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関東大戦  作者: S太郎
4/11

第四幕 WYVERN(ワイバーン)「せり上がる昇り龍」編

BEARが爆発したとき、俺とホマーは間一髪で衝撃から身を守った。世間ではガス管の爆発事故として処理された。俺は警察の事情聴取で手間取った。帰ったのは夜中の2時。ホマーは警察の監視をかいくぐり、先に帰って寝ていた。ちくしょう、ぐっすり寝やがって。

「スケさん、どうしたの?寝不足?」


「ん、ああ?すまん、うっかり寝てた」


仕事中、いつの間にか画面を見ながら眠っていたらしい。


「スケさん、今は仕事も落ち着いていて暇だからいいけど、来月あたりから急に忙しくなるぜ」


「ああ、たしか来月はコミケだっけ」


「そうだよ。年二回のオタクの祭典よ!今となってはメジャーなイベントだけど、昔は……」


俺が最初にコミケに行ったのは高校生の頃だった。その頃は今ほどメジャーなイベントではなく、少人数で集まる同好の輩の交流会の様な形だった。


しかしテレビ、マスコミで取り上げられてオタクをテーマにしたドラマがヒットした頃から次第に有名になって、今では多くの人が知る一大イベントに成り上がった。イベントが開催される前後で俺たちのような業界も同時に忙しくなる。


「スケさん、今年はコミケ行ける感じなの?」


「ああ、今年は別のスタッフが業務対応するから、行かせてもらうぜ」


「一緒に行こうぜ?今回は俺も休暇をもらってるから」


「おう。是非。嫁も一緒にいいか?」


「もちろん!ホマーちゃんのコスプレに期待してる」


BEARが爆発したとき、俺とホマーは間一髪で衝撃から身を守った。世間ではガス管の爆発事故として処理された。俺は警察の事情聴取で手間取った。帰ったのは夜中の2時。ホマーは警察の監視をかいくぐり、先に帰って寝ていた。ちくしょう、ぐっすり寝やがって。


……


仕事を早々に済ませ、帰りの電車に乗った。そして地元の駅で降りて自宅まで戻る道を歩く。このあたりは人も少なく、落ち着いた雰囲気だ。


あるきながら夕闇を眺めている。夕闇は深くなる。家々からは夕飯の支度をする気配を感じる。美味しそうな匂いがしてきた。これは焼き肉かな。豚汁かな。


夕闇を横切る鳥のシルエット。逆光で詳細は見えないが鳥にしては大きすぎる。シルエットが動き回り、俺の上空をウロウロし始めた。どう考えても化け物だ。


「おい、バレバレなんだよ。俺を追っているだろう!」


異様に大きい鳥のシルエットに叫んだ。いや、これは鳥ではない。2本の手、脚、長い尻尾と首を持つ化け物だった。


「化け物め、何の用だ!」


「フッフ。化け物とは失礼な」


「喋った!?名を名乗れ」


「お前は私と会ったことがあるはずだ。我が名は、ワイバーン」


「ワイバーン!!夢の中でお前と会った。まさか、夢が現実になったというのか」


敵は俺の夢にわざわざ干渉し、宣戦布告するほどの自信をもっている。ハッタリなのか、何か作戦があるのかはまだ分からない。


「資長。お前は既に私のしもべのBEARを倒した。次は直々に私から攻撃を開始したいところだが、もう少し付き合ってもらうぞ」


「余裕をかましやがって!何をするつもりだ」


「知りたければ次にお前が出会うことになるであろう、”BULL”を倒してからだ」


「BULLだと!?」


「今日はBULLの宣伝の為に来た。さらばだ……」


「まて、お前を今すぐぶっ殺してやる!!」


「そうだ、一つ忠告しておこう。今すぐ北条政子の元に帰ったほうがいいぞ」


「何!?」


そう言ってワイバーンは空高く消えた。ホマーの身に何かあったらまずい!!

すぐに自宅に戻り、ホマーの安否を確認した。


……


「ホマー!!大丈夫か!?」


「スケさん、おかえりなさい。どうしたの?」


帰ってきたものの、特に異常は見当たらない。


「はあ……はあ……化け物とか来なかったか?」


「いいえ、今日はとても平和に過ごしているわ」


「そうか……さっき、帰りがけにワイバーンに出会った」


「ワイバーンに!?」


ワイバーンは夢の中に限らず、ついに現実の世界に現れたことが気になる。事態はヤバイ方向に進んでいる。このままじっとしているわけには行かない。こちらからも対策と攻撃の手段を考えないといけないことをホマーに伝えた。


「わかったわ……でも敵の戦力がわからない。敵の正体がはっきりしないとこちらも対策を立てることができない。戦は”ハカリゴト”で全てが決まるわ」


「実は会社で仕事をしていたとき、知らないソースコードが自分のPCからみつかったんだ」


```

import future from 'node-future';

const wyvern = (e) => e.battle([ 'bear', 'bull', 'tanuma' ]);

wyvern(future);

```


ここに記されている'bear', 'bull', 'tanuma'という3つの文字列が気になった。'bear'は先に戦った熊の化け物ではないか。そして'bull'は牛のことだ。'tanuma'が何を表しているのかは分からない(地名もしくは人の名前だろうか)。そして3つの単語は'wyvern'、つまりワイバーンという名前の変数に集約されていく。


「妙な話なんだけど、今回の一連の事件に何か関係があるとしか思えないんだ。」


「スケさんのPCに何故そんなソースコードが入っていたのか不思議だけど、確かに偶然にしては出来すぎているわね」


「もしかしたら、次は牛の化け物、BULLが現れるかもしれない。その時は近いはず」


夜が更ける。俺は敵の侵攻に備えて武器を周りにおいて眠った。武器はガスガン、木刀、とても分厚いコミケのカタログを服に仕込んで準備をしておいた。


”おお、神よ。ホマーを救い給え”


神様は信じていないが、信じたくなる気持ちはある。人は自分の想像を超える体験をしたときに神の存在を認識するという。今、俺はいっぱいいっぱいだ。自分の身の回りで起きてることを人に説明するのは殆ど不可能に近い。人にものを伝えるとき、共通の体験が無いと伝えることは難しいからだ。


考え事をしているうちに、いつの間にか眠っていたらしい。時計の針が朝7時を指していた。


「こんな状況なのに眠ることができる俺は、思いの外、図太いのかもしれない。ホマー、おはよう」


隣で寝ているホマーを起こそうとしたが、布団の中で丸くなって寝ているのか、なかなか起きようとしない。


「ホマー、朝だよ。結局BULLこなかったね……まあ、来てもらいたくないんだけどね」


ホマーは早起きだ。俺より後に起きることはめったにない。そう考えると珍しいパターンともいえる。ホマーより先に俺が起きるなんて。ちょっと強引だが、布団を引っ剥がす。


「朝だよ。おきて!」


バッ!!


布団を引っ剥がすと、なんとホマーではなく大きなクッションが丸まって仕込んであった。


「お、おおい!!なんだこれは!?」


ホマーがいない。クッションで偽装してどこかに出かけたのか。もしかしたら一人でBULLを探しに行ったのかもしれない。でも、どうして急にそんなことをしたのか。憶測の域を出ないので、とにかく探しに行くことにした。


……


「ぐひひ……まさか、一人で殴り込みに来るとは思わなかったぞ……!!」


「ばけもの牛!!あなたと戦うのは私一人で十分。スケさんの手を煩わす必要はない」


「ひひ……まあそれはそうだ。あの男はタダの人間じゃないか。ただの人間なんて、俺みたいなのに”ちょっと”触られただけでミンチになっちゃうからな」


(スケさんの仕事用のPCに見知らぬソースコードが入っていたのが気になった。敵はスケさんの正体を知っている上に、行動が監視されているのではないかという疑念を持った。私がここで敵の想像に及ばない行動をして撹乱する。それに、この敵は既にスケさんが戦えるレベルを超えている。死ぬかもしれない)


「そうね、あなたの立派な二本の角で突き上げられたら、あの人は確実に死ぬ」


「お前もその仲間に入れてやるってんだよッ!!」


BULLが猛然と突進してきた。すかさず氷の刃を生成し、BULLに突き返す。


「氷の刃で頭を冷やしなさい。猛進だけが正しい道でないことを知りなさい」


「ひひ、いい気になるのも今のうちだぜ!!」


BULLが急に側面に避けたかと思った瞬間、ターンして戻ってきた。そして、近くにあったコンクリートのブロックに突っ込んできた。その瞬間、コンクリートが粉砕し、破片が降り掛かってきた。視界は煙で非常に悪い。


「周りが見えない……!!風で吹き飛ばす」


あたりを強い風が吹く。その瞬間、風が渦になりつむじ風が現れた。つむじ風が土埃を巻き込み、無数の破片を取り込んでBULLに襲いかかる。


「うおお!!この風は何だ!?無数の破片が俺の体に突き刺さってくるだと!?」


「BULL、覚悟なさい。つむじ風に巻き込まれた破片があなたをズタズタにする」


BULLの体にコンクリート片、ガラス片が襲いかかり、全身が血だらけになった。だがBULLは怯む気配がない。再び猛進し、ホマーめがけて襲いかかる。


ドンッ!!!


「ぐ……がはッ!!」


ホマーがBULLに突き上げられ、吹き飛ばされる。家屋のブロック塀に頭から突っ込んだ。口からは血が吹き出し、体が底から冷える感覚がする。


「く……」


「ぐひっひひひ!!すげぇなお前、俺の角で突き上げられても死なないのか?まだまだ楽しめそうだなぁぁぁあ!!」


「ふう……ふう……」


(だめ……真正面切ってではこいつに勝てない。せめて後ろから攻撃を加えられれば勝機はあるのに……いまスケさんがいてくれれば……私、馬鹿だわ)


ザッ……ザッ……ザッ……


BULLが頭を地面近くまで下げ、足踏みをし始める。再度向かってくる合図だ。


「でも、いつまでも遊んでる暇はないんだぜ。これで終わりにするか」


「う……ぐ……」


(ここで終わりなの?)


ドッドッドッドッドッドッドッドッ!!!!


(BULLが迫ってくる。もう体が動かない。スケさん……ごめんなさい)


ヴオオオオオン!!!ドゴオオオオン!!!!!


刹那、横から自動車が走ってきてBULLに突っ込んだ。BULLは吹き飛ばされ、壁に激突する。


ギイイイ!!


「はあ……はあ……危ねぇ危ねぇ!!ホマー!!大丈夫か!?」


続く

深掘りして書いていく方向に進めてます。

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