116 親友が欲しい三島彩花
運動部で、規律を保とうとするリーダーは決して仲良しクラブを良しとしません。
人に嫌われることも多いと思います。
そんな三島さんの気持ちを考えてみました。
私は三島彩花。
高校2年生です。
自分で言うのは恥ずかしいけど水泳部のエースだと思ってます。
次期部長と言われてますし。
そして、同じ高校に庄司博人君という彼氏がいます。
中学からの付き合いで、一緒にいてすごく楽しい。幸せです。
趣味は女性アイドル。
私は美人って言われることもありますが、男っぽくてガッチリしてるとも言われます。
だって水泳部のエースですよ。
勝つために小学校の時から身体を鍛えてたら、そんな身体つきになっちゃってます。
別に太ってはいないし、筋肉ムキムキではありませんが、肩幅とか二の腕が水泳アスリート体型で、可愛いらしくありません。
だから、肩幅の細い華奢なアイドルに憧れちゃいます。
可愛いアイドルを観ると部活で疲れててもすごく元気回復できるんです。
まあここまで話すと充実していると思われるんでしょうが、実は悩みがあります。
女の子の親友がいないんです。
そりゃ、クラスで仲のいい子はいますが、親友というほどではありません。
放課後は私は部活に夢中ですし、休日に空いた時間ができれば、会うのは彼氏の庄司君になります。
クラスの友達との接点は教室にいる時だけですから必要以上に仲が深まりません。
ちょっと寂しい。
なら部活は?ということになりますが、部活では私は憎まれ役なんです。
私の同学年の女子部員は、油断すると楽しようという流れに乗りがちなので、試合に勝てるように厳しく当たってしまう私。
結果的にはみんなきちんと練習して試合で好成績を残せたりするんですけど、私は好かれません。
親友と呼べる友だち欲しいなあって思ってたら、素敵な女の子を見つけました。
中学の時の仲間で、彼氏の庄司君と仲がいい板谷君の彼女?、小出葵ちゃんです。
本当は彼女かどうかわからないけど、たぶん両想いだと思う。
二人ともまじめで、部活に夢中だから、恋をしないようにしてる感じ?
中学の時にかっこいいからモテまくってた板谷君がついに年貢を納める時かな?
お似合いだから、絶対応援しよう!
それで、そのついでと言っちゃなんだけど、葵ちゃんと仲良くなりたい。
だって、私の好みの女の子なんだもん。
私より小柄で華奢で、すごく女の子っぽい。ほんとに可愛い。
抱きしめたくなるタイプ。性格もよさそう。
連絡先交換したけど、なかなかスケジュールが合わなくて、会えなかったのはすごく残念だった。
でも、ついに、ついに、ついに、明日会えます!
私の家に呼んじゃった。
その方がじっくり話せるし。
明日は家にいるのは私だけど、お料理得意だから、パスタでもごちそうしよう!
うーん、楽しみ。
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葵です。
どういうわけだか、板谷君の中学の時の友達の女の子、三島さんに好かれちゃったみたいで、明日はいきなりご自宅に呼ばれちゃいました。
三島さんは水泳部のエースってことで、美人だけど、いかにもアスリートって感じでかっこいい女の子。
背も私より7センチくらい高いし、がっちりした感じ?
どうしよう?私のこと普通の女の子って信じてる!お邪魔した時にカミングアウトしなきゃ!
板谷君の友達だから、そのうちバレるしね。
うーん、ドキドキする。
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ピンポーン。
「あ、葵ちゃん、いらっしゃい。今開けるからね。」
三島彩花の自宅に来た葵は、すごく緊張していた。
他校の友人でしかも女の子。
自分のことを本物の女の子と信じている彩花に正体をかくしたまま、呼ばれて自宅に来てしまった。
どうしよう?と思いつつも、何とか機会をみつけて、カミングアウトしようと決めている。
ガチャっ。
「いらっしゃい。ここにたどり着くまで迷わなかった?
スマホ見ながらでも、けっこうこの辺入り組んでるから、わかりにくいかな?って心配してたんだ。
お料理に夢中になって、迎えに行く時間なくなっちゃってごめん!」
彩花は休日のお昼に、葵を呼んだのだった。
自分の手料理を食べてほしいという申し出をしていた。
ただ、予想以上に段取りに時間がかかってしまい、最寄りの駅まで迎えに行けなくなってしまった。
それで、スマホを頼りに来てほしいと葵に連絡してたのだった。
「ううん、全然迷わなかった。
私、方向感覚が人より優れているみたい。
一発でここまできたよ。
今日はごちそうになります。
手料理楽しみ。
あ、ケーキ買って来たから、デザートばっちりだよ。」
「わーっ、ありがとう。駅前の美味しいお店のケーキだ。嬉しいっ。」
彩花は、家に上がった葵を抱きしめる。
もう何年かも親友であるように、抱きしめた。
葵が可愛くて仕方がないと言った感じである。
「うふふ、葵って、私より小柄で華奢だから、抱きしめやすい!
本当に女の子っぽいよね。
私みたいにがっちり体型だと、葵ちゃんみたいな体型は羨ましいよ。」
「ええっ、そんなことないよ。
私、胸ちっちゃいけど、彩花さんって、胸大きいもん。すごい迫力。」
そう、彩花は胸が大きかった。Bカップの葵に比べて、はるかに大きいEカップ。
胸の大きさだけなら、女子力は彩花が全然勝ちだ。
「私のこと、彩花って呼び捨てにして。さん付け禁止ね。
私、葵と仲良くなりたいんだもん。」
「わかった。じゃ、彩花、よろしくね。」
「うん、それでよろしい。ふふふ。」
「ははは。」
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彩花です。
食事を終えて、今は、私の部屋で葵といっしょに中学時代のアルバムや写真を二人で見てます。
「この写真、庄司君だ。もうこの時に付き合ってたの?」
「この時は、まだ付き合ってない。まだ2年生だもん。私たち付き合ったのは部活を引退した中3から。
この時はまだ、喧嘩友達かな?」
「そうなの?喧嘩してたんだ。」
「まあ、お互いをからかう感じだったかな?小学校も一緒だし、昔からの知り合いで、言いたいことを言い合う関係だった。だから、お互いに思春期になって、妙に意識し合って、恋愛に発展した感じ?」
「うーん、素敵。うらやましいっ!」
「そーお?そういえば、葵はどんな中学生時代だったの?
彼氏とかいたの?」
「ええっ、それはちょっと・・・」
「言いたくなければ、いいよ。でも、今はどうなのかな?
板谷君といい感じじゃない。
私の勘では、板谷君も、絶対葵のこと好きだよ。
少なくともかなり意識してる。
中学時代、モテまくりで、女の子を振りまくった板谷君をあんな風にさせちゃうなんて、さすがだよ。
葵って、すごく可愛いって証拠だよ。」
「そうなの?板谷君ってそんなにモテたの?」
「うん、ものすごく。私の友達数人、告白して撃沈しているよ。」
「そうなんだ!もしかして・・・板谷君って、面食いなの?」
「そりゃ、ある程度はそうかもしれないけど、たぶん、自分が惚れた女の子じゃないと受け入れない感じかな?何かに夢中になっている女の子が好きみたい。
葵は、演劇に夢中になってるんでしょ?
そこが自分に似てて、気に入ってるんじゃないかな?」
「そう・・・」
「どうしたの?」
「あのさ・・・実は今まで話してないことカミングアウトするね。」
「えっ、何?」
アスリート体型の女子って、けっこうがっちりしてますよね。
そういう女子って、華奢な女の子を可愛いって思うかもしれません。




