表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/282

92 vsスフィンクスの話


 真っ先に後方から俺の頭の上を、火の玉と氷の槍がスフィンクスの顔面目掛けて飛んでいった。

 爆発したり突き刺さったりしたようだけど、損傷したようには見えないなあ。


 『ガアアッ!』と吠えたスフィンクスはぴょーんと跳ねて、前足で前衛を押し潰さんと迫る。

 落下地点にいた者は「うあー」とか「ひえー」と叫びながら転がったり、横っ飛びに回避したりして難を逃れる。


 ぴょんぴょん跳ばれるのは厄介だな。俺は青柿を目に向かってぶん投げた。

 左目に命中したが、青柿の方がぐしゃりと潰れる。あー、あっちの方がかったいからなあ。


 それでも気に障ったのか、左前足を横凪ぎにして俺を追い払う。

 ギリギリを避けたけど、風切り音がゴオウと通り過ぎた。怖っ。


 嵐絶の方は両手メイス持ちの戦士が、前足が地面に付いた瞬間だけを狙い、ガコガコと殴っている。

 今のところスフィンクスは物理攻撃しかしてこないようだ。


 下から見上げてみた目算では頭頂部まで、3階建ての屋上くらいはありそうだ。

 弱点らしい赤い部分は見当たらない。


 まずは前足からかなあ。

「グリース! 右前足から頼む!」

「ぴいっ!」


 【腐蝕の視線】をそこに集中させろという意味で、グリースに指示を出す。

 こちらの意図を悟ってくれたような鳴き声が聞こえたんで大丈夫だろう。


 今のところ、弾き飛ばされた人はいても、踏み潰された人はいない。

 HPがヤバそうな人には、アレキサンダーがポーションを投げつけている。

 渡しといて良かったが、当初はアレキサンダー用だったんだけどなあ。


 俺も足を踏ん張る瞬間とかを狙って攻撃を繰り返しているが、ヒビ1つ入らねえ。

 さすが古代文明の産物。


「デカイの行きますよー」


 間延びした声で警告されたので、距離を取る。

 前衛たちが慌てて離れた瞬間、轟音とともにぶっとい雷光が1条、2条とスフィンクスに落っこちた。

 こっちの耳を破壊するオマケ付きだ。耳鳴りで周囲の音がまったく聞こえん。


 一旦下がって、耳鳴りが治まるまで投擲攻撃に切り替える。嫌がらせを込めて、目や鼻を狙う。 


 一進一退の攻防を23名と3匹が進めていると、メイス部隊の方で歓声があがった。

 ようやく右前足の破壊に成功したようだ。


 スフィンクスはぐらりと傾いた体を、がっちりと砂地を踏みしめてバランスを取る。動きが止まった。


 チャンスと踏んだ俺は駆け寄ってからのパワークラッシュ。

 HPの8割を注ぎ込み、闘気と一緒に左後ろ足へと叩き込んだ。


 破壊までは至らなかったが、左後ろ足に無数のヒビを入れるところまではいった。

 ハエを追い払うように振り回された尻尾を回避し、距離をとってポーションを飲む。


『ガオワアアッ!』


 再び吠えたスフィンクスが口を大きく開き、嵐絶の前衛の主力が固まっている所へ口から砂嵐みたいなものを吐き出した。


「どわあああっ!?」

「ルスト嵐かよっ!」

「こんなところに魔神がいようとは!」

「あの変な髪型がドローンオンするんですかねえ?」


 直撃を喰らった一帯から余裕そうな声が聞こえてくる。

 あんだけ軽口をたたければ大丈夫か?


 こっちはさっきから開きっぱなしだったステータスの一部、城落としの再使用のタイムが丁度ゼロになったところだ。


 もう1度口を開けて吠えたところに麻痺毒瓶を投げ込んでやる。原液をくらえ!

 石の固まりに麻痺なんざ効かないと思ったが、動きがやや緩慢になった。

 毒にも称号の戦闘ボーナスは効果あるんだろうか。


「接近する奴は気を付けろ! ドデカイの行くぞーっ!!」


 一応警告を飛ばし、すぐさま城落としを発動させる。出現したのは石垣の天守台を含む和城である。


「なにーっ!?」

「ええええーっ!?」

 なんか嵐絶の1部から驚きの声があがった。


 スフィンクスが少し前へ動いたために落下位置がずれたが、頭と前足以外の部分を削り取るように押し潰すことに成功した。


 まだわずかに動く頭と左前足に嵐絶メンバーからこれでもかと武技が浴びせられ、ファイヤーボールやらアイスランスやらも次々と炸裂する。

 徐々に動きを止めたスフィンクスは、全身にヒビが広がった後に粉々になって崩れ落ちた。


 一拍をおいて、

「おっしゃー!」

「やったぜー!」

「見たかこの野郎!」

「っしゃオラー!」


 嵐絶の方から勝どきが次々とあがる。


 ぽよよんと戻ってきたアレキサンダーやグリースを、「よしよしよくやった」と撫でてやる。

 シラヒメには糸をだして貰って、奴の手足を縛れるかやってみたかったが、ちょっとその機会がなかった。しょんぼりしてたがこちらも撫でてやる。


「おいこらナナシー!」


 駆け寄って来たジョンさんにバチーンと背中を叩かれる。いてえ。


「なんだテメエ。あんな隠し玉持ってるなんて卑怯だぞコノヤロウ!」

「そーだそーだ!」

「最初から使えー!」

「赤玉ちゃんのポーションには世話になったぞー!」

「なんだあのとんでもねえパワークラッシュ~!」


 全員が俺の周囲に集まって一斉にべちべちと叩いてきた。


「あだだだだっ!?」


 ぽよよんぽよよんと上から降ってきたアレキサンダーが割り込んで来なかったら、全身が赤く腫れ上がるかもしれんかった。クソ痛い。


 とか思った瞬間、脳内でポーンと音が鳴った。

 みんなが一斉に動きを止めたところから察するに、ワールドアナウンスかこれ?


━━クラン嵐絶22名とビギナー1名がピラミッドの試練を通過しました。

  これよりピラミッドダンジョンを解放致します。


「……」

「……」


 再びあがる歓声。そして再び脳内アナウンス。


━━討伐報酬に称号【スフィンクスに認められし者】を取得しました。

  SP+2を贈呈します。



 どうやらこの場の全員が貰ったらしい、喉が枯れるんじゃないかと思うくらい大はしゃぎな皆。


 称号の効果はスフィンクスから助言や教えを受けられる。

 とあるが、粉々な上に下半身だった所にまだ城建ってんだけど……。


 城落としが5レベルにアップ。次の使用可能まで19時間。

 これ24レベルになったら連射できるんだろうか?


 ドロップ品は魔法の威力が5%あがるという知恵の指輪。

 そして土魔法のスクロール。これは全員共通。



 そして俺のところには獅子の卵という茶色い卵……。いや、卵!?



 スライム、蜘蛛、鳥ときて獅子。

 音楽隊も真っ青。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ