表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/281

13 死亡した話

 ひどいサブタイトルである。


 リンルフはやや固い豚肉のような味だった。ちょっとレバーに近いかもしれん。


 腹も膨れたようだし、張り切って狩りをしようと思う。

 片付けようとしたら、フライパンと菜箸の油汚れをアレキサンダーがペロッと食べてくれた。

 なんて有能なんだお前さんは。


「しかし妙なところで細かいよなあ」


 この分だと後片付けのために、食事の時は水辺に行かなくてはならないだろう。それか水を大量に持ち運ぶかだ。


「樽かタライかだな」


 インベントリ内も納められる数に限りはある。

 ドロップ品一種類につき最大99個までだし。調理器具と食器類で2枠は埋まっている。ひと纏めにして袋に入れると一種類となるようだ。


 最大数は15枠までしかないので、拡大も検討するべきだろう。

 課金なところが悩みの種なんだがなあ。




 タマラビを掴んで近場のメンドゥリにぶつける。怒って飛び掛かってきたものは迎撃。

 アレキサンダーはリンクして数匹になったオンドゥリなどを倒して貰う。メンドゥリに蹴飛ばされても、微動だにしないから安心だ。


 やはりさっきの飯テロの影響か、平原にいた人数が減っている。

 サクサク狩れるのがいいな。



 兎の毛玉が20個くらいになったところで、スキルが生えたんじゃないかなーと。ステータスを確認したら【投擲(とうてき)Lv.1】と【格闘Lv.1】と【急所攻撃Lv.1】が生えていて、ビギナーもLv.5に上がっていた。

 SPはまだ保留かな。ついでに【料理Lv.4】も増えている。


「さっき鶏肉何個焼いたっけな? なぁアレキサンダー」


 視線で訴えるとアレキサンダーは「知りません」とばかりにぷるぷると震えるだけだ。

 20個以上はアレキサンダーが食っていたと思うんだが。



 あとインベントリの中にオンドゥリの尾羽という、別格のアイテムが紛れ込んでいた。

 取り出してみると、付加効果が2点ある腕輪だった。鑑定がないから名前しか解らないがね!


 腕輪に大きな赤い尾羽が3枚付いていて、装備したらインディアンの装飾品のようだった。


「解体の効果かな?」


 総防御力が4に増えてたので防御力1はあるんだろう。

 称号【後先考えぬ者】の効果込みで5だ。リンルフから2回攻撃されれば死ぬだろうけれども。


 翠によると、死んだらペナルティとしてリアルで1時間の経験値取得無しなのだとか。

 たぶん、ゲームから少し離れて脳を休めろという運営からの配慮なのだろう。


「なんか独り言が増えたような気がするなあ」


 ソロは意外に寂しいものである。

 アレキサンダーが居なかったら、翠や貴広にメッセージを延々と送っていたかもな。



 リンルフの1匹くらいなら同等の戦いが出来そうかと思い、森との境をうろうろしてみる。

 まあ見つからないんだけどな。森の中まで分け入らないと敵は出てこないようだ。


 注意深く見回していると他とは違う感じの草を何種類か見付けた。薬草なのだろうか?


 1度平原に戻り、メンドゥリの攻撃をわざと受けてみる。

 HPがわずかに減ったのを確認してから、その草を摘んで食べてみた。


 動かずにじっとしていれば、HPはじわじわと回復するものらしい。薬草(?)ひとつでは変化がなかったので、目につくものをむしっては口に運ぶ。


 周辺の警戒に気をとられて、草の形を良く確認しなかったのがマズかったのだろう。

 突然、舌にビリッとくる感覚と共に、くらりとした眩暈(めまい)に襲われた。


「なんっだ!?」


 慌ててステータスを開いてみたところ、赤文字で毒状態という1文が増えていた。


「げっ! ええと毒消しってどれだ?」


 じわじわと回復していたHPが今度はゴリゴリと削られていく。

 薬草だと思っていたものとは違う草をむしって口に入れてみるも、それも毒草だったようだ。視界の(ふち)に赤いフィルターが表示されHPが半分を切っていた。


 インベントリからポーションを取り出して飲むが、HPが全快するだけで、また徐々に減っていくのは変わらない。


「マジか。毒消しも買っておくべきだったか?」


 走って戻る距離と時間、残り4本のポーションでもつかな? と思ったが所持金がゼロなのを思い出した。

 アレキサンダーがぐりぐりと、心配そうに体を俺に押し付けてくるのを感じながら、打つ手無しだと気付く。


「リアルだったらどーにかなったものを……」


 とにかくこの世界の植物をもっと学ばなければっ!

 とか、思い立ったところでブッツリと、不意にテレビの電源を切ったように目の前が真っ暗になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] トルネコやシレンを思い出しました。男鑑定は楽だけどリスク高いよなー。あのゲームでは一度食べたらその種類は次からわかるけどこの世界はどうかなー
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ