8/30
第8話『いつもと違う日曜日。』
約束の日曜日。
序美はいつもより1時間早く家を出た。
じっとしていられないからだ。
電車に乗り、待ち合わせの駅へと向かう。
「……」
座席には座らず、立ったまま窓の外遠くを見つめる序美。
このとき、とても険しい顔をしていた。
ふ、と窓に映った自分と目が合い、その表情に驚く。
「なんて顔してんの…あたし…」
そう呟くと、窓に額をコツンと打ちつける。
「しっかりしろ、序美」
何度も何度も額を打ちつけ、何度も何度も自分に言い聞かせる。
額は少し赤くなった。
「ちょっと…やりすぎか…」
そう言いながら苦笑して、額を擦る。
少しだけズキズキ。
そんなうちに待ち合わせの駅に着いた。
電車から降り、ホームで立ち止まる序美。
「……」
いつもなら、嬉しい気持ちで電車を降りてホームを歩く。
愛に早く会いたい。
その一心。
序美は頭を左右にブンブンと振り、ネガティブな気持ちを一掃。
そして。
「自分の気持ちを伝えるのっ!そのために来たのっ!」
そう自分に喝を入れると、序美は改札に向かって歩き出した。
大丈夫、と言い聞かせながら。