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Silver Ring  作者: 紫花
17/37

間章-end-

断定の談笑

十二月二十五日、午前八時。

昨日の礼服のまま、俺はベッドに倒れていた。

何時間か前の事なのに、昨日の事が頭から離れなかった。

小さな背中が、

真っ白い姿が、

涙に濡れた顔が、ずっと脳内を巡っている。

あの時、言いたい事がたくさんあった。

「なんで一人でいるんだ」とか。

「礼服似合ってる」とか。

けれど、彼女はあの時泣いてしまったから。

俺が、泣かせてしまったから。

だからただ、抱き締める事しか出来なくなっていたんだ。


(…それに)


あの後、紗良は先に帰ってしまった。


(…会いに行こう)


そう思った時だった。

ノックの音がした。


「…どーぞ」


小さな音で扉が開いた。

羽衣。脇辺りまである白い手袋、同色の太腿まである白い長靴、桜色の薄いミニのワンピース。

紗良だ。

昨日の礼服は、手袋と長靴にファーが付き、首と裾にファーが付いたノースリーブの白い腿までの上着に、中には銀のタイトスカートを履いていた。

白いファーの髪飾りも付いていて、まるで雪に包まれたような格好だった。

春になって桜が咲いたような格好の彼女は、


「…おはよ、衛多くん」


俯きがちに挨拶の言葉を投げた。


「…おはよう。どうした?」


足を床に投げ、俺は彼女に近付いた。


「うん。…昨日、言いたい事あったけど、言えなかったから今言いに来た」


「なんだ?」


少しの間を置き、彼女は言う。


「…、

メリークリスマス、衛多くん♪」


笑って上げた紗良の顔には、涙で赤くなった目元があった。

その時、俺は決めた。

罪を背負った俺でも、彼女だけは衛っていこう、と。

そして、俺は気付いた。




「大切なもの」が、何なのかを…―。

次の章で天界編は終了です。


閲覧、ありがとうございました。

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