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120 友利豊と新川梨亜

3連休なので、3日連続更新の予定です。

楽しんでくださいね。

俺は友利豊。


桃花高校に入学して、そして演劇部に入部して1か月ほどたった。


気が付けば5月だ。


俺は、一つ上の先輩の板谷翔先輩を尊敬している。

劇で主役を張る板谷先輩の演技は実にうまい。

俺も、中学3年間やってきたけど、演劇歴1年の板谷先輩には敵わないと思う。

芝居が始まったあとの、役に入りきった姿は相当の練習の積み重ねから来てると思うし、そして、芝居が好きでたまらない雰囲気が伝わってくる。

少しでも、芝居を良くしようとする前向きな思考もすごく参考になる。


だから、毎朝先輩と一緒に登校して演劇の話をいっぱいしようと考え、毎日同じ電車に乗るようにした。


でも、二人きりで話ができるのは、電車を待っている5分から10分の間だけだ。

電車に乗ると、先輩は同じ演劇部の小出先輩、女子校の柏原先輩、そしてその彼氏である生徒会役員の菅原先輩と一緒になり、話こんでしまう。

ちょっと残念だ。

まあ、菅原先輩も演劇オタクなので、4人の演劇に関する話は参考になるのからそれはそれでいいかもしれない・・・。

でも問題がある。

その場に、もう一人いるんだ・・・。

話がしずらい女子校の生徒がいる。


誰かというと・・・

元西中演劇部の部長で、気が強い、新川梨亜だ。

4人の先輩が話し込むので、俺と新川が放置される場面があって、仕方なく話をするんだけど、冷たい感じなんだよなー。

美人だけど、どうもとっつきにくい。


そういえば、中学の時に、俺が女の子にひどいことをしてたんじゃないか?という疑惑は晴れて、少しは対応が良くなったと思ったら、ある事件があって、そこからまた冷たくあしらわれるようになったんだ。


事件というのは、朝、先輩や新川と電車に乗っていたら、他校の女子生徒2名が俺に近づいて手紙を渡してきたという事件だ。

まあ、ラブレターというほどではなく、「友達になってください。電話番号とIDを書いておきます。」程度のことが書かれたものだった。

「すごいな友利。モテるな。まだ4月なのに。」と菅原先輩。

「いや、そんな事ないです。あの子たち、中学一緒で、別のクラスだった子です。」

「言い訳になってないぞ。結局は好かれているってことだろ?」と板谷先輩。

「二人とも可愛かったね。」と小出先輩。

「へー、連絡するの?」と柏原先輩。


先輩たちは笑いながら俺をからかう。

照れてたら、横から、冷たい声が聞こえてきた。


「ふーん、友利君てやっぱモテるんだ。ひどい事はしてないみたいだけど、チャラチャラしてるのかな?

とりあえず、今の子たちとお友達になって、遊ぶの?」

軽蔑するような言い方だ。


「いや、チャラチャラなんてしてないぞ。俺は、演劇一筋だから、女の子と遊んでる暇なんかない。」


「へーっ、どうだか?女の子に言い寄られて、鼻の下伸ばしてるんじゃないの?」


「おい、そこまで言うと、侮辱だぞ。」


「侮辱なんかしてない。男の子って、女の子の誘惑に弱いに決まってるって思ってるだけだよ。」


「それは、偏見だ。」


「まあまあ。そんな争わなくても。」と板谷先輩。

「まあ、女の子にモテるっていいじゃないか?」と菅原先輩。

「友利君、彼女がいないって情報出回ってるんじゃない?だから狙われてるんだよ。

板谷君なんか、通学で一緒になる子は葵が彼女と思われてるから、言い寄ってくる女の子いないよ。」と柏原先輩。

「由奈、変な事言わないで!もう。

ねえ、新川さん、同じ1年生で、それぞれの学校を引っ張っていく人材なんだから、仲良くして。

私、二人に仲良くしてほしいんだ。」と小出先輩。


新川は小出先輩に弱いみたいだ。


ちょっと元気をなくした新川は、「ごめん、友利君。言い過ぎた。」と謝った。

俺は、「おお、わかればいいよ。」と返す。


でも、その後も何かと冷たい応対が多い。こいつ、本当に扱いづらい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


新川梨亜です。

うー、また、今朝も、友利君に冷たい態度とっちゃった。

自分でもまずいと思ってるんだけど、優しくできないんだよね。

だって、友利君、いろんなところで、女の子に声をかけられるんだもん。

しかも、いい笑顔で応じるし・・・

モテるのは本人の責任じゃないだろうけど、何か頭にくる。

何でモテるの?

確かにかっこいいけど・・・


この間、4月の男子校と女子校の連絡会で会ったとき、


「友利君って、実は女の子に優しいっていうことはわかった。

それで、けっこうモテるそうね。

でも、うちの部の女子には色目使わないでね。

私の仲間があなたに惚れて骨抜きになったら部として損失だから。」

なんてむちゃくちゃなことを言っちゃった。

私、何て言う事言うんだろう?

自分でも落ち込んちじゃう。


本当は仲良くしたいのに。

中学の時、敵視してたから、その流れが消せないんだよね。

それに、先輩は別として、男の子とはうまく話せないんだ。

なぜか、男の子と仲良くできない性格になっちゃった。

いつからだろう?不思議。

何とかしなきゃなー。

小出先輩の希望どおりに、仲良くできるようにしなきゃ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


葵です。

きょうは昼休み、部室で板谷君と二人で食事をしています。


尾崎君も一緒に食べる予定だったんですけど、急用が入って、二人きりで食べてます。


「友利と新川、お似合いなのに、すぐ、喧嘩しちゃうな。

特に、新川は友利に惚れてるはずなのに、素直じゃない。」


「板谷君、新川さんのことわかるんだ。

私も、そう思った。

あの冷たい仕打ちは、友利君が好きすぎることの裏返しだよね。

他の女の子と仲良くしてほしくないっていう・・・。」


「ははは、新川さん、見た目は大人っぽいのに、中身は子供だな。」


「そうね。あの二人は仲良くなるまで、ちょっと時間がかかるかも。

でも、夏の合宿とかで、一緒にお芝居の練習とかすれば、一挙に仲良くなる可能性あるよ。」


「おお、それは思った。あいつら演劇バカだから、共通するものを見つけたら素直になるかも。」


「二人をくっつけちゃいたいね。男子校・女子校の発展のためにも。」


「そうだな。くっつけちゃおうか?俺たちの力で。」


私たちは、二人の後輩の恋の行方が気になってしかたありません。


自分たちの恋を棚上げにしている反動かもしれません。

素直じゃないツンデレ女子、梨亜は好きなキャラです。

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