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122 世界の裏の裏の話

 幕間です。


 暗く暗い夜の場。

 そこは闇の空間。


 酷く畏れる寒さの中。

 温もりなどはありはしない。


 ただ暗いだけのその一角にぼんやりと灯る緑の光。

 そこだけは人影に囲まれていた。


 緑の光は空中に浮かぶ丸い球体を描いている。

 人影と思われる者には生気がなく瞳もない。

 マネキンと呼ばれる無機質な6体の人形であった。


 6体の人形は緑のグリッドで描かれた球体を囲む。

 ほのかな緑の光で照らされた人形たちは無言で中央を見つめるだけだ。


 ふいに暗闇の空間に風が生じ、何者かの気配が現れた。

 その者は人形たちより離れたところまで近づいた。


 うっすらと照らされたところでは、男なのか女なのか判別は不可能である。

 

「現在の進行度は?」


『メインの効果は15%程度と推測される』


「ずいぶん低いな」


 感情を感じさせない低い声に答えるのは、無機質な人形たちの1体。

 ただ目の前にある文章を棒読みしたような、抑揚のない声である。

 それを発端に他の人形たちも次々と発言を続けていく。


『こちらからの直接的な干渉は不可との命令』

『目標のデータ不足』

『内部監視強化あり』

『大掛かりな干渉は神々に隙を与えてしまう可能性大』

『馬鹿なの死ぬの』


 そして静まり返る。

 人形を従えられる者は口元をへの字に変え、しばし沈黙。

 幾つかの深呼吸を行ない、再び口を開く。


「全体の進行度は?」


『28%程度と推測』

『こちらもデータ不足』

『対象の興味を得られそうな材料が不足している模様』

『範囲に対して人員が不足しているものと思われ』

『人員の増加を要請』

『産めよ増やせよ』


 先ほどから、明らかに妙なことを口走っている1体に視線が集中する。

 うち5体に瞳はないが。


「他は?」


『第1世界と第2世界の齟齬に気付いた者が少数』

『極秘に接触して記憶消去の準備は進めています』


「そいつらには暗示程度に留めておけ」


『暗示は何かのきっかけで解放される可能性大』

『1度失敗すれば再度の暗示は不可能』

『消去しておくのが安全』

『斜め45度から衝撃を1発』


『……』

『……』

『……』


 例外はどこにでもいるものである。


『1体のイレギュラーが発生』

『1部のバランスが崩壊中』

『対象の影響でシステムに若干のエラーが発生』

『メインの効果にノイズ発生』

『主目的に悪影響を及ぼしています』

『もはや手遅れ』


「……」


 誰もが沈黙する酷いありさまである。


「誰だ、こんなオペレーター作った奴は……」


『第3位であります』

『破壊力抜群』


「やかましい!」


 再び静かになる室内。

 小さく溜め息を吐いた人物は踵を返して去っていった。


 後に残るのは緑の球体を囲むマネキンたちである。

 彼らは何も求めない。何も乞うこともない。


 マネキンにできるのは目の前の出来事を記録し、報告することだけである。



 ガラケーさんが排斥されるという世の中に……。

 技術の進歩に悔し涙を流したのは初めてですわ。

 そして500万PV突破。早っ!? 

 いつもお読み頂きありがとうございます。

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