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169 目的地までの話

 待ってるだけの勤務で暇な時間を執筆に当てました(オイ

 3日目は早速魔の森へ突っ込むことにしよう。


 ホースロドの北門前には、前回より倍に増えた冒険者が出発準備をしていた。今日は嵐絶は見当たらないな。

 冒険者はプレイヤーか住民かは見分けはつかないけど、和気あいあいとやっている姿はいいものだね。


 誰も俺と目を合わせてくれないが……。

 この前のPVPが原因なんだろうなー。敵対しない限りあんなことはしねえっつーのに。


 今回はボウだけが出しっぱなしだ。戦闘には参加させないが、ペットたちが必ず守ると息巻いている。試験的に採取に関わらせてみようと思っただけだ。

 本人、本ぬいぐるみは竹かごを背負ってトングを持っている。

 たまーに立体総合公園でやっている、子供たちのゴミ拾いボランティアのようだ。あの期間中だけ、公園内の掃除ブロッカーが止まってるんだよなあ。

 当時は気が付かなかったが、今思えば教育の一貫という策略……。


 方角的にホースロドの西側に向かうような位置から森に入る。

 嵐絶が何度かと、他にも哭銅の採取依頼を受けた者がいたお陰で、踏み荒らされた道が出来ていた。

 この道を辿っていけば、目的地までは容易だろう。周辺の警戒だけしてればいいな。


 ボウが乗っているグリースとツイナが1番ピリピリした空気を纏っている。何かしらガサッて音がするたびに右をキッと睨んだり、体を強ばらせて左を向いたりと緊張しすぎだ。

 揃って右、左、右、右としてるので、はたから見るとすげー笑えるわ。


 ホースロドから1時間程の所でマダラオオアリが2チーム、計8匹現れた。こっち側ってあんまり魔物はおらんのか?

 噛み付こうと突っ込んできたところで顎を掴み、膝蹴りを叩き込むことで首があっさりもげることが分かった。

 しかし俺が対処したのはその1匹だけで。2匹は腐蝕しながら沈み、5匹はシラヒメが網で捕らえてアレキサンダーとツイナの火炎放射で焼かれていった。定番コンボだな。


 ホースロドから2時間くらい離れたら、森の中を流れる川に行き着いた。対岸までは5~60mはあるかなあ。

 水の色はずいぶん濁っていて茶色く、流れは緩やかだ。【大地魔術】で探ってみたら、深いところで4mくらいか。


 アレキサンダーたちを休眠状態にして、俺だけ棒を使った走り幅跳びみたいなことをすれば渡れそうだが、たぶんこいつら嫌がるだろうな。

 なんか顔を突き合わせて「がうがうメエメー、コケコケ、ぷるぷる、ふんふん」ってやってるし。おーい、俺は混ぜてくれないのかー。


 川の中から【気配察知】に感じるものがあったんで、スケルトンを1体召喚して投入してみる。スケルトンは水に浮かないらしい。

 緩慢な動作で川底を歩いて行き、頭が水中に沈むか沈まないかの辺りで大きな顎にガブッとやられた。

 ワニかあれは。

 体長3~4mくらいの図体が、あっという間に水中へ沈んで見えなくなっていく。名前だけチラッと分かった。グラムガビアルというらしい。

 こりゃ半魚人でも対応しにくいぞ。

 戦闘になっても流れがある中で、視界ゼロで【気配察知】頼みで、あちらの方がパワーが上。そんで何匹がいっぺんに来るんだか分からん。

 水中戦はちょっと無理だなあ。嵐絶はどうやって渡ったのやら。


 ペットたちはツイナの飛行ピストン輸送になった。アレキサンダーが先に対岸へ渡り、グリース+ボウにシラヒメと続く。空中では邪魔しに来るものがいなくてよかった。

 俺は【闘気】と【脚力強化Ⅱ】と【軽業】を使い、川面を疾走して渡った。事前に周辺の木を幾らか伐採し、足場になるよう先に先にと投げて置いてからだ。背中を見せて浮いていたグラムガビアルまでも足場に使い、無事に対岸へと渡ることが出来た。

 足場にしたグラムガビアルが怒ったらしく、上陸して向かってきた。1匹だけだったので、俺とペットたちの敵ではない。あっさりリンチの塵と消える。

 ドロップアイテムはワニ皮。胴体部分が丸っと。

 あとはグラムロッドという、尻尾の形をした剣? である。長くて太くてしなやかな尻尾を半分くらいで断ち切り、柄を付けた鞭のような剣のような。なんだこれ。

 その辺にあった人の胴体くらいの太さの木に、思いっきり叩き付けたら幹がポッキリへし折れた。威力も申し分ないし、面白そうだから使おう。

【アイテム知識】によると魔法の発動体でもあるようだ。出血の効果付き。


 川を渡ったら道が途切れたので周辺を探したところ、数百m上流に岩場を伝って渡れそうな場所があった。

 そこからまた道が続いている。

「なんだこういったのがあったのか」

 ぷるぷる。

「おトウサマ、きヲオトサズニ」

「クケ~」

「がう」「メエ」 

 ぎゅうぎゅうとペットたちに体を押し付けられて慰めてもらった。いや、いいんだけどな。まあ、人生は得てしてこんなもんだろう。


 そこから更に1時間くらい歩き、ようやく哭銅の木が生えている地帯に到着する。太陽はほぼ真上だ。


 哭銅の幹は直径30~40cmくらい。太くても50cmくらいか。表面は黒褐色で、手触りは硬くてゴツゴツした金属のようなひんやり感だ。

 ただ木の梢までが高い。積層形住宅の2階層分ぐらいはありそうだ。30mくらいかな?

【植物知識】によると、魔力をふんだんに含んだ樹木で、切り倒すにはアダマンタイト製の斧が必要とある。これを使って作られた家具などは超高級品になるらしい。

 あと魔力を集めた余波なのか、周辺の下生えの草の中には魔香草が多く見付かった。これは以前にハルペスさんから貰った、MP回復ポーションの材料でもある。

「そっちの採取はボウとアレキサンダーに任せる。グリースとツイナはボウを守れ」

「コッコー!」

「がう!」「メエエ!」

 ぷるぷる。

 シュタっと敬礼したボウは、早速魔香草の採取に精を出す。アレキサンダーはその周囲をゆったり移動しながら採取に勤しむ。

 グリースとツイナは臨戦態勢で周辺に気を配り、シラヒメは俺が伐ろうとする木が安易に倒れないように糸を張り巡らしていた。

 こっちはインベントリから大工道具箱を出して、ノコギリを準備する。

「さてアダマンタイトの斧と、聖剣ノコギリはどっちが強いのかね?」


 いつも誤字報告して下さる方、ありがとうございます。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 聖剣ノコギリ? マルクト神の大工道具に入っているノコギリの事なんだろうか? どちらにせよ、大地に生えているものである以上、マルクト神のノコギリなんてものがあったらあっさり切れそう
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