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103 奇妙な地下道の話


 スティレットの件はまた今度ということで、横に置いておこう。


「で、兄さん。さっき連絡をした時に言っていた探索というのは?」

「いや奉仕活動で教会を修復してたらシラヒメが鐘がないことを気にしてたんで、捜索してたら地下道みたいなモノを発見したんで今に至ると」

「なんだか全然判らないね」

「相変わらず妙な経緯を進んでんのね!」

「通常営業」

「まあ、兄さんですし」


 ツィーさんとアニエラさんとデネボラさんとアルヘナに呆れた顔をされた。

 うん、自分でもよくわからねえや。どうしてこうなった。

 おかしくなったのはたぶんマルクト神のせいだな。


 それでこれからこの崩れた屋敷に踏み込んで中を捜索すると伝えたら、4人とも着いてくるそうだ。

 別にいいが、なんにも無くても恨むなよな。


 行動するに当たってエトワールで4人PT、俺たちで4人PTを組んで連結することになった。8人PTは組めないらしい。

 こうすることでPT会話が統合出来るんだそうな。

 なるほどー。


 まず屋敷を調べてみたが、片方の扉の無い入り口を通ってすぐに玄関ホール。

 正面にゆったりとしたカーブを描く階段がある。左右に2つあるものの、両方ともカーブの途中で途切れていた。


 そもそも2階がまるっと消失していて、青空が天井だしな。

 床板の隙間から雑草がわんさか生えていて、壁は蔦だらけ。何処が窓だったのかすら判別不可能だ。


 この屋敷自体が、周囲を囲む壁も含めて正門からこの玄関部分以外が無いからなあ。

 廃虚区画になる原因は何だったのやら。


 もう時間切れで効果はないが、大地魔術で探査していた時に見付けた地下道が何処に繋がっていたかは、大体分かっている。

 左右の階段の中央の床をアルヘナに調べて貰うと、地下へと続く階段が伸びる小部屋があった。

 

「この階段自体はずいぶんと新しいみたいですけど」

「新しい?」

「おやー? じゃあこの屋敷に住んでいた人が作ったんじゃないのか」

「じゃあその地下道をここに繋げた意味が判らないじゃない!」


 階段を下って地下道へ降りてみた。頑張れば4人くらい横に並べそうだが、2列で進むことにする。

 壁際をチョロチョロと水が流れているところを見るに、緩やかな下り坂のようだ。


 俺は【暗視】があるからいいが、他はそうもいかないだろう。コカトリスのグリースは鳥目なのかどうかもわからんしな。


 一応カンテラに火を付けてシラヒメに渡す。

 自力でほんのりと赤く光るアレキサンダーを見たツィーさんが、2度見してあんぐりと口を開けていた。

 初めて見る人は、まあそうなるな。内部に光源を仕込んだ赤いプラスチックのような感じだ。


「私とアニエラが前衛を務めます。ツィーとデネボラがその後ろ」

「じゃあ真ん中にグリースとシラヒメ、最後尾に俺とアレキサンダーだな」 


 つーか物理攻撃特化PTだよなこれ。エニフさんは今日は来てないらしい。

 俺が使えるのは、穴を開ける魔法と水の矢を飛ばす魔法だが、このメンバーなら死霊術が使えなくもない。

 攻撃魔法は専門のデネボラさんがいるからいいか。


 前衛側はアニエラさんが魔法で光の玉を浮かばせた。神聖魔法の術らしい。

 それから慎重にノロノロと100mくらい進んだが、どぶねずみ1匹すら見掛けない。


 ここまではただの坂道だが、ここから先は手持ちの地図は通用しないエリアだそうだ。


 その違うエリアからはドーム状の広場になっていて、中央部がやや盛り上がっていた。

 ドームの直径はだいたい30mくらいあるかもしれない。照明のような物は見当たらないが、このドームは充分明るいな。

 その真ん中には小さな噴水が(こしら)えてある。

 噴水の真上には天井からぶら下がる小さな鐘があった。


 通路は噴水の向う側にも続いているようだが、そっから先は通路というより洞窟に見える。

 アルヘナとアニエラさんが警戒しながら向う側を見に行き、洞窟を覗いてから戻って来た。


「なんとなくダンジョンみたいな感じがします」

「都市の地下にダンジョンがあるものなの?」

「そこはちょっと分かりませんけど、イビスの北のダンジョンと似たような気がしますね」

「アルヘナの勘は信用できる」

「デネボラが同意するんじゃ仕方がないわね!」

「マジか」


 ダンジョンかどうかの相談はエトワールでやってもらって、こっちはシラヒメに壁を登らせて鐘を確認してもらう。


「どうだ、シラヒメ。大きさ的にはあの教会に合いそうか?」

「タブン、ハイルトオモイマス」

「何のためにこんな所にぶら下がってるのかは解らんが、引っこ抜けそうか?」

「……ムリダトオモイマス」


 ふうむ。シラヒメはそれほどパワーがあるほうじゃないからなあ。どうやってバラすかな。


「なあ、アレキサンダー。グリースと一緒にあの上行って、接続部を溶解出来ないか試し……」

「ちょっ、ちょっと待った待ったああっ!?」


 鐘の下にいきなり男性が現れた。両手をバタバタと振って、俺たちがやろうとした行為を慌てて制止してくる。


 誰だ。どっから現れやがった?


 やはり人がふえると書きずらいぃ。

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