。

美女、美男のカップルなんだ。


リビングに入ると、先生が出てきた。


「いらっしゃいっ!

わざわざ来てくれてありがとう。

迷わなかった?」


「ええ、大丈夫でした。

スマホもあるし。」


「そうだな。

今はスマホがあるからなー。時代だなあ。」


「あのっ、私と同じような悩みを持っていた方って、まだ来てないんですか?」


「ふふふ。後で紹介するね。」


「は、はいっ。」


あれっ、来てないのかな?曖昧な返答だった。


そして、そのあと、先生の作ったお料理をいただきます。


パエリアとかオシャレな料理が出てきて、感激。

先生、お料理上手いんだ。


「あの、お二人ともお酒飲まないんですか?」

以前、先生が夫婦でお酒を飲むのが趣味だと言ってたことを思い出して、質問すると、


「あとで、小出さんを送っていくから、

帰ってから、楽しみます。心配しないでね。」


「あ、すみません。

それにしても、素敵なお宅ですね。

新婚さんって感じでいいなあ」


「もう、結婚して3年になるけどね。」


「でも、先生も旦那さんも若々しいから、新婚って感じがします。」


「そう?ありがとう。」


食事をしながら旦那さんを交えながら

話が盛り上がります。

旦那さんの栄作さんは桃花高校のOBでかつ

演劇部の先輩なので、共通する話題がいっぱいあります。


そして、栄作さんの在学時の姫の話や、

栄作さんと山野先生の馴れ初めの話を聴きたくなります。


「あのー、山野さんがウチの演劇部にいた時の女形ってどんな人だったんですか?

キレイな方だったんですよね?」


「え?そうだな・・・

キレイで色っぽかったな。

うん、人気だったよ!」


「でも、本物の女の子には敵わなかったでしょ?」


「いや、本物の女性よりキレイで

色っぽかった!」


「栄ちゃんっ!」


あれ、なぜか先生が旦那さんに赤くなって声をかけてる?

何故だろう?


「あと、先生と山野さんの馴れ初めを教えてください。

先生が女子高で山野さんが男子高校だったんでしょ?

やっぱり演劇部の交流で仲良くなったんですか?

うちの学校、部活動の交流をきっかけにカップルになる人多いんですよね。

私の両親もそうなんです。」


「ははは、そうだなあ。ちょっと違うんだけど・・・」


そこで、山野先生が入ってきた。


「そろそろ、本来の目的である葵ちゃんの相談の時間にしましょ。

葵ちゃんは、女形になっていろいろ練習しているうちに本物の女子との違いに悩んでいる。

もっと女の子っぽくなりたいと考えているのに、女子との体と違う自分に不満を持ち始めた。

その結果、女性化を目指す相談にのるジェンダークリニックの診察を受けることにしている。

そうだよね?」


「そうです。

そして、山野先生が私と同じように悩んでいた桃花高校演劇部のOBの方を紹介してくれるという

お話でした。

あのー。そろそろその方いらっしゃるんですか?」


「もう、来てるわよ。

葵ちゃん、私の旧姓は桜井なの。結婚する前は桜井秋葉だった。

桜井っていう名前に心当たりない?」


「えっ?もういらっしゃってるんですか?」


私は隣の部屋に隠れているのかと考えた。

で、桜井さん?

えっ?

あ、確か、歴代女形「姫」の中でいたような・・・

そうだ、山野先生に似ている女形だ。

もしかして山野先生の兄弟?お兄さんか弟?


「葵ちゃんが、真剣にいろいろ考えて、精神科医の診察を受けるって言うんだから、

これから大事なことを言います。

これから言う事は学校の人や生徒、家族にも言わないでね。」


「ええっ?

何ですか?」


私はドキドキした。先生は何か重い話をしようとしてる。

すごく秘密の話っぽい。

どうしよう?でも聴かなきゃ。

必要な話だと思う。


「葵ちゃん、私、女形だったの。

高校時代の名前は桜井宏人。中学生まではふつうの男の子だった。

ショックだろうけど、事実。

黙っていようと思ったけど、相談に乗るなら言わないといけないよね?」


「えっ?

うそーっ?

うそでしょ?そんなの信じられないっ!

だいたい、先生、結婚して、こんなに素敵な旦那様いらっしゃるじゃないですか?

ふざけてるんですか?

冗談はよしてください。」


そこで、旦那様が応じてくれた。


「冗談じゃないよ。あっちゃん・・・秋葉は高校時代からホルモン治療を開始して、

大学の時に性転換手術をして、女性の体になったんだ。

その後、家庭裁判所に申請して、戸籍の名前と性別を変更した。

そして、大学卒業して、学校に就職後しばらくたって公務員の俺と結婚したんだ。

戸籍が女性ならば、男性と結婚するの不思議じゃないだろ?」


「へっ、そう・・・なんですか?

・・・・・・

本当に?

山野先生、『姫』だったんだ。

じゃあ、男子校の演劇部の仲間同士の結婚?

すごい!」


「恥ずかしいけど、そうなんだ。

あ、言い訳するようだけど、高校時代は付き合っていない。

大学も違う大学に進んだし、付き合い始めたのは大学の後半からだよ。

高校の時は戦友みたいなもんだよ。

まだ、男同士っていう意識が強かったからね。」


そういうことだったんだ。


私と同じ悩みをもっていたのは山野先生だったんだ。



連休中読んでいただいた方、深く感謝いたします。

次回は5月18日(土)に更新予定です。

とりあえず、100話連載を目標に続けて行きますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ