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114 翔に憧れる新入生

新川さんに続いて、今度はイケメンの後輩登場です。どうも新川さんとは顔見知りのようです。

「板谷先輩、中学の時に高校のブロック大会観に行きました。

先輩の演技に憧れてます。

俺も、先輩が引退した後、主役になれるよう頑張ります。」


板谷翔です。


新入生の中で、やたらと力が入っているヤツがいる。

ウチの学校が全国大会に出場が決まったところを見に来てるという筋金入りの演劇バカだ。

背は、俺とほぼ同じで、長身。けっこうイケメンだ。

中学の演劇部の時は部長を務め、県大会で準優勝した実績を持っている。

主役も務めていたらしい。


「俺、朝日中学ってところの出身なんですけど、決勝で西中に負けちゃったんですよね。

西中って、新川梨亜って気の強い女が部長やってて、負けたくなかったんですけど、ほんのわずかの差で負けちゃいました。

高校では負けたくないんです。」


「そうなんだ。で、新川さんって、どこの高校行ったの?」


「うーん、わからないです。別に親しかったわけではなくて、たまに大会で会うと、お互いに部長で、

ウチはオタクに負けないよ!と言い合うような会話をしてただけですから。」


「もしかしたら、新川さんの事好きだったりするのか?」


「そんなことはありません。ただのライバルです。

ここは男子校だから、彼女は絶対いないので選びました。

彼女と違う高校にはいって、また勝負したいと思ってたんです。」


「おもしろいな。性別の違うライバルか。きっとどこかの有力校にはいってるんだろうな?」


「ええ、間違いなく。

大会になれば会えるって信じています。

ところで、板谷先輩、いつもC駅から電車に乗ってますよね。この間おみかけしました。」


「おお、そうだけど、もしかして友利もそうか?」


「そうなんです。先輩に声をかけずらかったんで、声をかけませんでした。」


「水臭いな。声くらいかけろよ。

明日は、声かけてくれ。

そうだ、明日から、俺、一本早い電車に乗ることにしたんだ。

親の都合で朝食の時間が早まってさ、合わせることにした。」


「じゃ、僕も一本早い電車に乗ります。

先輩には電車の中で、演劇について教わりたいんです。」


「中学の時に活躍してたんだろ?俺のほうがキャリア浅いぞ。」


「でも、全国大会出場を決めた板谷先輩たちには全然敵いません。

それに、僕のキャリアは中学のもので、レベルが違います。」


「そっかな?まあ、いいや。もし一緒の電車に乗るんだったら、俺が知ってる話はするよ。」


「お願いします。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



友利豊です。

桃花高校の1年生です。

今日は尊敬している板谷先輩と登校だ。


板谷先輩は高校から演劇を始めたのに、すごく演技がうまい。

正直言って、全国大会出場を決めたときのブロック大会での演技はすさまじかった。

会場の注目を一身に集めてた。

もちろん、女形の小出さんの演技も素晴らしかったけど、俺は普通の男性の板谷先輩の演技に参ってしまった。

高校では、板谷先輩となるべく仲良くして、演技のコツを学びたい。

先輩は学校にいる時や部活では、同じ2年生と仲良くしてるから、話をゆっくりできるのは朝の通学時だけだ。幸いにして、同じ駅からの登校だから、毎日同じ電車に乗ればいいんだ。

うん、ラッキー。


そして、話をしながら、一緒に電車に乗ったら・・・


「お、小出と柏原さんがいる。」

先輩は車両の奥にスタスタと入っていく。

僕も、後を付いていく。

小出先輩は知ってるけど、柏原さん?って誰?


「お、柏原さん、小出、おはよう。お、新入生と一緒か?」


「女子高の演劇部の新入生です。よろしくお願いします。」


「俺、板谷翔、よろしくね。実は俺も新入生連れて来てる。

おい、前に出て来いよ、友利。」


「はい。」


僕は名前を呼ばれたので、前に出る。

その瞬間、目の前に知っている顔があった。

その知り合いは叫ぶ。

「あーっ!朝日中学の友利部長だ!」


驚いた僕も叫ぶ。

「ええっ!西中の新川部長?女子校に入ったんだ!」


「お、友利、この子が新川さんか?きれいな子だな。友利が意識するのがわかるよ。

新川さん、噂はうかがってます。県大会優勝したんですってね。部長で主役で大活躍したそうですね。」


「え?ちょっとー。友利君、何で私のことしゃべるの?何か、余計なこと言ってない?」


「事実しか話してないよ。ウチの中学は新川の中学に負けたからな。その経過を話したまで。」


「私の悪口言ってるんじゃないの?

気の強い女だとか、パワハラ部長とか?」


「そんなこと言ってないよ。あ、気が強いって言ったかな・・・」


「言ってるじゃない。ひどい。訂正してよ!

友利君だって、言い寄ってくる後輩の女の子とちょっとだけ付き合って次々捨ててるっていう噂があるよ。モテるけど、冷たいんじゃないの?モテるからって、何してもいいっていうもんじゃないよ。」


「そんな噂あるのか?やめてくれ!

大体、僕は女の子と付き合ったことないよ。捨てるなんてとんでもない。」


「まあまあ、新川さんも、友利も落ち着いて。

新川さん、友利は大会で負けた話をしただけですよ。

新川さんがどういう人だなんて、何も言ってないです。」


「・・・すみません。ちょっと興奮しました。

中学の時から、会えば、こんな感じで言い争いしちゃうんです。

相性が悪いんでしょうね。」


「ぶっ!」

僕が知らない女子校の先輩が吹き出した。

この女性の先輩が柏原さん?

「面白かった。新川さん、良いキャラしてるよ。そういう激しい性格嫌いじゃないよ。

さっきまで、お利口さんって感じで、なんか物足りなかったけど、気が強いことわかった。

そうだよね。県大会で優秀する中学の部長だったら、気が強くなきゃ務まらないもんね。

それから、友利君、高校ではまた新川さんと競争できるじゃない。

いいライバルになるんじゃない?

あなたたちけっこう相性いいと思うよ。」


「そんなことないです!」僕と新川は同時に叫んだ。


「まあまあ。仲良くしようよ。ね。」

おっとりとした小出先輩が僕たちに話かけてきた。

この先輩は、本当に女性にしか見えない。かつ癒し系だ。

まだ、あれが付いているっていうのが信じられないくらい可愛らしい。

噂だと板谷先輩と両想いっていう話だけど、応援したくなるなあ。

二人を見てると同性愛って感じは全くしない。普通の美男美女だよ。



「新川さん、友利君、男子校と女子校はライバルであり、仲間なんだよ。

だから、二人とも仲良くしてね。

新川さん、私と仲良くしたいんでしょ?だったら、友利君と仲良くして。

友利君は私の大切な後輩なんだから。」


「えっ?そうですね・・・

ううっ・・・

友利君、中学の時、後輩の女の子にひどい事してないんだよね?」


「うん、もちろん。そんなことはしない。」


「・・・先輩方、わかりました。私、友利君と仲良くするようにします。」


「僕も・・・新川・・・さんと仲良くするようにします・・・。」

この状況ではそう答えるしかないと僕は思った。

それにしても、新川はどこからそんなデマを仕入れたんだ。ひどいな。


「よし、これで、男子校・女子校の1年生同士のコネクションもできたな。

今後の男子校、女子校の連携係は二人に任せるか?

どうだ、小出、柏原さん?」


「うん、いいと思う。」

「ふふふ、大賛成。この二人面白いし!」


ああ、とんでもないことになった。このキツイ女と仕事をするのか?

参ったなー。


新川さんと友利君の関係はどうなるのでしょうか?何だかんだいって、美男美女の二人ですけど・・・


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