102 アルバイトの女子たちは賑やか、男子は遠めに観察?
葵です。
バイト2日目も、ベテランパートの長崎さんに教わりながら、仕事を進めます。
さすがに、少しは学習した私。初日ほどは怒られません。
でも、レストランが混む時間になると、要領の悪さが出てしまい、小言を言われます。
「だめじゃない。さっき言ったでしょ!」
(ううっ、そこまで言わなくても。)
と思いますが、指摘が的確なので、言い返すことなんてとてもできません。
でも、そういう厳しさのおかげで、確実に仕事に慣れていきます。
バイト時間が終わるころには、
「今日は、無駄な動きが減ったね。うん、成長したんじゃんない。
あと、お客様に接するときに自然と笑顔が出てた。
まあ、まだまだだけど、この調子でがんばってくださいね。」
と言われて、ホッとします。
やっぱり悪い人じゃない。
プロ意識が高いだけだ。
今日も、私の性別についてのコメントはなかった。
一人の人間として見ているだけなんだ。
そう思いました。
この日も若いバイトがいない時間の勤務なので、ちょっと寂しかったかな?
同世代がいないと、大人の中に放り込まれたみたいで、緊張しっぱなしになります。
店長が
「長崎さん、厳しいけど、勉強になったでしょ?
長崎さんの指導は絶対に役に立つからね。よかったと思うよ。
最初の内は長崎さんと一緒の時間がいいと思って、わざとシフトをいっしょにしたんだ。
次回は若いバイトが多い日だよ。
楽しみにしてね。」
と言ってくれます。
うーん、他のバイトさん、どんな人なんだろう?
仲良くできるかな?
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次のバイトの日は土曜でした。
朝から、バイトに行くと、厨房に男子大学生のバイトが二人、フロアに女子大生バイト一人、女子高生バイト二人いて、一挙に若返っています。
やっぱり、土日は若いバイト主体になるみたい。
「こんにちは!葵ちゃんね!舞奈から聴いてたし、写真も見せてもらってたから、すぐわかったよ。
本当に女の子にしか見えないね。
きょうから、よろしく。」
女子大生バイトの島村華さん!
細身なのに、おっぱいでかい!わが姉よりすごい!制服きつそう!
すごくフレンドリーでひとまず安心。
さらに、女子高生バイトの倉崎茜さん、斎藤和乃さんからも声をかけられます。二人とも私と同じ高校1年生!倉崎さんは半年くらいバイトしてて、斎藤さんは3カ月くらいだそうです。倉崎さんは、スポーツで有名な私立高校で、斎藤さんは卒業生が一流大学に進学するので有名な県立高校の生徒でした。
二人とも、美人ではないけど、そこそこ可愛くて、よくいそうな元気いっぱいの女子高生。
にぎやかです。
「うそみたいっ、男の子なの?信じられない!!可愛い!!私のこと茜って呼んでね。」
「かわいいっ!友達になりたいっ!私のことは和乃って呼んで。」
二人ともフレンドリーさでは、華さんを超えるくらいで、ひとまず安心。
店長から、「この二人は油断するとすぐおしゃべりに夢中になって、お客さんへの対応遅れるから、気を付けてね。長崎さんからは、きつく絞られたけどね。」
なんて、紹介がありました。
「ははは、事実だけど、まあ、たまにだよ。
ちゃんと接客してるから安心してね。」
「うん、楽しくやろう!
これを機会に仲良くしようね。」
二人とも、男子なのに女性に見える私に興味津々で、目がランランと輝いてました。
こりゃ、バイトが終わったら、質問攻めになる感じです。きょうは早く帰れないかも!
そして、厨房にいる男子のアルバイト2名とも挨拶をかわします。
二人とも大学生で、
「菅沼仁です。よろしく。」「風間達也です。がんばってくださいね。」と言ってくれたんですが、やや怖いものを見たような顔をしています。
店長がこっそり私に囁いてきました。
「女性になろうとしている男子高校生って聞いて、二人ともちょっとビビってるんだ。
まちがって、好かれたら怖いと思ってるみたい。
考えすぎだよな。」
うっ、警戒されているのか?
そうかあ。男から惚れられたら怖いと思ってるんだ。
私、恋愛なんてするつもりないし、男性が恋愛対象になるのは、性転換手術を終えたあとだって決めてるけど、一般の人にはわからないよね。
男が好きだから、女になろうとしているに違いないって思うのが普通かも。
そんな時に、「ねえねえ、葵は菅沼さんと風間さん、どっちがタイプ?私、菅沼さん!」
「えーっ?私は風間さん!」
「そんなこと言われても、私、わかんないです。」
「そうだ、もしかして、彼氏がいたりして、いるの?」
「彼氏じゃなくても、好きな男の子いるんでしょ?男子校なんだから、男の子選び放題じゃない?」
「いやー、ちょっと同じ学校の男の子にそういう気持ちは持たないようにしてるんだけど・・・」
「だったら、菅沼さん、斎藤さんなんて、いいじゃない?
ね、菅沼さん、斎藤さん、葵、彼氏いないんだって!」
斎藤さんが、いきなり爆弾を男子バイト2名にぶつけます。
二人ともびっくりして、オロオロしてる。
「だめだよ、大学生の俺たちをからかっちゃ、茜ちゃんも和乃ちゃんも仕事をして!」
「そうだよ。俺たちからみたら、高校生は子供だから、対象外だ。二人ともさっさと仕事仕事。」
二人の大学生は動揺しながら、目を合わさず、仕事に夢中になります。
「ふふふ、可愛い。二人とも実は高校生くらいの年のアイドルが好きなはずなのに、無理してる。」
「ほんと、私たち二人のこときっと意識してるはずなんだ。可愛いなあ。」
恐るべし、先輩バイト女子高生です。
大学生をからかってます。
こういう女子高生力は勉強になるかも。
でも、私は男子大学生にちょっと同情しちゃう。だって、ホントは男だから、女子のこういうパワーは苦手なんだ。
そして、予想どおり、バイトが終わると、二人の女子高生に誘われて近くのファストフードショップに連れて行かれて、根掘り葉掘り聴かれます。
けっこう疲れました。
友達が増えて楽しいのはいいんですけど。




