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12 女子高へ

柏原由奈です。


インターホンを押すと、葵のお母さんが出てきた。


「今日はよろしくね。初登校だから、いっしょに行ってもらえて助かる。

ありがとう。」


「いや、どういたしまして。

幼馴染みですし、困ってるならお助けします。」


「ふふふ、由奈ちゃんがいて良かった。

葵、由奈ちゃん来てるわよ。

速くしなさい。」


「はーい!ちょっと待って。」


えっ、何、今の可愛い声?

私の知ってる葵の声じゃない。


「ふふふ、驚いたでしょ?声を女の子にしてるの。

そうじゃないとおかしいから。」


「はっ?」

私は混乱した。


そして、出てきた葵の姿を見て、また混乱する。


「葵?」


出てきた葵の姿は、あまりにも普通の女子高生だった。

髪型、制服の着こなし、どちらも自然。

まだ新しい制服に慣れてない私と違って

可愛く着こなしてる。


「ごめん、お待たせしました。

今日はよろしくお願いします。」


最寄りの駅に向かう時にも驚きはあった。


やや内股で歩いてる!

信号が変わりそうで小走りする時

女の子っぽい!

そして声と話し方だ。

ややアニメの声優っぽいけど

女の子の声としておかしくない。

それから‥


「あのさ、中学卒業して、そんなに時間たってないけど、髪の毛の印象随分違う気がする。なんか可愛くなった。ずるい!」


そうだ。葵は男子としては

長めでおかっぱ頭だったけど、

くせ毛だったし、女の子風ではなかった。

今のヘアスタイルは髪の毛がまっすぐで

ツヤがある。それに全体的に急激に長くなった気がする。

前髪の端っこの部分を前に垂らし、サイドの髪を耳に引っ掛けて、アイドル風にしたアレンジも素敵。



「ああ、これ?

美容室で縮毛矯正して、そのあと整えてもらったの。あとアレンジはお姉ちゃんの

アイディア。」


「なるほど!

すごい!」

私は感心してしまった。


一緒に歩くのは全然恥ずかしくない。

どちらかというと嬉しい。

私自身が可愛くなれる材料を

手に入れることができそう。


「ねえ、葵。毎日一緒に学校に行こう!

男子校に戻っても、ずーっとそのかっこするんでしょ?

なら男子校に戻った後も一緒に行こうよ。

学校のある駅まで。

同じ駅の近くに男子校、女子校が

あるんだから、いいでしょ?」


「うん、いいよ。」


私は、葵が学ぶ女子力を、

一緒に学ぼうと思った。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



葵です。


初めての制服での通学、ドキドキでした。

知ってる人に気づかれないか常に不安だったし、やはり制服のスカートをミニ丈に

してたので、予想通りスースーして、違和感半端ない。

見せパンを履いてたけど、それでも、涼しいし、恥ずかしい。

まるで、下半身裸みたいな感覚。

女の子ってすごい。

幼馴染みの由奈が一緒だったので、いろいろと心強くて助かります。


由奈には女子校の職員室まで連れていってもらいました。


迎えてくれたのは演劇部の顧問で、私がお世話になるクラスの担任でもある福島雅(ふくしまみやび)先生。


「いらっしゃい!

わーっ!可愛い!

普通に女の子じゃない。

秋葉がスカウトしたくなるのわかる!

私、秋葉あきはと、あ、山野先生のことだけど、

大学の演劇部で一緒だったの。

だから仲いいんだよ。

私は役者じゃなくて、脚本つくりの手伝いとか

舞台監督とかやってたんだけど

秋葉は主演女優やってたんだよ。


これから3週間よろしくね!

じゃあ、教室には柏原さん、

案内して。」


どうやら、由奈は同じクラスみたい。


うわぁ、福島先生も美人だあ!

山野先生と同じで背が高くてすらっと

してる!

山野先生と同じくセクシー系?

でも、話し方は癒し系かも。

おっとりしてる。

怖くなくてよかった!


教室に入ると、すぐ女の子たちに囲まれました。

そして、質問攻めです。


「えーっ?本当の女の子みたい?髪の毛、すごく女の子っぽい。美容院でカットしてるの?」


「スカート巻き上げてるでしょ?ミニ丈可愛い?自分で覚えたの?」


「下着も女もの?ブラもしてるの?」


「もしかして、性同一性障害?男の子、好きなの?」


まるで、動物園のパンダ状態です。


「あのーっ、一つ一つ答えますね。

えーっと、今日からお世話になる小出葵です。

よろしくお願いします。」


「きゃーっ、声可愛い!」

「アニメ声だー!」

「作ってるの?」


また賑やかになります。

まあ、覚悟してたので、動揺せずに、質問に答えていくしかありません、

仕方ありません。


そして、担任の福島先生がやってきてホームルームが始まります。


「みなさん、もうお話した人もいるでしょうけど、今日から、男子校の小出葵さんが

来ています。3週間だけですけど、皆さんと過ごします。

仲良くしてあげてくださいね。

更衣室、トイレは職員用を使っていただきます。

一応男子ですから。


小出さんは、女の子らしさを学びに来てるので、みなさん、女の子っぽくね。

あ、でも自然の方がいいかな。

妙に女の子っぽくするのも変ね。」


福島先生はおっとりしていて、ホントに癒されます。


クラスの雰囲気もそんなに悪くなさそう。何とか過ごせそうかな?


その後の授業は問題ありませんでした。

さすが、兄妹校です。

教科書は全く同じだし、授業のカリキュラムというか進捗もまったく一緒。

男子校内で、クラスが変わったくらいの印象です。


それにしても、女の子だらけというのはすごいです。


まず、うるさい。


そして、おしゃべりがすごい。

地味で、おとなしい子もいますけど。


あと、匂いもいろいろあります。

ロングヘアの子が多いせいか、シャンプー系の香りが多いけど、

それ以外にも男子校とは違う匂いを感じます。。

制汗スプレー?まあ、いろいろです。

これらの匂いがいい匂いかどうかは表現しずらいかな?

嫌いな人もいるかも。

人によって感じ方はいろいろでしょうね。


まあ、予想していましたが、私みたいにアニメ声でしゃべる女の子はいません。


低い声で話していても、女の子の声というのはわかります。

声の質が違うんです。

高い声で話せば、女の子っぽくなるわけじゃないんです。

このへん、研究しなくっちゃ。


そうだ、女の子たちがおしゃべりしてたり、ふざけていたり、怒っていたりする

その自然な姿の中に、いろいろヒントがありそう。

なにげない世間話、噂話、興味をもつもの等、いろいろ観察しよう。


お昼になると、由奈と由奈が仲良くしている女の子数人と一緒にお弁当を食べました。

一人の女の子から質問がきました。

「そんなに可愛いと、男子校でモテそう。

なんか、男の子同志の恋愛がすごく発展しそう。ふふふ。

ねえ、ねえ、まだ入学したばかりだけど、気になる男子いる?」


「ええっ?さっきも答えたけど、私、中身はふつうの男子なんですけど。」


「本当?それじゃつまんない。男の子好きになりなよ。」


由奈が助け船を出してくれます。


「男子校で、男の子同志の恋が多いって幻想かもよ。もう腐女子なんだから。

ごめんね、葵。腐女子多いの。」


ははは、腐ってたんですか?


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