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23 二人の教師

葵と祐希の女子高研修、男子高研修が終了した翌日の夕方、


都会のお洒落なイタリアンレストランでワインを傾けながら話に夢中になる美女二人がいた。


二人とも長身だ。

一人は抜群のスタイルを誇るモデルのような美女でやや勝気な雰囲気、

そしてもう一人も長身の女性、笑顔が素敵な癒し系美女という感じ。

二人ともおそらく20代後半と見られる。


実はこの二人、葵と祐希の担任教師でかつ演劇部の顧問である山野秋葉と福島雅である。


二人は大学で同学年で同い年。演劇部で一緒に過ごし、就職したあとも大の仲良しの親友だった。


「秋葉、どう結婚生活は?喧嘩とかしてない?山野君、優しくしてる?」


「うーん、結婚して3年たってるし、時々喧嘩はしてるけど、離婚するようなネタはないし、

そこそこ優しいよ、彼。

雅はいい人いないの?大学時代、けっこうモテて、彼氏がいない時なかったじゃない?」


「就職して彼氏と別れたあとは、ご存知のとおり男性と付き合う機会ないからなあ。

教師仲間だと今一つでさ。

 秋葉んとこの職場もいい男いないでしょ?」


「どうかなー?もう結婚してるから、そういう目でみないしね。」


「山野君に、いい男いないか訊いてみてよ?

人助けと思ってさ。」


「うーん、どうかなあ?

いるかなあ?

でも雅の頼みだから訊いてみよう!

今度話してみるね。


そうそう、話変わるけど、今年の姫、小出葵ちゃんはどう?

なかなか、いい素材でしょ?」


「うん、性格が素直で、伸びると思う。

指摘したことを確実に直していこうという姿勢あるもん。

あの子、伸びるよ。

それに、本当に可愛いしね。

ただね・・・ちょっと相談されて、困ってるんだ。」


「何、相談されたの?」


「それがさ、何か、秋葉の高校時代と同じような悩みなの。

もう、私じゃわかんないから、直接担任で、顧問の秋葉に相談にのってもらうしかないって思ってるんだ。

もちろん、秋葉に正体をばらしてもらう必要があると思うけど。」


「ええっ?同じような悩み?

・・・まさか?

小出君、入学して、まだ1か月だよ。


うーん、私の正体か?

在校生はみんな知らないからなぁ。

ばらしたくないんだけど。

教師と学校関係者はけっこう知ってるど。」


「でも、小出君にだけはばらしてあげた方がいいと思う。

そんな気がする・・・


うーん、そういえば、そうだよね。

秋葉が悩みだしたのは1年の夏休み中だった!

覚えてる!

今のままじゃがまんできないって言いだしたの。

本物の女の子になりたいって言いだすからびっくりしたよ。」


「あー、懐かしいなあ。私が姫で、雅が王子で、同じような立場で、何でも相談するようになって・・・

そうだね。夏休みの時に、悩みを打ち明けたんだよね。」


「秋葉っていうか当時の桜井君は、完璧を求めてたよね。いくら演技が上手になっても、

女の子っぽくなれないって。

女の子の体と僕の体は違う。

本物に近づきたいって言ってた。

おっぱいがほしいって言ってた!」


「しーっ!ほかのお客さんに聴かれるとまずいよ。

もう。

うーん、小出君、女の子になりたいって言ってるの?」


「そうは言ってないけど…

なんか、本物志向というか、今のままだと、女の子の演技をしても不完全だなあって欲求不満感じてるみたい。

まあ、女の子と体がちがうってことに悩みをもってるんだ。

秋葉もそんな感じだったじゃない。」


「そうだね。

私も、中学生までは、普通の男子だったんだよね。

女形やるようになって、美人だって言われるようになって、

なんか男でいるより、女性になった方がすべてが人生プラスに行くような気がしたんだ。

確かに、ホルモン治療して、おっぱいが膨らんだ時、

ものすごい安心感があった。」


「おおっ、そうだったんだ。

私なんか、おっぱいがもう少し小さければ楽なのにって高校時代悩んだなア。」



「雅はあのころから巨乳だったからなあ。

贅沢だなあ。


そっか、もしかしたら、小出君、おっぱいほしがってる?

胸が欲しいとか言ってない?」


「直接的には言わないけど、

ブラがずれて胸の形が不自然になること、悩んでた。」


「ははは、確かに。

胸にひっかかるものないから、ずれ放題だね。

胸がない時を思い出しちゃった。

本物志向だとなんかつらいかも。」


「秋葉がホルモン治療開始したのは高校2年だっけ?」


「結局3年生のときだよ。

2年間のジェンダークリニックの診断が必要だったんだ。

今はだいぶ緩くなってると思うけど、

私の時代は厳しかった。」


「大学の時に入った時は、完全女性で過ごしてたもんね。

見た目は完全女の子。

私以外に友達全員知らなかったのはすごかった。

全く気付かなかったもん。」



「大学入学時から、女性で過ごしてたからね。

名前も桜井秋葉って名乗ってたし。


認めてくれた大学の事務局に深く感謝だよ。

進んでたよね。あの大学。


そんで、大学2年になる前に性転換手術して、戸籍と名前を変えて、

完璧にわからなくしたし。」



「男子校の『姫』で性転換した人、もう一人いるって聴いたことあるけど・・・」



「うん、20年くらい年上だと思う。

もう40代後半?

私が二人目みたい。

もしかして、小出君が3人目になったりして・・?

まあ、本人とよく話してみる。」


「小出君には、あなたと似たような悩みを持ってた人を紹介するとだけ言っておいた。

今のところ、ヒントは与えてないから、秋葉だって知らないよ。」


「うーん、アバウトだなあ。実は私がその人だって言うのね。

驚くだろうなあ。」


「高校の時の同級生の男子と結婚したって言ったら、もっと驚くよ。」


「それは言いたくないかな?

だって、同級生を意識しちゃうかもしれないじゃない?

でも、私の歴史を話し出したら、言わざるをえないか?」



「ふふふ、そうだね。

でも、女子高の生徒にモテモテの山野君が秋葉とくっつくと思わなかったよ。」


「私も意外だった。

本物の女子を選ばず、

偽物の女性を選ぶんだもん。

まじか?って思うよね。」


「でも、悔しいけど、秋葉は完璧な美人だったし、努力してたもん。

山野君、近くでみてたから、そういう姿勢を含めて、好きになったんじゃない?」


「そうかな?

よくわかんないけど・・・


あ、小出君の件は相談に乗るよ。

何て言ったって、本家本元の担任だし、部活顧問だしね。

でも、あの子、口堅いかなあ。私の正体ばらすの不安だな。」


「大丈夫。けっこう、真面目だよ。」


「ふふふ。雅の太鼓判だね。

安心した。」


二人の飲み会はまだまだ続く感じだった。

明日も更新します。連休中、ずっと更新できるかな?自信ないけどがんばります。

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