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144 秘匿された話


 次の目的地はホースロドだから、ヘーロンに戻って北上してベアーガ行ってから西かい。

 徒歩で3日か4日くらいかかるな。

 ピラミッド周辺もちょっと探索してみたところ、ここから北に伸びる道があった。


 後をついてきて、まだその辺にいたプレイヤーに聞いてみれば、誰もそちらに向かった者はいないとのこと。


「じゃあ山向こうの国につながってるかもしれんな」

「いやー、オレたちはダンジョン目当てだったからこっちに行く気はしなかったぜ。向こうの国?」

「それは掲示板にあった廃坑からいけるってやつか」

「掲示板にどう書いてあったかは知らないけど、廃坑抜けた先に2日ばかり進むと街があったがね」


 案の定、みんながどんな感じかと聞いてきたが、生憎とそれ以上はなんも言えないんだよな。


「は? ペットつれてたら魔族とか言われて矢を射かけられたあっ!?」

「……確かに、ビギナーさんの背後に引き連れた面々を初めて見る人からすれば……」

「ビギナーさんになんということを、そいつら死んだな」

「きっとビギナー教からの報復が降りかかる……。あなオソロシヤオソロシヤ」


 逆にこっちが不安になるようなことは聞きたくなかったぞ。


 1度オアシスまで戻ってそこで1泊。

 1人でいた時と違って他にもプレイヤーがいるので、警戒などをしなくていいのはありがたい。

 睡眠をとると一瞬真っ暗になって目が覚めるのは、相変わらず寝た気がしないが。


 そこからヘーロンまで再び砂漠を行くことにした。

 お金を払えば街から街まで飛べる施設が使えるとのことだが、緊急性があるわけでもないし歩こう。

 ちなみにオアシスからヘーロンまでは飛べない。


 まあヘーロンまでは特別なことは何もなかった。

 ヘーロンでもまた数人に情報を売ってからベアーガへ向かう。


 途中の芋虫鉱山で、プレイヤーが一角に固まって騒いでいるという場面に出くわした。


「クソッ! 芋虫が多すぎるんだよ!」

「そんなこと言ったって集まって来てるからしょーがねえじゃん!」

「倒しても倒してもキリがねえよ!」

「だがあのお宝を諦める訳にはっ!?」


 野次馬しに行って覗いてみたところ、奥に金のサナギ。そして手前で泣き言を言いながら80匹近い芋虫とやりあってるプレイヤーたちがいた。

 だいたい20人vs80匹となるか。

 俺の頭の中では「手伝う→分け前が生じる→金が増える」公式が浮かんだため、見なかったことにして立ち去ろうと思う。


「「「ちょっちょっと待って! 見ないフリして逃げるなああああっ!?」」」


 ほぼ全員が悲痛な叫び声をあげたため、仕方なくUターンして殲滅を手伝うことにした。

 数が多いのでやり方は簡単だ。


「【城落とし】」

 カッ! ヒューン ズドドドーン!

 で、終了である。

 和城を落として大多数の芋虫を圧殺するだけの簡単なお仕事。

 俺の懐には大量の金銀銅の大小のナゲットが転がり込んできた。


 ぶっ潰す範囲から逃れた芋虫をツイナが引きちぎったり、頭部を陥没させたりと処理すれば芋虫は周囲からいなくなった。

 後には口を開けたまま硬直したプレイヤーたちが、城をただ見上げているという光景が残されたのである。


「あー、君たち? とりあえずドロップ品の分配をしたいんだが」

「「「しれっと関係ない風装ってんじゃねええええええっ!?」」」


 一斉に突っ込まれた。 

 関係ない風を装っているつもりはないんだが、なんでそんなに動揺しとるのかね?


「「こっこれがビギナーさんクオリティかっ!?」」

「城メテオだ城メテオ。初めて見た」

「あれだけいた芋虫が一瞬で地面の染みに……。恐ろしい」

「待て待てなんで城メテオをビギナーさんが使えるんだ? エトワールの魔女っ子が使えるんじゃなかったの!?」

「は? え? なにこれなんだこれ?」


 混乱具合が半端ないな。

 この間にスキルを確認すると【城落とし】が7レベルにあがっていた。

 だとすると1時間以上は城残ってるだろうな。


 俺は彼らが落ち着くのを待ってから【城落とし】が使えるのは自分だということを話した。

 その際に騒ぎになるのを恐れて、エトワールには一時的に使えるフリをしてもらっていたことも含めてだ。


「「「なるほど!」」」

「分かってもらえてよかったよ? そんでな……」

「いや大丈夫! 分かってますとも。なあみんな?」

「「「ああ」」」

「この秘密は誰にも話さないって約束する」

「墓まで持っていくから、安心してビギナーさん」

「いや、そうではなく……」

「いやいや皆まで言わなくても分かってるって」

「絶対! 誰にも言わないから!」

「こんなんベラベラ喋ろうものなら、ビギナー教からなに言われるかっ」

「「「お、恐ろしい……」」」


 ちょっとなに言ってるかわからない。

 なんか意味不明な方向にビギナー教が暴走しているようだ。

 教育的指導とかするようなのかねえ。

【城落とし】が広まらないのって、もしかしてこれが原因かなあ。


 ドロップ品の分配だけは無理矢理に等分で分けさせてもらった。

 一応口止め料って言わないと、受け取って貰えないとか悲しい。  


 

 相変わらずスローペースですみません。


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