24 生産の話
朝日が昇ったらようやく門が開いた。当たり前だが。
料理ばっか作っていて食べる方が出来なかった気がする。
途中から鉄板提供されて、焼きそばとかお好み焼きとか作る羽目になってたんだけどね。
ソースはあるのな、この世界。
提供された品をそのまま譲って貰えたので、また焼きそばを作ろう。
しれっと食ってたなアレキサンダーは。
気が付いたら【料理Lv.14】になっていた。SP1ゲット。
宴会した連中とフレンド登録して別れる。
種類は何でもいいと言っていたので、皮を手に入れたらまた買ってもらおう。
そしてオロシの露店まで行って薬草と毒草を売る。
月光草を見せると目を丸くして、アゴが外れるくらい大口開けて驚いていた。
「どっ!? 何処に生えてたんですかっ!?」
「え、東の平原だけど」
「えええーっ!?」
どうやらレア中のレア素材だったらしい。マジか……。全部摘んでくりゃあ良かったな。
「でもまだ万能薬作れるかわかりませんので、作ってみないことにはなんとも」
「あとしびれ草もあるが」
「そちらは解除薬よりは麻痺毒の方が需要あるかもしれませんね」
矢に塗ったりして使うらしい。
まだ麻痺させるような攻撃をしてくる敵はいないそうだ。今度は自分で食う分も採ってこよう。
問題は小瓶の方だ。
「解るか?」
「毒液そのものですけど、どーやって取ってきたんですかっ!?」
「普通にドロップ品でおとしたぞ」
オオネズミが。
「……普通とはいったい……」
やはり解体の効果は偉大だった。
毒草より毒消し薬の作成が捗るそうな。小瓶1本で毒草の倍、毒消しが作れるらしい。
それなら次もオオネズミを狩ろう。1個がインベントリ内にあるとドロップしない品なのが問題だが。
あとついでに鑑定料を払ってオンドゥリの尾羽(腕輪)も調べてもらう。
俺が鑑定を持ってる。と思っていたオロシはいぶかしんでいたが、適当に誤魔化しておく。まだ薬草くらいしか分らんとか。そこから育ててはいないとかだ。
結果はこちらもレア品。
防御力+1に素早さUP(小)が付いている物のようだ。売ったらおそらく2~4万Gになるんじゃないかと言われた。
少ない防御の足しになる貴重な1品、売る気はないけどな!
「でしたら掲示板の方に書き込んでも良いですか? ナナシさん出処のことは秘密にしますんで」
「構わないけど、平原の平和が脅かされそうな気がするなあ」
「それは仕方がないですよ。こんなアイテム、誰だって喉から手が出るほど欲しいに決まっています」
折角すいてきてタマラビが取り放題だったというのに……。
きっと潮干狩りのように、芋を洗うような混雑になるに違いない。情報を提供してしまった身だけども、悲しい。
「あと此方をどうぞ」
と、ポーションのレシピを渡された。なんでも薬を作るプレイヤーが中々増えないんだそうな。
みんな敵を倒す方が楽しくて、補助職みたいな人気のない裏方は嫌がるようだ。門前で会ったプレイヤーたちは少数派だったのかい。
ポーションは薬草2枚を刻んで磨り潰して煮て濾して出来上がるらしい。1度出来上がれば、水と薬草を揃えれば簡易作成が可能なショートカットが【調合】のメニューに出るのだとか。
「これ、瓶はどうすんだ?」
「最初は用意する必要があるけど、簡易作成すると瓶に入ったまま出来上がる」
「はぁ?」
そう言えば毒殺事件の時にポーション飲んで瓶をどうにかした記憶がないな。あれは飲んだら消えてしまったのか?
細かいところといい加減なところの差が激しいな、このゲーム。
だから回っている部分もあるんだろうが。
あとオロシに狭い生産業界で知っている防具作成プレイヤーを紹介して貰った。隣の露店に居たのがその人だったんだ。紹介ってレベルじゃねーし!
所持金と相談した結果、イノシシ皮と牛革を使った革鎧を購入した。
防御力+8なので、今までの8倍である。言ってて悲しいが。もう1つは同じ牛革靴だ。軍用ブーツみたいな感じである。こちらは防御力+3。あと初心者用ズボンをコウモリの皮膜で強化してもらい、+2。
これに腕輪とマント足して17点。称号で+4されて21点。昨日までの3倍強である。
これでリンルフも怖くねーぞ。ふはははは!
まあ、調子にのるとまた何処かでポカミスやらかすんで、自重しようぜ俺。
本日までのステータス
名前:ナナシ
種族:人間(⬛⬛)
職業:ビギナー Lv.8
SP:1
所有スキル:
【格闘Lv.15】【投擲Lv.11】【急所攻撃Lv.9】
【カウンターLv.4】
【死霊術Lv.5】
【観察Lv.6】【気配察知Lv.6】【忍び足Lv.3】
【料理Lv.14】
【植物知識】【毒耐性】【暗視】
【解体】
ユニークスキル:【城落としLv.2】
称号:【後先考えぬ者】【スライムの友】
【草を食む者】【闇を歩む者】
ペット:アレキサンダー(レッドスライムLv.⬛)
次回また掲示板回ですけど、これが一番頭を使いますねー。




