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15 尾崎君の一目惚れ

俺は尾崎皆(おざきかい)


桃花高校1年生。


中学の時、運動部に入ってたけどイマイチなじめなかった。

だから高校では絶対、全力で打込める部活に入ろうと思ってた。


そして入ったのは演劇部!

友達になったやつが女形に選ばれて

面白そうと思ったからだ。


入部して、やりたいと思い始めたのは、

脚本、台本づくり。

桃花高校の演劇部は

基本的にオリジナルストーリーの

脚本でやってる。

先輩で脚本、台本書いてる人と話しこんで

これは面白そうと思った。

芝居より、脚本とか台本、舞台監督とか

の方が面白いかも。

演出家っていうのもいいかもしれない。

自分の思い描く芝居を作れる。

これは快感かも。


ところで今俺は学校に向かって電車に乗ってるんだが、これから駅のそばで待ち合わせをしている。

昨日から女子校に通い始めた小出の頼みで

小出と入れ替わりにくる女子校の生徒を我が男子校に連れて行くことになった。

板谷も頼まれてるから3人で行くことになる。

どんな子だろう?

男役の「王子」って話は聴いているけど

宝塚の男役みたいな感じ?

デカイのかな。身長175センチの俺より

高かったら嫌だな。

バスケの選手みたいだったりして。

まあ、可愛いくなくても、女子校の子と

仲良くなれるきっかけ作りになる。

お近づきなっておこう。


それにしても、板谷の奴、昨日は興奮してたな。


「尾崎、土曜日にショッピングセンターで

小出に会ったよ!

女装した小出に!

メチャメチャ可愛い!

その辺の女子高生なんて目じゃない!」

なんて言ってた。

あいつやべえな!

いくら可愛くたって男だぞ!

あいつ、男同士の禁断の愛に目覚めるか?


俺が脚本書いて、小出と板谷のラブシーン

作っちゃおうかな?


面白いかも!興奮する!


俺って腐女子みたいだな。

男だから腐男子?


まあ、今後の展開次第だな。


お、そろそろ時間だ。


「あのー、尾崎君ですか?」


俺は不意を突かれた。

前ばかり見ていて、横を見てなかった!


声をかけられた方を見ると、男子の制服を着た女子が立っていた。

髪の毛を男子と同じように短くしているし、胸も出てなかったけど、

一発で男装している女子ってわかった。可愛いっ!


「あ、藤原さん?あ、尾崎です。板谷はまだ来てないけど・・・」

俺はしどろもどろだった。

何と美少女だった。

身長はちょっと高めで170センチくらいあるか?

でも、俺より低い。

好みだ!


「今日は無理言ってすみません。

あ、男子校で、男性の仕草や行動を真似して学ぶので、男扱いしてくださいね。

藤原って呼び捨てにしてください!私も尾崎っていっちゃいます。

それから、私、自分のことを僕って言いますけど、笑わないでね。」


そうだった。今日から男っぽくなるために、男子校で過ごすんだ。

そう扱わないといけないんだな。

これだけ可愛いと抵抗はあるけど、


「よし、藤原、男同志ってことでよろしくな。」


「おう!!・・・ぶっ!ふふふ、まだ慣れないや。」

吹き出してしまう藤原さんは、まさに女の子。こりゃまいった。男っぽくさせるの

骨が折れるぞ。


そして、そこで板谷が合流する。

板谷も女子高の「王子」がけっこう女の子っぽい子だったので、戸惑っていた。

面白かったのは、藤原さん、いや藤原ってよばないといけないな。

藤原が言った一言に真っ赤になったことだ、


「あ、板谷さん、初めまして。

板谷さんのことは小出さんに話をきいています。

小出さん、可愛いですよね。

あれだけ可愛ければ、男子校でモテるようになっちゃいそう!

誰かにとられないようにしっかり捕まえておかないとダメですよ。」


「えっ?何言ってるんだ。腐女子かよ。

あいつは友達だよ。

女子はそういうの好きだよね。」

ちょっと、怒ったような顔をした板谷だったが、

実は、ちょっと喜んでるはずだ。

俺は、昨日のあいつの話から、分析した。

板谷は間違いなく、小出を気にしている。

そうだ、俺と藤原で、小出と板谷の仲を取り持ってやるかな。

そして、俺も藤原と仲良くなる。

うーん、素晴らしい案だ。今日はさえてるぞ。


「あ、そうだ、尾崎も小出さん好きなのかな?」


うわっ、藤原から、変な攻撃が来た。


「やめてくれ、俺たちは小出と単なる友達だ。

あいつのことは男だって認識してるし、変な感情もない。」


「そうだよ。俺たちは普通に女の子が好きなんだ。」


おおっ、板谷を助けることになっちまった。

不意打ちを受けると、困るなア。

まあ、でも藤原と仲良くなれたからいいか?


そうだな、とにかく女の子扱いするとがっかりしちゃうだろう。

まずは男役が身につくように、面倒をみよう。

そうしたプロセスのなかで、距離を縮められるかもしれない。

うん。その作戦だ。


そのあと、俺たち3人は男子校に向かう。


職員室に案内するまで、ずーっと注目を浴びっぱなしだ。

そりゃそうだ、男装の美少女と一緒に行動してるんだから。


藤原は俺たちと同じクラスだった。

今はいない小出の席に座る彼女。


約3週間、彼女と過ごせる。こりゃ、大事な3週間だぞ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


板谷翔です。

今日から、女子高の男役「王子」である藤原祐希さんが登校してきた。

朝、友達の尾崎と一緒に藤原さんの初登校に付き添ったんだけど、尾崎はもう藤原さんに

メロメロだ。

黙っているけど、何となくわかる。

無理して、藤原さんを男っぽく扱ってるもんな。

おれも、それに合わせてるけど。

藤原って呼び捨てで呼んで、板谷って呼び捨てで呼ばれると、何か変な気分だ。


それにしても、男役といっても可愛い。

身長が170センチくらいあって、背が高くて、だから男役に選ばれたんだろうけど、

顔が可愛いすぎる。

胸もサラシで押さえていて、無いようにしてるみたいだけど、

それでも、男装した女の子って感じが強い。

女装して女の子にしか見えなくなる小出とは違う。


まあ、いくら可愛いくても俺の好みじゃない。

藤原さんは背が高い。

俺は160センチ以下が好みだ。


あ、そうだ。さっきは驚いたなー。

藤原さん、俺と小出が恋し合ってるようなことを言いやがった。

そりゃ、確かに小出は可愛いけど、あいつは男だ。変な気持ちを抱くわけにはいかない。

あいつだって、俺に対して、そんな気持ちを持つわけがない。

土曜日、見かけた時は女の子っぽかったけど、金曜日まで小出は普通の男子だった。

男を好きになるような雰囲気は全くなかった。

それどころか、女の子と仲良くできるかもしれないと女子高に行くのを楽しみにしてた。


うーん、藤原さんは腐女子なのかも。気を付けないと。


そうだ、女子高に可愛い子いないか藤原さんに訊いてみようかな?


やっぱり、女子高だったら、小出より可愛い女の子いっぱいいるよな?



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