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2 演劇部にスカウトされた!

高校の演劇部って、自分が高校生の時にはあまり興味なかったけど、今考えてみると、やってみてもよかったかな?なんて思います。面白そうです。

俺は、家に帰って、担任教師から、演劇部にスカウトされた話をした。


父親の健人けんとに尋ねる。

「なんか、家族は知っているって言ってたけど、ホント?

どういうこと?」


「ははは、実はな、入学が決まったあと、山野先生から連絡があったんだ。

ぜひ、演劇部に欲しいってさ、やらせたい役があるみたいだ。

絶対的な素質があるって言ってた。

話を聞いて、面白いって思ったよ、俺も母さんも。」


母親の智花ともかに尋ねる。

「素質って何なの?」


「ふふふ、私たちが言うより、あした学校で、演劇部の人たちから直接的に

説明を受けた方がいいと思う。

私たちはなるほどねと思ったけど。」


ううっ、両親ともに口が堅い。

そういえば、姉貴が知ってるって言ってた。

姉のゆずに訊いてみる。


「お姉ちゃん、いったい何なの?」


「山野先生は、ちょっとした知り合いなんだ。

あの人、スタイルいいでしょ?

私が高校のファッション研究部にいた時、

山野先生を知ってる人がいて、知り合いになったの。

あの人、大学の時に役者とモデルみたいなことやってたらしくて、私たちが高校のファッションコンクールに参加する際にいろいろアドバイスしてくれたんだ。

桃花学校法人の学校にいたから私たちの先輩よ。

山野先生が、あなたを選んだのなら、間違いない話だと思う。

きっと、あなたは役にピッタリハマると思う。」


「だから、いったい何の役?」


「それは秘密。」


うーっ、家族は秘密主義だ。

らちがあかない。

それにしても、山野先生は桃花女子のOGだったのか?

モデルとか似合いすぎだ。

キレイだもんなぁ。


もういいや、学校でわかるだろ。



翌日。

俺は、教室で、仲良くなったやつら、尾崎皆おざきかいと、板谷翔いたやしょう

いろんな部活の情報を聴くことができた。

いっぱいあって、悩みそうだった。

でも、俺はスカウトされている。どうしよう?


「あのさ、俺、演劇部にスカウトされたよ。

俺って、中学時代演劇部に入ってなかったし、芝居経験ゼロなんだけど。

不思議だよなー。」


「演劇部?

そりゃすごいぞ。

あそこは名門で、スカウトされないと入れないっていう話だ。基本的にイケメンが多いらしい。」

と尾崎。


「俺も、演劇部については聴いたことある。

けっこう、容姿とか、体格とか、性格とかで入学時に目を付けて、

役に似合う人間をスカウトするって聞いてる。

悪役には、人相の悪いやつとか選ばれそうだな。」と板谷。


「じゃあ、俺は、どんな役で、選ばれたんだ。」


「そうだな…うーん、

えーっと、

失礼だけどイケメンっていうより

可愛いっていう感じだなあ。

うーん!


・・・あっ、もしかして!


そうだ!


たぶん、あれだ!」

と尾崎が納得したように言う。



「おお!

俺も思い当たった!

そうだな。たぶんあれだよ。

うん、似合いそうだよ。

そうとなると、うちの学校の独特の制度で、授業を受ける時もそうなるな?」

板谷がわかったように言う。


「ええっ、噂にあるあの制度って、本当なのか?」


「本当だと思う。

俺も、まじか?と思ったけど。」


「一体何なんだ。教えてくれ。」


「教えたいけど、今日、演劇部で説明を受けてくれ。

俺たちは、たぶんそうかなと思うけど、真実はわからん。

自分で確認してくれ。」


「おおっ、そうだ。俺たちが思いついた役ってたぶん一緒だ。

ちょっと、今は言いたくない。

演劇部で確かめてくれ。」


何と、友人たちは何かを知ってるようだ。


俺は、この学校に入学するときに、噂とかは調べなかった。

両親と姉からの情報だけで、満足していた。

うーん、噂にある制度?一体何なんだ。

そして、俺が似合うとされている役は何なんだ?

イケメンじゃないから、主役は絶対ない。

すると、脇役で、変な役か?

悪役やるには、顔が可愛すぎると思う。

自分で言うのも変だが、俺は女みたいな顔なんだ。


うーっ、わからん。


「わかった。自分で確かめてくる。後で報告するからな。」


「うん、それがいい。」

「なんか、はまり役かも。楽しみにしてるよ。」


俺は、入部を断ることを半分考えながら、演劇部の部室にむかった。

だって、ろくな役じゃなさそうだしね。



演劇部の部室はけっこう立派だった。俺はノックして、ガラッと部室に入っていく。

「1年の小出葵です。」


先輩たちが、みんな待ち構えてた。

俺を待ってたようだ。

「なるほど。山野先生の言った通りですね。」

「これは、ダイヤの原石ですね。」

笹森ささもり先輩が引退して、適役がいなくて、臨時に僕がやっていた時もあったけど、僕じゃ背が高いし、バランス悪いんだよな。小出君はぴったりだ。顔も可愛い!

うん、絶対いい。」


一体何なんだ。俺が似合うという役は、


山野先生が後ろの方から前に出てきた。

「私もあなたと同じで高校入学直後にスカウトされて、困ったんだ。でも先輩方や当時の顧問が育ててくれた。

心配しないで。」


あれっ?先生も女子高で演劇部だったのか?

どんな役でスカウトされたんだろう?

やっぱり主演女優かな?


そこで、3年生がずいっと一人出てきた。

「小出君、僕が部長の越後谷俊樹えちごやとしきだ。

演劇部の総合プロデューサーみたいなことをやってる。

いろいろ不安にさせてしまってごめん。

君は、2年生、3年生がみんな知ってるわが演劇部の制度というか、学校で認められている制度の事を知らないようだね。新入生もけっこう噂で知ってるみたいなんだけど。

僕たちは君を待っていたんだ。君みたいな容姿の新入生を。

この制度に適した人材ってけっこういそうでめったにいない。

君はわが演劇部の星になる逸材だと思う。

お芝居のテクニックはあとでついてくる。俺たち上級生と女子高の女の子たちが指導する。

心配しないでくれ。」


「えっ、いったい何なんですか?僕は貧弱な体格で、子供みたいな顔をしてるから、

そんなスターの素材みたいに言われても。」


「お芝居っていうのは、社会の縮図だろ。男がいて、女がいるのが社会。

でも、ここは男子校だ。

だとすると、劇中で女性の役はどうすると思う?」


「女子高から応援頼むんですか?」


「それはノーだ。女子高の演劇部とは協力関係にあるが、男子校である以上、別の学校の生徒が

劇に参加することはない。」


「えっ?すると、男性が女性の役をするんですか?となると・・・」


そこで、俺は気づいた。俺は、中学の時、

「女の子みたいで可愛いな。」って、同級生の男子によく言われたし、女子からも、

「細いから、私の制服着れちゃいそう。っていうか、私より似合いそう。可愛いっ。」なんて

よく言われてた。

そのたびに、「よせよ!俺は男だぞ。」

って言い返していた。

実は本当はちょっと嬉しかったんだ。

女の子に生まれて来ればよかったなって思う事もあったくらいだ。

でも、人にからかわれる感じになると、やっぱりむくれた表情をしたくなる。

だって、女の子に見えるって言われて喜ぶ男子中学生なんていないと思う。


そうだ、家族にも子供のときから、

「葵は女の子みたいだな。柚と姉妹みたいだ。」

「そうね。柚の服似合いそう。」なんて、よく言われていた。

「ちょっとやめてくれよ。」と何度も反抗したのを覚えている。


「すると・・・まさか・・・」


越後谷部長が宣言した。

「そうだ、君はうちの演劇部の女形として最高の素質を持っている。

メインの女役として、がんばってほしい。

君みたいに女の子役が似合いそうな生徒はいない。

そして、学校で正式に認められた女形制度を十分活用してほしい!

最高の「姫」になってほしい!」


えっ?女形?歌舞伎みたいな?

それから女形制度って何だよ?

「姫」だと?

できれば、明日までにもう一回更新したいと思っています。

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