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和モノ(和をテーマにした作品)

作者: 浅葱

 ほんの少しだけ、網戸が開いていた。

 それに気付かずそのままにしていたら、いつの間にか腕に蚊がとまっていた。

 叩き潰そうと手を上げて、ふと蚊というのは女であったなと思った。蚊は満足そうに飛び立っていった。

 しかし一体どこから入ってきたのだろう。

 網戸の方へ目をやると、ほんの少しだけ開いていた。苦笑して立ち上がると、隣で寝ている妻が寝返りをうった。

 その白い首筋に蚊が……。

 私は網戸を閉めるということも忘れて、それにしばし魅入ってしまった。

 それはほんの数秒のことであっただろうが、私にはあまりに長い時間のように感じられた。

 それは先程の蚊であったろうか? それとも他の蚊であったろうか……。

 蚊が離れしばらくすると、妻の首筋にほんのりと赤い跡が浮かび上がった。


「あなた……?」


 妻の声がした。

 その首筋には先程よりも赤くなった跡がくっきりと浮かんでいて、私は目的も忘れたまま貴女にそうっと触れる。


 了

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― 新着の感想 ―
[良い点] 単純なストーリーだからこそ、共感でき、ふふっと笑ってしまうところ。 [一言] 妻なんて想像もできない年代な上、そもそも相手もいませんが、なんだか情景が目に浮かんでしまいました。 ライトな感…
[一言] 蚊はうっと惜しくて食べられると嫌な物のはずなのに はかなく美しく見えますね。
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