こおりそら4
サクサク、サクサク。
雪を踏む音が、ほとんど同時にやんだ。
--やあ
--さっきぶりだね
--また会ったね
--きょうも疲れたわ
--みんな、お疲れ様
皆の中では珍しく、お喋りでないアスカのだんまりには気を遣わず、皆は賑やかに話している。そのうちの一人が、アスカのそばにやってきた。アスカと同じような背丈の者だ。
--や、さっきは大丈夫だったかい?
--うん、ありがとう。君こそどうだい?
--僕こそ問題ないさ
それは、先ほど殴り合った相手だった。とは言え、いつも殴り合ったり、喧嘩をする役は彼とやるので、お互い慣れっこだったし、実際には対して強く当たらないので、実はあまり被害はない。それは彼も同じだが、毎回気遣ってくれる。そのおかげか、アスカは比較的、彼とは長くおしゃべりができた。
そうして、いろいろなおしゃべりをしていると、皆、ゆっくりと動かなくなっていった。もうすぐ終わりの時間が来るのだ。彼とアスカも顔を見合わせ、自然と別れと再会のあいさつを交わした。
こうして終わった後、また始まるまでに、皆は今とまったく違う場所にいることになるからだ。ゆっくりと体が傾いでいく。眠たい視界には、光を複雑に反射する、冷たい氷の空が見えていた。