21 祐希の男子校生活
女子高生の男装と
男子高生の女装とどちらが
難しいでしょうか?
尾崎皆です。
小出が女子高に行って10日たったけど、あいつちゃんと女の子っぽくやってるのかな?
俺は毎日楽しくてしょうがない。
だって、代わりに男子校に来ている藤原祐希ちゃんが、実に好みだからだ。
ちょっと背が高いけど、俺よりは低い。
男役だから、一応男装はしてるけど、どう見ても女の子!超可愛い。
胸を押さえて、ペッちゃんこにしてるけど、
なんか、ナベシャツっていうサポーターみたいなもので押さえつけてるだけで、
ちゃんとおっぱいはあるって言ってた。
パンツも男性用ボクサーパンツを履いてるって言ってたな。徹底してる。
でも、葵とちがって、家にいる時や休日は女の子に戻ってるみたいだ。
うーん、女の子姿を見たいな!
それにしても、心配だ。
どうも、クラスのみんなも、他のクラスや上級生も、藤原を狙っている感じがする。
油断できない。
同じ演劇部である俺と板谷は圧倒的に優位だけどさ。
みんなは藤原と仲良くなって、女子高の女の子たちとのつながりを作ろうと思ってるのかもしれないけど。
藤原はそれなりに男子の言葉遣いや歩き方、仕草を覚えてきた。
演劇部での即興演劇の練習では男っぽいセリフが様になってきている。
一週間くらいなのにたいしたもんだ。
一生懸命努力しているところも好感が持てる。
藤原と過ごせるのはあと1週間くらいかあ?
間に連休があるしなあ?
もっとお近づきになりたい。
よし、小出と板谷をダシに使おう!
俺は部活の時、ちょっとした作業で
藤原と二人きりになるチャンスを利用して
声をかけた。
「あのさ、せっかく仲良くなったんだから、
俺と小出、板谷、そんで藤原の4人でそのうち休みの日に遊びに行かないか?」
「うーん、そうだねー。
6月の定期公演の後ならいいかな?
女子校も男子校も定期公演あるよね?
それまでは部活忙しそうだもん。
俺、その時は男のカッコの方がいいのかな?
通常、学校以外では女の子の姿に戻っているけど。」
藤原は最近、一人称が俺になっちまった。
まあいいんだけどさ。かわいいから。
「女の子のカッコがいいよ。
俺も、板谷も見たことないしな。」
「そっか?
披露しちゃおうかな。可愛い俺を。
じゃあ、葵はどうする?葵は24時間女装態勢だよ。男に戻しちゃう?」
「葵は女のカッコでいいんじゃないか?
あいつ訓練必死だもん。」
「了解。その方が似合うもんね。」
「おお、そうだな!」
おっ、上手くいった。やったー!俺は心の中で拳を突き上げた。
これならダブルデートみたいな感じになる。
もちろんカップルは俺と藤原、小出と板谷だ。
「葵と板谷って、お似合いだと俺思うんだよねー。」
藤原が何気なく言う。
出た、腐女子的発想。
実は俺も思ってるというか、そうなったら面白そうだなと考えるけど、
口には出せない。小出と板谷に俺たちはホモじゃない!って言われそうだからな。
「ははは、確かに女装した葵と並ぶとお似合いかも。」
「じゃあ、遊びに行ったときに、二人が仲良くなれるように、うまくやらない?」
「えっ?マジ?
まあ、俺は板谷と小出をカップル役にして、恋愛劇を作ろうかなとは密かに思ってたけど。
まあ、先の話だけどね。
俺が脚本を書かせてもらうようになったらの話だけどさ。」
「うわっ、それいい!!ぜひ作りなよ。
その前に二人の仲を近づけちゃおうよ。」
「ちょっとまて!
よく考えてみれば
あまり、露骨なことはやめた方がいいと思う。
あいつら、ホモじゃないんだからさ。
その、一応ノーマルな男同志だぜ。」
俺は一応常識を考える。
ダブルデートは都合がいいと思ったものの、
やはり変なことはできない。
「そうかー。時間をかけないとだめってことね。
少しずつ仲良くさせるかな?
でも、何となく、二人っきりになるように仕向けようよ。
よし、二人を恋人にするために、長期的な計画でがんばろう!
ね、協力してよ。
俺、何とか実現させたい。」
うわーっ、腐女子だ。
何となく、二人をくっつけちゃったら面白いし、板谷が俺の恋のライバルから抜けることになるから、
いいかなって思うけど・・・
藤原のやつ、すげーな。
でも、俺には都合がいいことは確か。
協力するか?
「まあ、いいけど。
ほどほどにな?
協力するよ。
長期的に考えるなら、
4人で遊びに行くのを
何回もした方がいいかも。」
「そうだねー。
いろいろ企画しよう!」
おお、やったー!
藤原と一緒に遊ぶ機会が増える!
「企画してくれるんだ!
よろしく。」
「実は私、BLコミック好きなんだ!
それでTSにも興味ある。
だから、葵が女の子っぽくなって
男の子と恋愛するのって楽しみ!」
わ、突然一人称が私になった。
やっぱりBL好きなんだ。
俺たち男子校の生徒を変な目で見てる可能性あるな。
気をつけよう。
「BLはわかるけどTSって何?」
「トランスセクシャルのこと!
最近、ホルモン治療や性転換手術している
タレントけっこういるでしょ?
あれのこと。
可愛い男の子が性転換目指すって素敵!
そして、好きな男子がいたら素敵!
って思ってるの。」
もう、祐希は完全に女の子の話し方になってた。自分の嗜好の話でちょっと変になってる。
「ということは、もしかして
小出を性転換させて、
板谷との恋愛を成就させたいと想ってるの?
妄想してたりしてる?」
「うん、その通り!」
「いや〜、すごいこと考えるなあ。
高校に入学して、知り合って間もないのに
そこまで考えないぞ。
妄想力ありすぎ!
あ、そろそろ部室戻ろうぜ。
話に夢中になっちまった。」
「そうだね。
あのー、
私がBLとTS好きなの内緒にしてね。
ついつい喋りすぎちゃった。」
藤原が部室に向かって走り出した。
急に恥ずかしくなったみたいだ。
参ったな。
藤原のすごい趣味知っちゃった!
本人はどうなんだろう?
恋愛は普通なのかな?
そういえば、彼氏とか、まさかいないよな?
そんなのいない前提でいろいろ考えてた!
今度、確認しなきゃ。
俺、あいつに惚れていいのかな?
連休なので、明日も更新するつもりです。
よかったら、覗いてくださいね!




