113 葵のファン
新川梨亜ちゃんの事情を説明する回です。葵と仲良くなるためにいろいろ考えています。
ちょっと百合っぽい気持ちがある女の子かな?
私は新川梨亜。桃花女子高校に入学したばかりです。
実は私が何で、女子校に入学したかというと、あまり男子が好きではないんです。
女子が好き!
それも、いかにも女の子っていう感じの可愛らしい女の子が好きです。
ええっ?それって同性愛者?百合?
って思われそうですけど、そうではありません。
もちろん、将来は男性と恋愛して男性と結婚したいと思っていますが、青春時代は可愛い女の子とじゃれ合いながら過ごしたいなって考えてるんです。
そんな私は、中学生時代、演劇部にすべてをかけました。
そして、私が主役を張った劇は何と県大会で優勝したんです!
すごく満足しました。
やりたいことをすべてやって、結果が出るって実に素敵です。
でも、中学での記憶は演劇と勉強の2つしかありません。
クラスメイトとどこかに遊びに行ったりしたこともなく、ストイックに過ごしました。
だから、私は高校では演劇以外のことをやろうかな?って思ってたんですが、友人に誘われて行った高校の演劇部の県大会の記憶が頭にこびりついて離れず、ずっと悩んでしまいます。
県大会での男子校の「姫」の演技がすごく気に入ったんです。
あんな風に演技したい!そして、あの女性にしか見えない「姫」と仲良くなりたい。
そんな気持ちが心に芽生え、演劇をやめるかどうかという気持ちに決着がつかなかったんです。
そして、私は桃花女子高校を受験します。桃花を選んだのは先ほど説明したように、女子だけの学校に行きたかったということと、系列の男子校との連携があると聞いたからです。
女子校の演劇部に入部すれば「姫」に会えるかもしれない・・・そう思ってたんですね。
まあ、演劇部への入部については悩みつつも。
そして入学後・・・
演劇部の新入生歓迎公演を覗いてみたら・・・
何と男子校の「姫」である小出葵さんがゲスト出演してました!
観てる新入生は、私以外みんな、女子校の生徒と認識していたと思います。
でも、私にはわかったんです。
「男子校の姫」、小出さんが女子校の劇にゲスト出演している!
やったー!と喜んでしまいました。
観客の新入生はみんな藤原先輩の「王子」の演技に夢中でしたが、私は小出さんに注目です。
演技は私の期待したとおりでした。
私は演劇部に入部することを決意します。
気持ちが高揚してしまったんです!
公演後に開かれた入部説明会に行くと、小出さんがそこにもいました。
ラッキー!
やっぱり、私より小柄だ。
可愛くて抱きしめたくなっちゃう。
え?「姫」は苦手な男性じゃないのかって?
女装しているけど、本来の性別は男性だろう?って?
確かにそうですが小出さんは特別です。
普通の女の子より女の子っぽくって可愛いんですから!
私は早速声をかけることにしました。
「あのー、今日の公演でヒロイン役やってた方ですよね。」
「え?・・・はいっ。」
「演技素晴らしかったです。ちょっと感動しちゃいました。
それに・・・」
「それに?」
「こうやって、目の前でみるとすごくきれいで可愛い方なんですね。
憧れちゃいます。
私の目標になりました。」
小出さんは目を白黒させて、驚いていました。
そりゃそうですよね。
いきなり新入生に声をかけられたら、戸惑うと思うもん。
でも、何とか仲良くなれそう。
そのあと、3年生の先輩から、仲良くなるための方法教えてもらっちゃったし。
王子の藤原先輩と、それから柏原先輩と仲いいんだ!
その二人のどちらかを通じて接触できそう。
それから、重要な事実を教えてもらっちゃった。
性転換目指してて、ホルモン治療で体を変身させてるんだ!
ということは、おっぱいもお尻も天然なんだ。
うん、女の子と同じ。
いよいよ私にとって、素敵な先輩になる。
正直言うと男子という事実はちょっと気にしてました。
本物の女性だったらいいのにって思ってた。
だけど、これでばっちり。限りなく本物の女の子に近くなっていく!
やったー。
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入部して数日後、私は柏原先輩に声を掛けます。
藤原先輩ではなく柏原先輩に声をかけたのは、柏原先輩が毎日朝、小出さんと一緒に登校しているって聞いたからです。
柏原先輩は私と通学ルートが一緒の部分があります。うまくいけば、毎朝会えるかも!
「先輩、聴きましたよ。先輩の彼氏ってかっこいいんですってね!」
私は、柏原先輩の彼が男子校にいることを調査済みです。
他の先輩から情報を入手しました。
彼氏の話をすると、すごく嬉しそうになると聴いたんです。
「ええっ?もうそんなこと知ってるの?
やだーっ。
恥ずかしいじゃない!」
といいながら、私の体を軽くたたいて嬉しそうな表情になる先輩。
この人、すごくわかりやすい。
私は小出さんの話はしないでまず柏原先輩と徹底的に仲良くすることにします。将を射んと欲すれば先ず馬を射よではないですが、段階を踏むことが大切です。
「馴れ初めを教えてくださいよ。
興味あります。」
「ええっ?
彼氏ほしいの?
そんなきれいな顔してたら、何もしなくても男の子が寄ってくるでしょ?
すっごくモテそう。」
「イヤ、とんでもないです。
私、柏原先輩みたいに、明るくないから、冷たい女って言われるんですよ。
全然モテないです。」
「そうなの?
確かに、クールビューティって感じもするかな?
じゃあ、馴れ初め教えてあげる。
実は、男子校の『姫』っていうのがいてさ、その子にアシストしてもらったんだ。
「姫」知ってる?」
「知ってます。先日の入部説明会にもいらっしゃってましたから。」
「そういえば、ウチの新歓に出演したもんね。そっか、誰かに葵のこと教わったのかな?
そう、その男子校の『姫』こと小出葵が私に協力してくれたの。
持つべきものは友達だよ。
うん、人のつながりが幸せを呼び込んでくるんだ。」
私が、うなずいて、一生懸命聴いていると、柏原先輩は気持ちよさそうに、いろいろ教えてくれます。
「姫」の話から、男子校の演劇部の話、彼氏の話、東京に演劇を見に行った話など、尽きることはありません。
おしゃべりが好きなタイプで、いくらでも話し続けていられるタイプ。
そして、私は人の話をずっと聴くことができるタイプ。うまくコミュニケーションが成立した感じです。
「あの、先輩って、いつも通学の時、A駅から電車に乗りますよね?私は同じ路線の隣のB駅から乗って通学してるんです。朝、一緒に通ってもいいですか?先輩に演劇の話や男子校の話聴きたいんです。」
「そう?じゃ、〇時〇分にA駅出発の電車の前から2両目の一番進行方向側のドアから入りなよ。私と葵って、いつもその辺に乗ってるから。」
「はい、乗ります。よろしくお願いします。」
作戦成功。これで、小出さんと毎日会える!
でも、柏原先輩もいい人だし、演劇に詳しい。いろいろ勉強できそう!
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葵です。
4月のある日、いつもと同じように、由奈と一緒に電車に乗ったら、次の駅で意外な人物が乗ってきました。
「おはようございます。柏原先輩、小出先輩。これからよろしくお願いします。」
何と、女子校で新入生相手の入部説明会で私に直接話しかけてきた子だ。
すごききれいな子だし、馴れ馴れしかったからよく覚えてる。
もう、入部して数日経っているから、私の正体はみんなから教わってるよね。
どう対応しようかな?
「おっ、新川さん、有言実行だね。うん、毎日一緒に学校行こうよ。
葵とは、入部説明会の時に会ってるんだよね?
葵とも仲良くしてね。」
「はい、もちろん。ぜひ、仲良くしてください。」
「あ、こちらこそよろしく。えっと、由奈と仲良くなったんだ。」
「はい、彼氏の話や、馴れ初めの話も教えてもらいました。」
「やだー。恥ずかしいから、あまり言わないで。」
由奈は嬉しそうな顔です。
この新川さんていう子、由奈のツボを押さえちゃってる。
恐ろしいなあ。悪い子じゃなさそうだけど。
「小出先輩の恋愛の話も聴かせてください。」
「私は、そう言うのないんだ。
何も話すことないから、ごめんね。」
「葵、公式にはそうだけど、みんなはそう思ってないよ。
ほら、噂をしてたら、板谷君が乗ってきた。
板谷君、いつも私たちより1本遅い電車なのに、きょうは私たちと同じ電車だ。」
「あ、本当にいる。珍しい。」
「え?板谷さんていう方が噂の人なんですね。
へえーっ、あの、こっちに向かって手を振ってる背の高い人ですね。
かっこいい人じゃないですか?」
「もう、由奈ったら、新川さんが誤解するじゃない。板谷君にも迷惑かかっちゃう。
困ったなー。」
板谷君は新入生と一緒でした。制服が新しいからわかります。
板谷君は新入生を後ろにして、こちらに近づいてきました。
「お、柏原さん、小出、おはよう。お、新入生と一緒か?」
「女子高の演劇部の新入生です。新川梨亜っていいます。よろしくお願いします。」
「俺、板谷翔、よろしくね。
実は俺も新入生連れて来てる。
おい、前に出て来いよ、友利。」
「はい。」
友利と呼ばれた新入生が前に出てきた瞬間、
新川さんが叫びます。
「あーっ!朝日中学の友利部長だ!」
友利君も叫びました。
「ええっ!西中の新川部長?女子校に入ったんだ!」
通学の時に仲のいい仲間と会えると気分があがりますよね!
朝日中の友利部長って?
それにしても、由奈ちゃん、いいように利用されています。菅原君が好きでたまらない感じですね。




