表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/282

69 後始末の話


 戦闘が終わったらアサギリ率いる有志の会による尋問が待っていた。

 実質、質問会らしいが今の戦闘の何処に疑問があったのやら。ハイローも混じっているが、奴は質問する側じゃなくて解説補助だ。


「で、あれは何だ?」

「あれと言われても分からん。具体的に言ってくれ具体的に」


 代表はアサギリともう1人。バーダーという神官のプレイヤーだ。インフィニティハートのクランメンバーではないらしい。ペット持ちで、子猫サイズのカナブンみたいな虫を連れていた。スカラベだそうな。


「片手剣持ってた奴の懐に目に見えないスピードで入り込んでたろう。なんのスキルだよあれ?」

「スキルをあれこれ聞くのはマナー違反じゃねえの?」

「さすがに色々おかしいだろお前の行動は……」


 アサギリ以下全員が疑念に満ちた表情でうんうんと頷いている。スキルなんて使った覚えはないんだがなあ。


「小走りで接近しただけだが」

「「はあっ!?」」


 全員の目が点になる。何故信じてもらえないのかが謎だ。

 アサギリが視線だけでハイローに真偽を問うと、奴はゆっくりと頷いた。他の者たちの顔が愕然としているのが分かる。ちなみにステータスを見たが歩法系のスキルは生えていなかった。


「じゃああの2段突きを防いだスキルは何ですか!?」

「普通に弾いて引っ掛けて飛ばしただけ。簡単に奪えすぎだ。あんなんで槍使いとかお粗末過ぎんだろ」


 今度はバーダーの目が点になる。

 他のプレイヤーの目からハイライトが消えてってんだけど、大丈夫なのかね。


「ほとんどナナシの理不尽な行動が原因だからな」

「理不尽な行動をした覚えはないんだがなあ」

「他の人からすれば理不尽に見えるんだよ。それに最後のあれは何だよ。上下真っ二つにしやがって」

「あんなにモロイとは思わなかったんだよ」

「「「怖っ!?」」」


 素直に感想を言えば全員がドン引きである。

 あれを俺に教えてくれた人は、直径10mの大岩や戦車を素手で粉砕する。むしろああいう人が化け物という分類に入るだろう。


「掲示板は大恐慌の嵐だぜ。ナナシの変態っぷりは伝わったがな」


 手元でポチポチやっていたアサギリが顔を上げる。どうやら掲示板に書き込んでいたらしい。他にもウィンドウを開いてる奴は同じく掲示板を見ているようだ。

 なんでも痛覚解放や残酷描写フルオープンというのは変態扱いになるそうだ。理由は分からんが。


 念のためステータスを確認しておく。

 【闘気】以外は【急所攻撃】が仕事をしたくらいか。とりあえず使ったスキルは2つとだけ言っておく。【格闘】はいちいち言う必要もないか。


 幾つかのスキルレベルが上がってSPが18になっている。そろそろ何か取らないとなあ。

 ウェットスーツで思い出したが、スキル取得候補には【水泳】しかなかった。SPを6使って取ったら【潜水】が出たんでそれもSP9で取る。


 ━━【水泳】【潜水】を1度に得たことにより、称号【半魚人】を取得しました。


 取った瞬間脳内アナウンスが流れ、新たな称号が増えた。何気ない行為でどんどん増えるんだが大丈夫かこれ。

 称号【半魚人】の効果は水中行動にボーナス。これは元々のペナルティーで相殺。潜水時間が倍に延びるというもの。エラ呼吸とはいかないようが、女性がとったら人魚になるのかねえ。

 デメリットは水中で容姿が少し変化すること。指の間に水掻きが生え、体の皮膚が一部変化して緑色の鱗が出来るらしい。友好なNPCにマイナス印象になるそうだ。 


 PVPから続く騒ぎはようやく鎮静化し、俺の周りに集まっていたプレイヤーたちも散りはじめていた。


 そんな中、怒った顔でこっちにズンズン歩いてくる者がいる。アルヘナだ。

 あまりの不機嫌な表情にモーセみたいに人垣が割れてってるぞ。


「ちょっと兄さん!」

「おう、どうした?」


「なんですかさっきの変なメール!?」

「特に他意はない。その方がすっ飛んでくるかなー? と」


「冗談でもあんな文面止めてください。びっくりしたんですからね!」

「悪い悪い。それよりアイテム譲渡画面開いてくれ」

「なんですかもう!」


 ぷりぷりしながらも俺のいう通りにしてくれたので、女性用のウエットスーツを譲渡する。


「セルテルさんからの料理の報酬だ。確かに渡したぞ」

「……」


 画面を見て、俺を見て、みるみるうちに顔を赤くしたアルヘナは「馬鹿! 兄さんの変態っ!!」と叫ぶとダッシュで駆け抜けていった。なんだいありゃ?


 首を傾げた俺の肩にポンと手が置かれた。

 振り返れば笑っていない笑顔を浮かべた男たちが俺を囲んでいる。


「よう、ビギナーさん。今の理由について詳しく」


 青筋を浮かべて指を鳴らす奴らもいる。男の嫉妬ってやつだろうか。

 何を言っても無駄のようだな。やれやれ、まったくめんどくせえことだ。


 半魚人をスキルにするか称号にするかで悩みました。

 モチーフはジュブナイル系(笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 69話 後始末の話 「アサギリ以下全員が欺瞞に満ちた表情でうんうんと頷いている。」 疑念又は疑問じゃないですかね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ