表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/282

75 北の街道の話


 夕食の時にプチ姉に第2陣に参加するかどうかを聞いてみた。

 俺のアクセス権でも招待は出来るようだったし。


「ああ、あの時の話? あなたたちはそういうの気にしないでいいのよ」


 どうも牙兄貴に対してのあてつけのような感じで言ってみたらしい。

 今だから思えるがなんで2人は仲が悪いのか。昔は全く気付かなかったが、あの頃から会話は皮肉の応酬だったような気もする。年下の俺たちに直接的な影響が無いぶんタチが悪い。


 母親は「静観しておいた方が楽よ」という。積極的に仲を修復する気はないようだ。どちらかというと、もう諦めてるみたいだけど。



 宝箱フェアは3日間(ゲーム内は10日間)だけなので、もうすぐ参加できると純義は嬉しそうだ。

 ジョギングに誘った時に色々聞かれたので、爬虫類系のモンスターが出現する場所は教えておいた。

 純義は中でとんでもない速さで走ってみたい、とのことだ。いったい何を目指してるのだろうか、謎である。


 アラクネさんはどうだろう? シラヒメを見せて反応を確かめてみるしかないな。


 その日はログインしてヘーロンの宿屋から開始である。先に北の街へ行ってしまおうと思う。

 死に戻り先をあちらに登録しておくつもりだ。ヘーロン側でもまだやりたいことがあるので、すぐトンボ返りしてくるけど。


 北の街道は砂利道と、枯れかかった木々の広がる寂しい光景が続いていた。殺生石でもその辺に立ってそうな雰囲気だな。

 馬車で通ったら尻が痛そうなデコボコ具合の道である。警戒しながら進むが、モンスターは出ないようだ。


 途中関所みたいなところがあり、そこにコインを渡して関所を通れる旨を商業ギルドのカードに書き込んでくれた。普通なら冒険者ギルドのカードに書き込むらしいが、異方人で商業ギルドカードしか持ってない者は珍しいと言われたわな。

 持ってなくてスミマセンねえ。


 関所から北の街、ベアーガという、までは徒歩で2時間ぐらいらしい。

 そこまでは岩と砂利とひび割れた土の荒野が見渡す限り続いている。


 襲ってくるモンスターは蝶と芋虫。蝶はモルフォ、芋虫はモルキャタピラーという。成虫と幼虫かよ。

 モルキャタピラーの方はノンアクティブらしく、そこかしこで灰色の保護色をした1mくらいの芋虫が岩をかじっている。あれに噛まれたら痛そうだな。


 モルフォの方は幼虫とは似ても似つかぬカラフルな羽をもっていた。

 大きさは羽込みで横にした畳1畳分くらい。銀や金の鱗粉を飛ばして攻撃してくる。限定範囲が(もや)った感じになり、そこに立ち止まっていると継続的にダメージを受けるようだ。

 石を投げて羽で打ち返された時はちょっとショックだった。


 シラヒメがせっせと石2つを糸で繋げてボーラを作ってくれたので、投げて絡めて落っことせたことで格段に楽になった。落ちてきたのをみんなでボコれば倒せたが、グリースが【腐蝕の視線】を使ってしまうとドロップ品が無くなった。


 ドロップ品は片方の羽が丸ごと出て、種類によって違うみたいだな。

 鉄の羽とか金の羽とか銀の羽とかは【鍛冶】や【細工】スキルの材料のようだ。の割りには厚手の布地のようにふにゃふにゃで軽い。


 あとは荒野に横たわるように(さなぎ)が散乱している。最初は芋虫の死骸と思ったが、近寄って名前を確認してみたところ判明した。

 近寄っても害はないが、何の役に立つか解らないので放置だ。ただ近くに幼虫がいると、それが襲いかかって来るので注意が必要だな。


 こちらはダンジョンにいたロッククロウラー以上に表皮が硬い。グリースのスキルを使ってようやく柔らかくなる。痛打がよく効く。

 急所が腹側のようなのでグリースがいなければ、転がさなきゃ抜くことが出来ないところだった。足をかじろうとするので、接近戦は足元注意である。口を開けたところに、シラヒメが粘着性の糸を打ち込んで開閉不能にしていた。


 【闘気】を使ってクローをぶっ刺して背中をヒラキにしてやったが、虫の体内はカラフルで気持ちが悪い光景だ。1回やって懲りたので、この攻撃方法は封印しよう。


 ドロップ品はナゲット状になった金・銀・鉄・銅の塊である。

 こっちの方が鍛冶屋向けかもしれないな。大きさは手のひらサイズが最大で小さいものは親指程度だ。


 石を拾って割ってみたら、色々な金属成分を含んだもののようだ。

 ここら一帯に広がる石や砂利が同じような性質になってるらしい。スキルを使って抽出するより、幼虫を倒した方が早いかもしれん。



 ベアーガは岩山というか禿げ山に囲まれた鉱山都市のようだ。イビスの3倍くらいの広さで、都市内は鍛冶屋が多いという。

 門番の人に見どころを聞いてみたらカジノと娼館を勧められた。カジノはともかく娼館は年齢制限で使用は出来ないだろ。


 ナゲットはありふれてそうなので、イビスかヘーロンで売った方が良いかもしれないな。

 死に戻り地点を登録したらヘーロンまで戻る。門番の人が変な顔をしていたが、気にしないことにした。



 モルフォよりモルキャタピラーの方を狩りながら、来た道を戻る。

 ここの敵はアレキサンダー的には好みではないらしく、食べようとはしない。突撃でグリースなどに当たらないよう、モルキャタピラーの攻撃を反らすのが主な仕事だ。


「うわ、なんだありゃ?」


 途中アレキサンダーの誘導で街道から外れると、荒野のど真ん中に金色の蛹があった。

 他の蛹は幼虫と同じく灰色な中で、それだけ黄金に光輝いている。ひとまわりくらい小さいが、割ったらかぐや姫ならぬモルフォ姫でも出てきそうな雰囲気だ。


 周囲にいたモルキャタピラー7匹が一斉に襲いかかって来たので、30分くらいかけてなんとか倒しきった。特に網を投げたり、粘着糸でモルキャタピラーを絡ませたりしたシラヒメ大活躍。

 もちろんグリースも柔らかくしたり、アレキサンダーも盾になってくれたりと大助かりだ。


 人目も無かったのでエナジードレインを使っていたら、レベルアップで新しい術を覚えた。ゴースト召喚という、レベル×分で召喚した半透明のゴーストを使役する術のようだ。

 ゴースト自体は物理攻撃無効だが、魔法には滅法弱い。攻撃方法が相手を麻痺させたり、恐怖に陥れたりする補助的なものらしい。そして夜か暗い場所(ダンジョン内も平気)にしか使えないという。太陽の光がダメなようだ。

 なかなか使い勝手の悪い奴だなあ。 


 あとフレンドであれば伝言を届けたりしてくれるという機能がある。きっと目の前に出現した途端に討伐される姿が目に浮かぶよう……。

 肝試しとかで驚かすのに使えそうだな。後が怖いけど。


 金色の蛹は名称はそのまんまである。【アイテム知識】の説明によると、1種類の鉱石に拘って食べ過ぎた幼虫の成れの果てらしい。

 他に銀の蛹や鉄の蛹、銅の蛹があるようだ。丸々20kgくらいの金の塊なので幾らになることやら……。


 尚、この往復の戦闘で俺がビギナー14レベルとなった。グリースは7レベルでシラヒメは15レベルに上り、ものの見事に抜かされたのである。……ちくせう。



 今のところ金1gが¥4400くらいなので、リアルだと¥88000000くらいの値段になりますかね?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今一万超えたから余計額がヤバいことに笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ