こおりそら3
それからあとは、アスカにとっては夢を見ているような時間だ。何かに引っ張られるようにして、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。一人でいろいろな仕草をしたかと思えば、先ほどあった、いろいろな者達と頷きあったり殴り合ったり。
動きに合わせたらしい、歌うような大きな音が、また、眠りを促すようで、アスカはいつも動くに任せてぼんやりして、たまに、こちらをじぃっと見つめる「何か達」を観察していた。「何か達」は、アスカ達の動きに合わせて、いろいろな表情を見せるので、自由の効かないこの時間も、観察している間は退屈しなかった。
やがて、感極まるようなしぐさとともに、音楽がやむ。アスカはまた立ち尽くしたまま、始まりと打って変わって、静かな歌うような大きな音を聞くともなしに聞いていた。
それも途切れ、ふわりと、待ちに待った暗闇が訪れる。それが再び消えると、目の前には真っ白な世界が戻ってきていた。ずっしりとした疲れが残っているが、まだ終わってしまうわけにはいかない。自由な時間を楽しまなければ。
こんな時の行き場所は決まっている。きっと、皆も集まっているはずだ。アスカはうきうきと歩き出した。足元の雪が、サクサクと一緒に喜んでいるようだ。