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105 いろいろと忙しい

1月、のんびりしてたら、2月はめちゃくちゃ忙しくなりました。


まず、バイトの開始。

そして、バレンタインデーの準備、

その後は女子高での1週間の研修、

卒業生送別会の準備、新入生歓迎劇の準備、

と盛りだくさん。

例年と違って、新規役員を決めなくていいのが救い。

全国大会に出場が決まって、2年生は全員全国大会やるまでは、引退しないことになったんです。

一生に一度のことですから、受験勉強の合間に全国大会の練習や準備をすることにしたみたい。

ただ、それ以外の劇についてはすべて現1年生すなわち新2年生に任せるということになりました。役付きにはならないけど、それはそれで忙しいかな。

新2年生の役職については夏休みに決めることになりました。


忙しいのは尾崎君。新入生歓迎会や、そのあとの定期公演、全国大会の後の地区大会でやる劇について全部たたき台を作ることを任されました。

彼は、役者はしないと言っても、相当な負担です。

でも、彼は、「忙しいのは、評価されてるってことだ。うちの部がやる劇を全部プロデュースするって、ワクワクする。一生懸命やるのは来年1年だけだ。後輩を育てて、俺は小出みたいに、3年の初めに引退したい。」と言ってます。

彼には才能があるって先輩や山野先生も言ってるし、やってくれるでしょう。


そうそう、バイト先に遊びに来てくれた板谷君の友達の三島彩花ちゃん、連絡先の交換をした後の夜に連絡が来ました。

私のことをすごく可愛い女の子だって褒めてくれて嬉しくて、本当は男子だってカミングアウトする機会を逃してしまいました。

彩花ちゃん、私と二人でどっかに遊びに行きたいって言ってくれたんだけど、彼女は水泳部の練習と彼氏である庄司君とのデートがあって、あまり時間がありません。私も、4月の新歓の劇まで余裕がない感じです。

結局、4月以降に遊ぼうってことになりました。

ちょっと安心します。

あんまり、自分の正体を明かすっていうのは好きじゃないから。

女の子と思ってくれる人にはそのままでいてほしいなんて思っちゃうんですよね。

わがままだけど。


で、バレンタインデーです。


バレンタインデーはかねてから計画したとおり、クラスの男の子にはちっちゃい手作りチョコを、本格的な手作りチョコは親友の尾崎君と、板谷君にあげることにしました。

ちなみに、祐希は「義理チョコを尾崎君にあげるからね。」と言って手作りチョコを渡すことを本人に予告しました。恋愛しない宣言をしていながらも、気を使っています。

尾崎君、めちゃくちゃ幸せそうな顔になって、「生きていてよかったー。」なんて、大げさなことを言ってます。


チョコづくりについては、20年女の子をやっている姉の柚が先生で、材料の購入段階から一緒に行動してくれました。

実は姉は毎年、手作りチョコを作って、仲のいい女友達と交換しているんです。いわゆる友チョコってやつですね。

姉はすごくモテるんですが、彼氏をつくりません。

「男を作ると、束縛される時間ができるから嫌だ。恋愛は社会人になってからでいい。」なんて、言ってます。自分の時間を自分のために使いたいっていう気持ちが強いみたい。

もったいないなあと思いますが、彼氏がいないからこそ、私にいろいろ付き合ってくれるので、変な意見はできません。

そのうち、恋をしたくなったらするでしょう。


いろいろ準備して、練習して、本番の日を迎えて、ラッピングして、大作業です。

料理が得意な私ですが、お菓子作りは初めてだったので、苦労しました。

姉の指導があってのチョコづくりでした。


そして、当日。


朝、早くから教室にはいって、登校してくるクラスメイト一人一人に、チョコを渡します。


「青木君、いつもお世話になってます。偽物女子だけど、感謝を込めて贈ります。」って感じで、

ちいさなチョコを渡していきます。出席番号順に渡すので、一人目は青木君でした。


「おおっ!ありがとう。毎年、朝から、今日はもらえるかな?ゼロかもしれないって朝からドキドキして憂鬱になるけど、こんな早い時間にもらえるとすごく気分が明るくなる。うれしいよ。」

と、みんな満面の笑顔になります。


私自身がモテない男子だったからこその「朝から配る大作戦」でした。朝、義理チョコでもいいからもらえば、ドキドキする時間、憂鬱になる時間がなくなります。

この作戦は大好評でした。

クラスメイトからみたら、どんなに女っぽくなっても偽物女子の私ですけど、この日ばかりは「女神に見える!」なんて言われちゃいました。

小さなチョコでも手作りというのもウケました。

「俺、手作りチョコもらうの初めてだ。」

涙を流しています。大げさです。

うん、男子という生き物は可愛いものですね。まあ、私がモテない男子だったからこその計画でした。

このクラスでの生活はあと少しだけど、みんなの記憶に残ってくれるといいな。

将来、「ニューハーフからチョコもらったけど、すごく嬉しかった!」なんて、思い出してくれるかも。


本格的なチョコは、部活前に尾崎君と板谷君に渡します。


「えっと、これが、私が作った二人へのチョコで、こっちが祐希がつくった手作りチョコだよ。」


「ありがとう。俺チョコ大好きだし、妹も好きだから、家に帰って二人で食べるよ。」と板谷君。


対して、

「やったー。藤原さんからの手作りチョコだ。これをどんなに待ちわびていたか!よし、すぐに電話しよう!」と有頂天になる尾崎君。「あ、小出もありがとう。さすが親友だな!」と付け足します。

わかりやすい尾崎君です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



板谷翔です。


今年のバレンタインデーは中学時代と違って、落ち着いたものになってよかった。

中学の時は、クラスメイトやほかのクラス、上級生に下級生とけっこうもらっちゃって、

そのお返しに結構苦労したからな。

男子校にはいって、女子がいないから、もらう数が減って当然だ。

結局、もらったのは、女子校演劇部から届けられた義理チョコ、そして、女子校の藤原祐希さんからもらった手作りチョコ、小出がクラス全員に渡した義理チョコ、そして、小出が俺と尾崎に作ってくれた親友チョコってところ。

これなら、お返しも楽だ。

女子演劇部には男子演劇部全員でお金を出し合ってお返しのクッキーを送るから、頭を悩ますのは藤原さん小出だけでいい。そうだ、妹の佳織に協力させて手作りクッキーにでも挑戦するか?ちょっと面白そうだ。


家に帰って、食事のあと妹を呼ぶ俺。


「今年は、男子校だから、こんな感じで、あまりないけど二人で食べよう。」


「お兄ちゃん、今年はゼロかと思ったけど、手作りチョコ二つもあるじゃない!しかも二つとも豪華!

誰から、もらったの?」


「まあ、女子校の女の子だ。義理チョコの一種だよ。いろいろ仕事が一緒になったからな。」


「お兄ちゃんのこと好きなんじゃない?絶対そうだよ。その二人に今度会ってみたい!」


「そんな関係じゃない。それより、お返しのクッキーづくりを協力してくれ。俺もお菓子作りにチャレンジしてみたくって。」


「お兄ちゃん、自分で作るの?それって、誠意には誠意で返したいって感じ?

いよいよ、怪しい。

そのうち、その二人に会わせてね。あ、私も高校受験あるんだから、ちょっとだけしか手伝えないよ。

お母さんに頼んだほうがいいいよ。」


「ううっ、そうだった。受験生だったんだ。

わかった、お袋とネットの力で、何とかするよ。」


「その代わり、高校受かったら、お兄ちゃんに美味しいケーキ作ってあげるから。

楽しみにしてね。」


「おお。」


妹はそんなこと言いながら、美味しそうにチョコを食べていく。


うう、藤原さんは会わせてもいいけど、小出に会わせるのはどうかな?

ちょっと疑問に思う俺だった。

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