間章-end-
待望の微笑
夕暮れ、朱い夕日が街を照らす中、彼女はそこを歩いていた。
彼女の隣を、少年と幼い少女が肩車をして通り過ぎていった。
すれ違った直後、彼女は歩みを止めた。
黒に白い線とスカーフのセーラー服、膝下まで届かない白いソックス。
ローファーは革の光沢を持った黒色。
熱された金属の色に輝く髪は茶色い。
良く言えばシック、悪く言えば地味な色に包まれた彼女は、夕日の中に消えていく二人を見送りながら呟く。
「…あれね」
幼い少女は金の髪を銅の色に染め、無邪気に笑う。
茶髪の少女はそれを見、言い放つ。静かに。
「…使命の遂行なんかしていないじゃない。
孤児一族は大法螺吹きなのね」
さらに、少女は黒目がちの視線を少年に向けた。
その瞳には怒りが音もせずに宿っていた。
「…いつまでも生きていられると思ったら大間違いよ。
さっさと死になさいよ。あなたのせいで、大勢の人が死んだのよ…」
セーラー服の少女は、左腕の袖を捲り上げた。
手首には、金色の輪が二つ。
外してすぐに、それは頭の上に浮かんだ。
同時、彼女の姿は変わる。
まるで、その金に光る日に染められたかのように。
意識を頭上の輪に集中する。
蛍のように、淡く輪は金の光を放つ。
そして、少女は報せを告げる。
最も尊敬する、彼女の主へと。
「見つけたわ、カミサマ。」
黄の色に包まれた彼女はそう言って、
薄く、微笑んだのだった。
これで間章は終わりです。 閲覧ありがとうございました。