二章-end-
蒼穹の朗笑
終業式。
長い校長の話やまともにしていればまず必要のない生徒指導の先生の話を聞き流し、L H Rを終え、俺と紗良は下駄箱に向かっていた。
「やっっと休みだぁー!」
「そうだね♪
けど最後の日が夏休みの終わりだって事をお忘れなく♪」
俺はそれに、いつか思った事を口に出す。
「お前は本当に任務一筋だな…」
「『任務』じゃなくて、『使命』だよ!」
間違えたので一瞬危機を思ったが、何事もなく済む。
少しの脱力と、どうでも良いという思いが混じり、俺は適当に返した。
「はいはい…」
「もう!」
だが紗良はそちらの方に怒った。
まばらだがまだ学校内に人はいる。
殺されないが殴られる、
その時
「えーぃにーぃちゃーん!!」
蒼良が飛びついてきた。
俺はその不意打ちに対応しきれずうつ伏せに倒れる。
「いきなりなんだよ蒼良!」
「ダメ?
だって衛兄ちゃん見かけたからつい嬉しくて…」
とりあえず紗良の鉄拳からは助かったので、許す。
しかし許せない事はあった。
「別に良いけど…、重い。」
「あ、ごめんなさい」
蒼良はすぐに俺の上から退いた。
子供の姿でも人に乗られると重い。
そう思いながら俺は立ち上がる。
「これから二人共帰るの?」
「そうよ。
蒼良はまだ仕事?」
無邪気に尋ねる蒼良に、紗良は優しく答える。
「そうなの。
…あ、いけない、忘れてた。
見回りの途中だったんだ…」
残念そうに蒼良は言う。
俺は彼女の頭に手を乗せた。
「頑張れ。
仕事が終わる頃、紗良と迎えに行ってやるから。」
「衛兄ちゃん…ありがとう!」
そして蒼良は大人の姿になり、持ち場に戻る。
「ではまた後で…、
頑張ります!」
そう言って、蒼良は笑う。
彼女の歩き去る方向、窓からは空が見えた。
真っ青に、晴れた空が。
これで二章は終わりです。
閲覧ありがとうございました。