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146 爆弾を配布する話


 ベアーガからホースロドまでは徒歩で3日以上かかるそうだ。

 これはベアーガの西門にいた門兵の話である。

 今回に関しては砂漠の行き来で2泊しているため、ゲーム内にいられてもあと1泊くらいでしかない。


「こりゃ途中でログインの時間が切れるか?」

「ぐるる、がう!」「メェエ!」


 西門前で悩んでいたらツイナが1歩進み出て、タテガミを振るった。

 ヤギ頭もいなないて頭をぶるんぶるんと振っている。


「あー、ツイナ。どうした?」

「おトウサマヲ、セなカニノセテ、トブそウデスワ」

 シラヒメの通訳にツイナを二度見する。


 ようやっと人が1人乗れるくらいにはなっているが、俺を乗せて飛びきれるのか?

 俺が乗れても、アレキサンダーとかがおいてけぼりになるだろう。

 アレキサンダーはぽよんぽよんと跳ねて、俺の腰に体当たりをしかけてくる。

 見ようによってはツイナの方に押しやられている感じだ。


「ワタシたチハ、キュうミンジョウタイニ、サせテイタダケレバ、だイジョウブカト」

「コケッ」

 胸の前で手を組むシラヒメに合わせるように、グリースも翼を体の前で交差させている。

 真似してるみたいだけど、逆に格好よく見えるな。


「じゃあ、移動はまた次にするか」

「エッ!?」

「ぐるぅ」「メェ……」

「クケ……」

 ぷるぷる


 4匹のテンションが目に見えて下がっていく。

 すっかり乗り気だったようだが、酷使してまで急ぐことじゃないしな。


「強行軍はロクなことにならん。その辺にいるやつ殴って今日は終わりにしよう」

 こくこく

「わカリマシタワ」

「コッ」

「ぐるるぅ」「メェッ」

 ぽよんぽよんと跳ねるアレキサンダーを先頭にツイナ、シラヒメ、グリースと進んでいく。


 ベアーガの西側にいるモンスターは、ブルースライムとアーマーキャットだ。

 街道を進んでいくと途中で違うものになるらしい。


 ブルースライムは直径20cmくらいの青い円型である。

 体当たりと、時々水魔法のウォーターアローを使ってくると翠に聞いた。


 アーマーキャットは背中や手足の一部に硬い甲殻を備えた猫だ。

 猫の例に漏れず素早い。

 硬くて早いということで、金属鎧を着込むプレイヤーに嫌われている。

 攻撃は噛みつきと引っ掻き。爪の方には毒があるようだ。


 2種類ともアクティブモンスターなので、接近すると自動的に襲いかかってくる類の敵である。

 称号の【スライムの友】はアクティブモンスターには対象外のようだ。

 まあ説明文にも「なつかれる」としか書いてないしなあ。

 最初っから敵対しているんじゃあ、検証する気にもなれん。

 もしかしたら探せばノンアクティブのブルースライムがいるかもしれないが。


 アレキサンダーがブルースライムに近寄ると、周辺に固まっていた4体が一斉に動き出す。

 うち1匹が頭の上に水の矢を浮かべたところで、ツイナが放った雷撃がそれを撃破する。

 頭を下げて走り出したグリースが1匹を蹴り飛ばし、残りの2匹は頭上から降ってきた蜘蛛網によって動きを阻害させられた。

 もがく2匹をアレキサンダーが捕食。蹴られた1匹はツイナに踏まれたところで、シラヒメの蜘蛛脚によって粉砕された。


 俺が近くにいたアーマーキャットに足を向けると、2匹がまとめて飛びかかってきた。

 上から来た引っ掻き攻撃はセキシャの棍で受ける。

 足を狙った噛みつきは、フェイントをかけてから横っ腹に回し蹴りを叩き込む。

 ボキボキボキーッという骨を砕く感触とともに、吹っ飛んだ1匹は空中で砕け散った。

 あ、【甲殻スレイヤー】の効果も入ってるぽいな。

 

 ブルースライムのドロップ品は水玉と呼ばれるボール状の物体と、話に聞いたことのないスクロール。

 水玉は生活魔法の水出しと同じような現象を起こす、旅の必需品らしい。

 スクロールは水魔法の呪文書だった。

 これはあれだ。所持数限定1のスーパーレアだな。


 アーマーキャットのドロップ品は毒の付加を持つ爪だ。

 これは武器作成の材料になるという。

 そしてネコミミカチューシャ。

 猫の耳がついたカチューシャで、聴覚が僅かばかり上がるらしい。アクセサリーか。

 装備に関しては女性限定なので、俺には使えない。

 そして出たのは黒白ぶち柄と真っ白の物。こっちはノーマルレアとかいうカテゴリーだろう。


 シラヒメをちょいちょいと呼んで、真っ白の方を頭につけてやると飛び上がらんばかりに喜んでいた。

「うレシイ! あリガトウゴザイマス! おトウサマ!」

 真っ白に真っ白もどうかと思ったが、似合ってるからいいや。


 アレキサンダーやツイナが物欲しそうに残った黒白ぶち柄な方をじーっと見つめているが、お前らは装備できないぞ。


 そして同じフィールドにいたプレイヤーたちが「ぐふぅ」と言って顔を背けた。

 中には「これが……萌え!?」とか「俺は死ぬ俺は死ぬ俺は死ぬ……」とか、震えながら呟いている奴もいる。

 大丈夫か?


「ご、ごめんなさいビギナーさん。お嬢さんのSS撮ってもいいですか?」

 何人かのプレイヤーが震える手を上げて尋ねてくる。

「シラヒメー」

「なンデスカ?」


 プレイヤーたちを睨むようなアレキサンダーを前にシラヒメが俺の横に並ぶ。

 グリースもアレキサンダーの横に出てきて警戒している。

 腐食の視線を向けたりするなよー。


「シラヒメの写真が撮りたいってさ」

「いイデスヨ」

 本人の許可が出たので、プレイヤーにOKを出す。


 ポーズをとらせてみようかと提案したが、「破壊力が増すからいいです」と断られた。

 ちなみに何も言ってないのにSS撮った人に1万G渡されたんだが、普通こういったのは有料なのか?



 本日までのステータス

 名前:ナナシ

 種族:人間

 職業:ビギナーLv.29

 SP:17


 所有スキル:

 【鉄拳Lv.24】【投擲Lv.41】【蹴撃Lv.15】【片手棍Lv.5】

 【致命攻撃】【反射】【闘気】

 【死霊術Lv.20】【水魔法Lv.5】【土魔法Lv.11】

 【生活魔法】【大地魔術】

 【看破Lv.14】【気配察知Lv.39】

 【忍び足Lv.16】【軽業Lv.54】【隠れるLv.8】

 【水泳】【潜水】【登攀】

 【魔力視】【魔力感知】【魔力付与】【魔力操作】【魔力制御】

 【裁縫術】【料理長Lv.22】【調合Lv.21】【大工Lv.8】

 【植物知識】【鉱物知識】【アイテム知識】

 【腕力強化】【知力強化】【魔力強化】【MP増加】

 【毒耐性】【苦痛耐性】【環境耐性】【暗視】

 【解体】


 ユニークスキル:【城落としLv.7】


 称号:

 【後先考えぬ者】【スライムの友】【アラクネの友】

 【草を食む者】【闇を歩む者】【強奪者】

 【料理人】【半魚人】

 【ネッツアーの加護】【マルクトの祝福】【ゲヴラーの祝福】

 【魔女見習い】【スフィンクスに認められし者】

 【ミノタウロススレイヤー】【甲殻スレイヤー】


 ペット

 名前:アレキサンダー

 種族:エルダーレッドスライムLv.14


 名前:シラヒメ

 種族:アラクネLv.12


 名前:グリース

 種族:コカトリスLv.3


 名前:ツイナ

 種族:キマイラLv.14


 使い魔

 名前:ベウン

 種族:クマのぬいぐるみ


 誤字報告して下さった方ありがとうございます。


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