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117 修行の話


 それからしばらくはイビスでログイン、ログアウトを繰り返した。


 ハンタークラブ相手に打撃武器の使い心地のテストをしていたり、商業ギルドで競売に出したハンティングトロフィーの代金を受け取ったりだ。


 ハンタークラブは高さ3m程の丸い体に、刃の長さ1mのハサミが1対と太めの2対の脚が生えている青いカニだった。

 背中側はスコピオ並みに硬いが、【闘気】で威力を底上げした浸透撃は普通に通る。

 グリースの【腐蝕の視線】も通用するので、倒すのは苦労しない。


 まず何もしない状態で殴って使い勝手を確かめる。その間にアレキサンダーとツイナがハンタークラブのハサミを捕まえ、シラヒメが糸でぐるぐる巻きにする。

 最終的に【闘気】を通して殻ごと粉砕してトドメをさす。中には【闘気】を込めたら割れた武器とか出てきたので困った。


 アレキサンダーの火炎放射とツイナの雷撃で倒すと「ほどよく焼けたカニ身」がドロップした。

 通常のドロップ品はカニ甲殻、カニ身、カニ味噌、黒光りする(野球の)グローブである。

 何故にグローブ?

 商業ギルドに持っていったら、革が良品らしいので買い取りはしてくれた。分解して別の材料にする以外の需要はないそうだ。

 誰かがゲーム内に野球を流行らせるしかないのでは?


 あと延々とハンタークラブを狩っていたら【甲殻スレイヤー】という称号を手に入れた。甲殻系の魔物にダメージ増加だそうだ。これでスコピオも楽になるな。


 借りた武器を返しに行って、使い心地を書いた紙を渡したら報酬をくれた。砕けたものについては「武技を込めたら砕けた」と伝えておいた。

 疑問を持たれなかったので拍子抜けしたが、それはそれで問題なかったかもしれん。


 ハンティングトロフィーは88万でさばけたらしい。

 手数料で17万6千Gが引かれたので、俺の取り分は70万4千Gとなった。

 半分をカーボに渡しても、貯金は300万を超えたんだが、使い道はあんまり思いつかない。

 35万2千はインフィニティハートに預けてきた。あとでカーボに渡してくれるという。


 あとイビスダンジョンにオーガを設置したと、オールオールから連絡をもらったので倒しに行った。

 地下5階は罠だらけだったが、アレキサンダーが片っ端から見つけ、シラヒメが糸を放って起動させる。それをツイナが雷撃で壊していく。

 後はダメージを受けないアレキサンダーが盾になるか、グリースが腐らせるという凶悪なコンボで突き進む。

 あとで顔を会わせたオールオールが突破方法に呆れていた。ペットたちに悪気はないんだよ。

 罠に関しては俺の出番はなかったなあ。


 オーガが居たのは地下6階で、見た目が完全に絵本なんかで見る赤鬼だった。

 虎縞パンツに金棒を持つ、身の丈4mくらいの偉丈夫である。名前がオーガになってるからってこの容姿はどーかと思うぜ、オールオールよ。


 とりあえず10分くらいかかったがなんとか倒した。

 結構皮膚が堅かったので【闘気】を使いまくり、終わった時にはHPが1割を切っていた。

 ドロップ品は丈夫な革。新しい防具の材料に利用させてもらおう。


 ここまででビギナーレベルがようやく25にあがった。

 戦闘関係のスキル以外はさっぱり上がらないんだがな。


 【蹴り】は【蹴撃】スキルにグレードアップ。

 【急所攻撃】は【致命攻撃】スキルに。

 【カウンター】は【反射】スキルとなり、確率50%で倍にして返すという凶悪なものに変化した。

 【剣】はレベル5で【片手棍】へ。

 【死霊術】はレベル15でゾンビが召喚できるようになった。使役物でプレイヤーに攻撃するのはPK行為になるそうだ。

 それ以前に色々やばくて使い道がない……。


 アレキサンダーはエルダーレッドスライムのレベル10になって【罠発見】のスキルが増えていた。

 シラヒメはアラクネのレベル8になってちょっと大きさが増した。

 グリースは未だにコカトリス雛ではあるが、レベル25に。大きさは変わらないな。

 ツイナはキマイラレベル10になってようやく【飛行】スキルを得たようだ。でも飛んでいると仲間外れのような気になるから、皆と歩く方が好きらしい。

 しかし、ゲームでも殺伐としているな俺の生活は。


 ホースロドに向かおうかなと思っていたところでアナイスさんに呼ばれた。

 白い小鳥が俺のところに飛んできたと思ったら、折り鶴に変わって自動で開く。

 そこには綺麗な字で『魔石と糸を持って、私のところに来なさい。byアナイス』と書いてあった。

 

 魔石はダンジョンで採れたので手元にはたくさんある。

 糸は親アラクネさんからもらった物が全然減ってないので、たぶん足りるだろう。

 足りなかったらシラヒメに頼めばいいか。


 向かう途中でシラヒメとツイナが、どちらがアレキサンダーを乗せていくかで揉めていた。

 逆にアレキサンダーに聞けば、俺の頭の上によじ登ってきた。

 久しぶりの定位置だが、首が折れるってほど重くはない。歩いてて木の枝に引っ掛からないか心配になるな。


「オトウサま、ズルいデス」

「がうがう」「メエエ~」


 羨ましそうな3対と8個の視線が突き刺さる。

 シラヒメはひらひらとした装飾の紫色のケープを着ている。

 インフィニティハートの女性陣にプレゼントされたものだ。

 ペットは防具を装備できないと伝えておいたので、この服は防具にならない装飾品という扱いだそうだ。

 他にも何着かもらったが、品物はアレキサンダーのインベントリの中である。


 ヘーロンに続く道の途中から外れて、森の中を北に進めばアナイスさん宅に着く。

 なぜか今日に限って森の中は深い霧が漂っていた。【ネッツアーの加護】のお陰で道には迷わないが、珍しいことである。


 総合評価が2万になりました。

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